Marche(マルケ)

マルケの顔となる土着品種ヴェルディッキオ

海と山の影響が見事に反映されたその味わいには

高い酸と豊富なミネラルが十分に感じられる

マルケはイタリア中東部に位置し、アペニン山脈からアドリア海まで広がっている。北はエミリア・ロマーニャ、西はウンブリア、南はアブルッツォに囲まれている。赤ワインは主にモンテプルチアーノとサンジョヴェーゼのブレンドから、白ワインは主にヴェルディッキオから作られる。もともとはヴェルディッキオがこの地の主要品種であったが、現在では上記の黒ブドウ2品種がより多くのワインを産出している。赤も白もほとんどのワインは小売価格で3千円未満のレンジだが、リゼルヴァなどの上級クラスになると6~7千円を超えてくるものもある。重要な生産者はウマニ・ロンキ(Umani Ronchi)やファッジ・バタリア(Fazi Battaglia)など。

マルケのワインのほとんどはイタリア国内で売られているが、生産量の1/3程度は輸出されている。、カナダ、中国、日本などが主要な輸出先となっている。昔は安価なヴェルディッキオが国内外問わず良く売れたが、現在は他産地のピノ・グリージョがこれに取って代わってしまい、植樹が大幅に減ってしまった。

 

テロワール

多様な地形を持つマルケだが、ブドウ栽培に適しているのは海岸から登る低い丘陵地と一部の高地である。畑は約25,000haの規模で、全体的に地中海性気候を持ち、雨のほとんど降らない暑い夏が特徴となる。一方、マルケの州都アンコーナの西部にある内陸部ではより大陸性の気候となり、秋は乾燥する。トスカーナ同様、土壌は基本的には石灰岩と粘土であり、水はけと保水性のバランスが良いため、暑い夏を通してブドウはしっかりと成長できる。

ヴェルディッキオで主要なエリアは2つあり、一つはVerdicchio dei Castelli di Jesi DOCで、アンコーナの西部にある低い丘陵地エリア。粘土と石灰岩の土壌を持ちフローラルでフルーティーなワインを生む。アペラシオンの中心地にあるブドウはClassicoを名乗れ、さらに収量を抑えより凝縮感のあるスタイルのワインはClassico Superioreを名乗れる。上級のRiservaでは最低18ヶ月の熟成が義務となり、DOCGを名乗ることができる。

もう一つはさらに西部にあるVerdicchio di Matelica DOCで、これはアペニン山脈の麓にある標高の高いエリア。海からの影響を受けない大陸性気候のためより大きな日較差が特徴となる。このため生育期が長く、海沿いエリアよりも高い酸が保持される。土壌は化石の混ざる砂岩で、Castelli di Jesiよりも粘土が少ないため、水分の流出が早い。ワインはよりフルボディよりだが酸も高く、果実味は強すぎない。上級のRiservaはDOCGを名乗れ、最低12.5%のアルコールと18ヶ月の熟成が必要となる。

一方、モンテプルチアーノで主要なエリアは、州都アンコーナの周辺に広がるRosso Conero DOCとConero Riserva DOCGで、モンテプルチアーノが最低85%必要となる。Risevaでは最低24ヶ月の熟成(うち12ヶ月は樽)が義務となる。マルケ中部を広範囲にカバーするRosso Piceno DOCでは、モンテプルチアーノが35-85%とブレンドの幅が広くなる。Superioreがつくとより限定されたエリアからの高品質なワインとなり、より高いアルコール度数と最低一年の熟成が必要となる。また、アンコーナの約100km南にはOffida DOCGがあり、ここではモンテプルチアーノが最低85%必要で、ワインは24ヶ月の熟成(12ヶ月は樽)が義務となる。

Simone Capecci (San Savino)の畑

味わいの特徴

マルケの白ワインの顔となるヴェルディッキオは晩熟で、高い酸を保持する品種である。ワインは淡いレモン色で、アロマはそこまで強くないがブロッサム、リンゴ、レモン、フェンネルにアーモンドのニュアンスがあり、わずかに苦味を感じるフィニッシュを持つ。酸が高くミディアムボディのスタイルが特徴となる。

品質はカジュアルなものから非常に高品質なものまで多様。
エントリークラスのヴェルディッキオでは高い酸を保持するため基本的にMLFを行わず、ステンレスタンクで4-6ヶ月熟成させ、早飲み用として瓶詰めされる。
一方、上級クラスのRiservaではMLFを行うことで酸をクリーミーに仕上げ、古樽で澱との熟成を行うことでテクスチャー向上を狙う生産者もいる。こうしたワインは10年以上の熟成に耐え、ドライフルーツやマッシュルームなどの魅力的な熟成香を生み出す。

植樹は多くないもののもう一つ言及すべき白ブドウ品種としてペコリーノがある。主にマルケの南部に植えられており、早熟で病害に強い品種である。ワインは比較的アルコールが高いが、高い酸が見事にバランスを取っている。セージやタイム、ミントといったハーブのニュアンスにクリスピーなリンゴや洋ナシなどのフレーバーを持つ。ボディはミディアム。ワインはマルケIGTの名で売られるか、あるいはOffidaエリア内で基準を満たせばOffida Pecorino DOCGを名乗れる。一部のワインは品種由来の果実味を保持するために早めにリリースされるが、中には古樽で12-18ヶ月熟成させテクスチャーに厚みをもたせたワンランク上のスタイルもある。

一方、黒ブドウで主力となるのはモンテプルチアーノである。マルケではしばしば酸味を補完するためにサンジョヴェーゼがブレンドされる。モンテプルチアーノは完熟するまでに長い時間を要し、また同じ房内であっても粒の完熟が不揃いになりやすい品種である。求めるスタイルによってマセラシオンの期間が変わり、例えば4-5日などの短期間ではよりシンプルで軽いワインとなる。レッドチェリーなどの完熟赤系果実を持ち、ミディアムボディに中程度のタンニンを持つ。このスタイルでは樽は使われないことが多い。一方、20日などの期間が長いものではより香味の力強い高品質なワインとなる。レッドチェリーにブラックプラムなどの力強い黒果実が現れ、フルボディでタンニンの量も多い。こうしたワインは樽熟成されるためしばしばオークやスパイスのニュアンスを伴う複雑なワインとなる。

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