カリフォルニアの収穫レポート2020

カリフォルニアの収穫レポート2020

 

 

カリフォルニアの収穫量がここ10年で最低だったというニュース(California Grape Crush Report)の報告は、昨年の壊滅的な山火事の影響を鑑みると驚くことではないでしょう。2020年の収穫量は350万トンで、2019年より14%減少しました。

 

9月に山火事の被害を受けたナパとソノマにおける収穫量減少が顕著でした。ナパではブドウ全体の収穫量が39%減少し、カベルネ・ソーヴィニョンにおいては43%も減少しました。ジンファンデルは47%、メルロは42%、そしてシャルドネは35%減少しています。

 

ソノマより小規模なマリン・カウンティと合算した数値ではありますが、ソノマにおける収穫量は36%減少しました。ピノ・ノワールは38%減少し、赤ワイン向けのブドウの収穫量は更に少なくなる可能性があります。メルロは54%、ジンファンデルは44%、そしてシャルドネは44%減少しました。

 

ワイナリーがこれらのブドウに支払う金額も同時に減少しましたが、これは収穫量が少ない年には例外的なことです。ナパのカベルネ・ソーヴィニョンに対するトン単位の平均価格は22%減少し、1トン6200ドルまで落ち込み、2014年以降最安値を下回りました。ソノマのカベルネ・ソーヴィニョンの価格は19%、そしてソノマのピノ・ノワールの価格は18%減少しました。

 

需要と供給

Turrentine Brokerageの代表であるSteve Fredricksは、2020年までの4年間の豊作が余剰なバルクワインを生み出したことで2020年のブドウ価格が減少したと述べています。2019年はこれ以上売る先がないという理由で収穫されなかったブドウも存在したほどなので、2020年の収穫量が需要と共有の均衡を保つのに役立ったと説明します。

 

「供給過多になってしまったため新たな契約は低価格で行われました。煙害の影響で特に高価格帯のブドウは取引されませんでした。シーズンの終わりに一部の市場向けに割引価格で売りに出されたというのが、ナパのカベルネ・ソーヴィニョンに起こったことです。」とFredricksは語ります。

 

また現在のブドウの需要は、パンデミックの間に拡大した大規模で低価格のスーパーマーケット向けブランドのものが主流なため、ソノマのピノ・ノワールやナパのカベルネ・ソーヴィニョンの需要が減少しているそうです。「レストランが再開するまでは、大手のブランドが市場の主流になることになるでしょう。」

 

Grape Crush Reportからトレンドを予測することも出来ます。今年はナパあるいはソノマのピノ・ノワールから造られたロゼワインを探してみてください。この報告書には収穫時の平均糖度が掲載されています。ナパのカベルネ・ソーヴィニョンの糖度には2019年と2020年の間に大きな変化はありませんでしたが、ピノ・ノワールは平均して最大値よりも低い糖度で収穫されました。つまり、瓶詰めされた赤ワインのアルコール度数は約半分程度になるということです。

 

勝者

実は2020年は温暖な年でした。ナパとソノマのピノ・ノワールの低い糖度は、ロゼワインを造るためにワイナリーが早く収穫をしたことによって発生したのではないかとFredricksは予測します。

 

「ナパとソノマでピノ・ノワールの収穫量が減少することは当初から予測されていましたが、我々には在庫がありました。十分な買い手がいなかったためにソノマのピノ・ノワールが収穫されなかった年が2年間続いたためです。」と述べています。畑の所有者が売上拡大を意識するようになり、カリフォルニアでピノ・ノワールが過剰に植樹されたとFredricksは説明します。

 

また、2020年に売上が急増する前の数年間に植樹が拡大し、カリフォルニアにおいて2019年よりも収穫量が増加した唯一の主要品種はソーヴィニョン・ブランでした。

 

バルベーラとグルナッシュも若干ではありますが収穫量が増加しました。ソーヴィニョン・ブランは収穫が早かったおかげで山火事の炎や煙の影響をほとんど受けませんでした。また、17%の収穫量増加を見せたバルベーラは、他のフランス品種よりもカリフォルニアの暑い気候により適しているというブドウ栽培家の意見をよく耳にします。

 

敗者

一方で、2020年におけるメルロの収穫量は24%も減少し、これはカリフォルニアの主要品種の中で最も大きな減少でした。メルロは暑い地域に適さない品種の1つでもあります。カリフォルニア全体でピノ・ノワールは21%、カベルネ・ソーヴィニョンは14%減少しました。また、シャルドネはカリフォルニアにおいて16%の収穫減となったにも関わらず、州全体の収穫のうち15.2%を占め、最も収穫量が多かった品種となりました。

 

ブドウの価格が減少しバルクワインの売上が増加したことで、ワイナリーのバイヤー達はその品質に喜んでいるとFredricksは語ります。

 

「収穫を終えた今、人々はバルクからワインを試飲していますが、多くの人々がその質の高さを報告しています。山火事による煙のネガティブな影響はありませんでした。消費者には見えない努力が施されたワインがあり、店頭に並ぶワインの品質は問題ないでしょう。我々の想像よりも良い出来栄えとなっています。」とFredricksはまとめています。

引用元:https://www.wine-searcher.com/m/2021/02/californias-wine-grape-crush-report

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