Marsanney(マルサネ)

ブルゴーニュで唯一のロゼ・赤・白すべてのAOC認定
プルミエ・クリュ獲得へ向けて絶賛邁進中
コート・ドール最北の生産地。完熟が難しかったブドウも温暖化の恩恵を受け良質に

■特徴

ブルゴーニュの首都ディジョンから南にすぐのところに、コート・ド・ニュイ始まりのアペラシオン、マルサネがある。

3つの村からなるこのアペラシオンの栽培面積は約240haにのぼり、その内20haではロゼの生産も認められている。

その歴史は古く、ブルゴーニュで唯一3つの色のワインを造ることができる。

そんな唯一無二のアイデンティティがあっても、どこかパッとしないのは特級どころか一級の区画が存在しないからだろう。

しかし多くの造り手が格付けに値すると訴えるように、区画名をラベルに記載してワインをリリースしている。

格付け制定への活動は現在急ピッチで進められており、その動向は世界が注目している。

 

マルサネ・ロゼの始まり

第一次世界大戦以前マルサネは首都であるディジョンに流通させる、安価なワインが大量生産され人気を博していた。

そのためピノ・ノワールより生産が楽なガメイや交配品種が多く植えられていたそうだ。

しかし交通網が整備され南仏や南アフリカからより安価なワインが流通するようになり、マルサネの栄光は衰退していく。

その後終戦を迎え、1919年に現在のドメーヌ・ブリュノ・クレールの創始者であるジョゼフ・クレール・ダユがピノ・ノワールを再び植えた。

そのピノから初めてロゼワインを仕込み、これが大当たり。

7樽か8樽造られたといわれるそのワインの全量をディジョンのレストランが買占め、ほかの生産者も真似してピノを植え始めた。

それから1965年、単なるブルゴーニュ・ロゼから『ブルゴーニュ・ドゼ・ド・マルサネ』としてようやく呼称が与えられている。

現在では約20haの畑でロゼの生産が認められており、今でもブリュノ・クレールの造るロゼは素晴らしい。

プルミエ・クリュ昇格への道のり

AOCマルサネが制定されたのは1987年と比較的最近のこと。

1970年代に周囲のAC、コート・ド・ニュイ・ヴィラージュへの申請をしたのだがフィサンとコルゴロワンの生産者たちの反対にあい失敗。

そこから17年、地元生産者の懸命な働き掛けもありようやくAOCマルサネが認められ、ブルゴーニュで初めてロゼ・赤・白3つのワインを生産できるアペラシオンが誕生した。

そんなわけで、やっとのこと村名アペラシオンが認められたばかりのマルサネにはまだ特級、一級格付けの畑はない。

ただ最近では、ドゥニ・モルテなど著名な作り手も村の外から進出してきており、そのポテンシャルが世間に知られるようになった。

2000年に入ってからは本格的にプルミエ・クリュへの昇格運動が始まった。

昇格候補と言われているのは14の区画で、すでに申請書類も提出済みだという。

あとはのろのろと一向に進まないお役所次第だが、ロゼの認定には20年かかった。

はたして今回の昇格が認められるのは何年後なのだろうか。

プルミエ・クリュ候補畑

14ある筆頭畑のうち、特に優れているといわれるのがクロ・デュ・ロワ、ロンジュロワ、レ・ゼシェゾーの3つ。

いずれも村の北部に位置している。

クロ・デュ・ロワ

最北にあるクロ・デュ・ロワは東を向くやや急な斜面になっており、クローズ・リテというシャンベルタン・クロ・ド・ベーズに共通する特殊な土壌が特徴。

「王の畑」の通りタンニンが豊富で全体的に力強く、長期熟成向きなワインが多い。

ロンジュロワ

クロ・デュ・ロワの南隣に位置するロンジュロワは34.12haの大きな区画で、バ(下部)とドゥス(上部)に分けられる。

バは分厚い泥炭土からなるため肉厚でリッチなスタイルで、ドゥスの方が板状の石灰岩の上にあるためやや繊細になる。

一級候補の筆頭であり、ブリュノ・クレール、ドゥニ・モルテ等優れた生産者がこの畑のワインを生産している。

レ・ゼシェゾー

谷の真下にある区画。土壌は谷から崩れ落ちた堆積土で、全体的に良質な粘土を含んでいるためやや赤くほとんど砂利はない。

谷から吹く冷涼な風のため換気が常に行われ腐敗のリスクが少ない。

この風のために周りの畑よりも明らかに涼しく、昔は白ワインの生産がメインだった。

近年は温暖化によってピノもしっかり完熟するようになったが、収穫は遅れて行われることが多い。

美しい酸と上品でなめらかなタンニンが特徴。

格付け昇格へ向けて若い世代の生産者や村外の生産者が活動し、活気に満ちているマルサネ。

世界的に広がるロゼブームの追い風を受けて、ほかの輝かしいコート・ド・ニュイのアペラシオンと肩を並べる日はそう遠くない未来かもしれない。

■データ(出典:ブルゴーニュワイン委員会)

栽培面積 約240ha
土壌 バジョシアン階とバトシアン階の土壌で、高い比率でウミユリ石灰岩を含む
生産量
ワイナリー数
グラン・クリュ 0
プルミエ・クリュ 0
栽培品種 ピノ・ノワール、シャルドネ
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