長年受け継がれているシャンベルタン・クロ・ド・ベーズや1996年に購入したミュジニーといった希少な畑を持っていますが、ボンヌ・マールこそがこのドメーヌを代表する銘柄なのかなと私は思っています。

ちょうどこのボンヌ・マールが、モレ・サン・ドニとシャンボールの間ではあるんですが、ジュヴレにも近いという場所でもありますので、そういったことを加味した上でもですね。

彼らのボンヌ・マールはシャンボール側ですね。シャンボール側にあってどう違うかというより、白い土壌と赤い土壌が混ざる複雑なボンヌ・マールの中で、彼らの畑は赤茶の粘土が混じる土壌。どういう特徴が出るのかというと、力強く、重心の低いボンヌ・マールになるという特徴があります。
そしてドルーアン・ラローズのものは、力強いボンヌ・マールの中でもシャンボール村らしい優美さがあります。

樽はライトからミディアム・トーストなので、樽の影響はそんなにつけたくないんだなというのが分かります。

2012年は元々力強く壮大な年と言われていて、果実の凝縮感というものがあります。このあたりのヴィンテージは結構1年ごとに差があって、例えば11年は繊細な年、12年・13年・14年と力強く、そこから15年・16年のグレート・ヴィンテージが続きます。そのため12年というとどうしてもあまり語られることの多くない年なのですが、一般的に言われるのは繊細というよりは力強い側に振れるのかなと思います。

私はテイスティングをして、フルーツの凝縮感があって熟成能力が高い、と判断します。いつも驚かされるヴィンテージで、意外と期待せずに飲んで「ああっ、いいじゃん12年」といった印象を抱くような年ですね。

今飲んでもすごく美味しいんですけれども、熟成もできますね。

＜専門誌より＞
ドルーアン・ラローズのグラン・クリュとして長い歴史を誇るボンヌ・マールは、当主フィリップの意見に反して、これこそドメーヌ最高のワインとの評価も高い。

このドメーヌのボンヌ・マールはほかの造り手のものと比べ、かなり良心的な値付けがされている。うれしいかぎりである。
―ともに Winart 第66号より抜粋