Friuli(フリウリ)

世界に一大旋風を巻き起こしたオレンジワイン

その流行の発信源となるのがフリウリのオスラヴィア

ヨスコ・グラヴナーが与えた影響は計り知れない

フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア(フリウリ)はイタリアの北東端にあるワイン産地で、北はオーストリア、東はスロヴェニア、南はアドリア海に面している。イタリア全体のわずか4%という生産量だが、とりわけ白ワインの品質は傑出している。生産量の75%以上が白ワインとなるが、赤ワインからも地場品種・国際品種ともに質の高いものが味わえる。協同組合が盛んなトレンティーノ・アルト・アディジェなどと違い、フリウリでは家族経営のワイナリーが大半を占めているという点も特徴である。

フリウリのイメージ-主に樽を使用しないクリーンでフレッシュな味わい-は、1960年代後半というかなり早い時期に確立された。これは先人たちが当時ドイツの醸造技術を見習って、ステンレスタンクでの発酵・、温度管理、培養酵母、空気圧式プレスといったモダンなテクニックをいち早く導入したためである。このおかげでフリウリはイタリアにおいてフレッシュでモダンなスタイルの先駆けとなり、70年代初頭には高品質の白ワイン産地として既に認知されるようになった。こうした技術的に完璧なアロマティックでシャープなワインは当時大きな注目を集めたが、現在のフリウリではこれとは別の異なるスタイルにスポットがあたっている。今の若い世代の生産者が夢中になっているのは、いわゆるオレンジワイン。フリウリの偉人ヨスコ・グラヴナー(Josko Gravner)によって世界的に広まったこのスタイルは、白ブドウを果皮とともに素焼きの土器で発酵させる。

 

フリウリのテロワールは南部の平坦エリアか、北東部の丘陵エリアかで大きく異なる。南部に行くにつれてアドリア海に近くなり、より低地となる。海の影響で日較差が調整されるため、より穏やかで温暖な気候が生まれる。年間降水量も1200mmとボルドーよりも約30%多く、湿度も高い。このため病害菌との戦いが必須となり、オーガニック栽培が困難なエリアとも言える。土壌は丘陵エリアよりも肥沃で、沖積土に石が混ざっている。収量が多く取れるためカジュアルなピノ・グリージョやメルローなどが見られる。

一方、北東部の丘陵エリアは、アルプスの麓に広がるためより涼しい大陸性の気候となる。畑の多くが低雲層よりも上に位置し、ブドウはしっかりと日光を受ける一方で、標高による冷却効果で気温がうまい具合に調整される。このおかげでブドウは糖分とフェノールの成熟をバランス良く進めることができる。高品質なワインが多く見られるCollio DOCやColli Orientali DOCではマールや砂岩がメインの土壌となる。とりわけポンカと呼ばれる圧縮されたマールは素晴らしい排水性を持つ。より北部にあるColli Orientaliは標高100-350mに広がっており、Collioよりもわずかに冷涼かつ大陸性の気候を持つ。アドリア海により近いCollioは、海からの気温調節効果が大きく、気候はわずかに穏やかになる。

 

味わいの特徴

フリウリでは様々な品種が幅広く栽培されており、多くのワインが国際品種から生まれる。白はソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、リースリングにピノ・ビアンコそしてピノ・グリージョなど。赤はピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランにメルローなどが見られる。しかし、フリウリの個性を担っているのは地場品種であり、中でも見逃せないのが白ブドウのフリウラーノとリボッラ・ジャッラ、黒ブドウのレフォスコである。

Mianiのエンツォ・ポントーニ氏

フリウラーノはフローラルでリンゴなどのフレーバーを持ち、やや高めのアルコールと高い酸が特徴となる。一般的なスタイルはステンレスタンクで醸造し果実のアロマを保持するタイプで、これ以外にも一部オーク樽を使用する場合もある。最上のものは熟成ポテンシャルも高く、フリウリのカルトワイン筆頭格であるミアーニ(Miani)が作るフリウラーノは小売価格で1万円を超える。

リボッラ・ジャッラはCollioとColli Orientaliといった丘陵地でのみ栽培されている。樹勢が強くこれを抑えるためにより痩せた土壌が必要となるためである。ワインはシトラスにペッパーのノートがあり、高い酸が特徴となる。実に幅広いスタイルが存在し、例えば辛口/中辛口、スキンコンタクトの短い/長い、樽を使う/使わない、さらにはスパークリングワインまで見られる。

レフォスコは最も植樹されている黒ブドウ地場品種である。この品種も樹勢が強いので、最上のものは丘陵地の痩せた土壌から生まれる。ワインはレッドチェリーにハーブのニュアンスを持つ。小粒なためワインはタンニンが強く、しばしば樽で熟成させて柔らかくする。

ブドウ品種同様フリウリのスタイルは幅広いが、この地のワインを語る上でやはりオスラヴィアは外せないだろう。オスラヴィアはCollioにあるサブリージョンで、ここは(近隣スロヴェニアのブルダとともに)世界のオレンジワインの中心地となっている。現在世界中のあらゆる産地で、白ブドウの醸し発酵やアンフォラなどの素焼きの土器を取り入れたワイン造りが行われているが、そのトレンドを生み出した張本人がオスラヴィアのヨスコ・グラヴナーである。この地にはグラヴナーを筆頭にラディコン(Radikon)やダリオ・プリンチッチ(Dario Princic)といった名手が集まっているが、彼らはワインを作る上で共通のルールを共有している。それは有機栽培、地場品種の使用、温度管理せず自然酵母での発酵、大樽による長期熟成、無清澄、無濾過、極力SO2の使用は控えるといった事項である。こうして生まれるオレンジワインは、アンバーあるいはオレンジの色調を持ち、奥深く力強いドライフルーツやドライハーブ、干し草やナッツなどのフレーバーに、中程度のタンニンが感じられる。最上のものは市場の流通量も少なく、小売価格で1万円を超える。

CTA-IMAGE Firadisは、全国のレストランやワインショップを顧客とするワイン専門商社です。 これまで日本国内10,000件を超える飲食店様・販売店様にワインをお届けして参りました。 主なお取引先は洋風専門料理業態のお店様で、フランス料理店2,000店以上、イタリア料理店約1,800店と、ワインを数多く取り扱うお店様からの強い信頼を誇っています。 ミシュラン3つ星・2つ星を獲得されているレストラン様のなんと70%以上がフィラディスからのワイン仕入れご実績があり、その品質の高さはプロフェッショナルソムリエからもお墨付きを戴いています。
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