Verzenay(ヴェルズネイ)
アイと双璧を成すピノ・ノワールの銘醸地 男性的ながっしりとした骨格、 豊潤でありながらも厳格な味わい
目次
■特徴
丘の斜面に北東を向いて畑が広がるヴェルズネイは、モターニュ・ド・ランス最上のピノ・ノワールが生産される産地。栽培面積の86%をピノ・ノワールが占めることから、いかにこの黒ブドウが重宝されているかが伺える。
ボランジェやクリュッグ、ロデレールなど錚々たるシャンパーニュハウスが多くの畑を所有しており、
村のシンボルマークでもある特徴的な風車は現在、マムがゲストを招くための施設として使用している。
昔からヴェルズネイの評価と名声は確固たるもので、男性的ながっしりとした骨格、豊潤でありながらも厳格なスタイルは今でも多くのシャンパーニュ・ラヴァーを魅了する。
テロワール
フランスのブドウ栽培地のほぼ北限にあり斜面はゆるやかに北を向く。
とても涼やかな気候だが日照量は十分に確保できる。
また、西から吹く冷たい風が森に覆われた丘にさえぎられるため比較的気温は安定している。
ヴェルズネイと双璧を成すピノ・ノワールの銘醸地であるアイは対照的に真南を向く急斜面のため、全く違うスタイルのワインが出来上がる。
アイがリッチで濃密なスタイルだとすると、ヴェルズネイはイキイキとしたミネラルや透明感、厳格なスタイルが特徴。
非常にぶ厚いチョーク層の上にミネラルを豊富に含んだ粘土が堆積している。
ブラン・ド・ノワールの歴史
14世紀末までにブルゴーニュの赤ワインが最高の評価を得るようになり、それに倣ってシャンパーニュでも赤ワインが主力となっていった。
しかしブルゴーニュよりだいぶ北部に位置するシャンパーニュは非常に寒く、天候に恵まれた良年でないと色が薄く青臭いワインしかできなかった。
しかしついに17世紀、転機を迎えることになる。
今までは色付けを行ってでも濃く肉厚な赤ワインを目指していたが、繊細さや香り高さを美点とした、真逆のスタイルの赤ワインを造りだすことにしたのだ。
それが見事に功を成し、とうとうシャンパーニュがブルゴーニュの2~3倍近くの値段で取引されるようになった。
その過程で生まれたのが黒ブドウを原料にした白ワイン、ブラン・ド・ノワール。
中世以降、シャンパーニュ最高の銘醸地とされたのはアイだったが、色やタンニン量ではなく風味の繊細さや緻密さ、そして余韻の長さが評価されるようになると、それまで見向きもされなかったモンターニュ・ド・ランスが注目され始めた。
ブラン・ド・ノワールが一般化すると、モンターニュ・ド・ランスの中でも特に優れたテロワールを持つヴェルズネイが脚光を浴び、めきめきとその実力が世に知られていくことになった。
シルリー
というワインをご存じだろうか。
18世紀にフランス国王から『フランス最高のワイン』と称されヴェルサイユ宮殿の食卓を彩った伝説的なワインで、
シャンパーニュに関する最も古い専門書には、当時シルリーワインはブルゴーニュワインの約5倍もの高値がついた記録が残っている。
シルリーワインは、隣村のシルリーで生産されたと思われがちだが、実際にはヴェルズネイのブドウを中心に造られていたらしい。
その栄光は今でも続いており、シャンパーニュの生産者たちにどこの村が良いと思うか尋ねると、ヴェルズネイと答える人が多いそう。
■データ(出典:GRANDES MARQUES&MAISONS DE CHAMPAGNE)
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