壊滅的な霜害に身構えるフランス
昨年、霜がフランスのブドウ畑に大きな被害をもたらし、過去半世紀で最小の収穫量となりましたが、これが再び起こるかもしれません。
2021年の壊滅的な春先の霜害からまさに1年後の4月上旬。
4月1~3日の週末にかけて夜に全国的に霜が降りる可能性があるとの予報を受け、栽培家たちは再び週末の寒波に備える事となりました。フランスの気象学者Serge Zaka博士が発表した気象モデルによると、この霜を避けられるのはフランス西部(ボルドー、コニャック、ロワール西部をカバー)と、最南端にあたるプロヴァンス、ラングドック・ルーションの地域のみと伝えられました。
しかし、この寒波は2021年ほどの壊滅的なものではなさそうです。一部の地域ではブドウ樹は芽吹きを迎えていますが、暖冬で全国的に芽吹きの早かった昨年ほどの暖かい気温には達していないからです。
「ブドウ樹のほとんどがまだ芽吹きを迎えていない状態です。そして、今年は剪定時期を遅らせたので、霜の被害を受けることはないはずです。」と、ジヴリのある生産者はWine-Searcherに語りました。
初期のブドウの成長を遅らせることで春の霜のシーズンをうまく乗り切るために、遅めの剪定は推奨される(そしてよく用いられる)方法の1つです。
しかし、生産者達の霜対策に影響を与える要因は他にも幾つかあります。フランスのワインニュースサイトVitisphere.comによると、ワイナリーが直面している問題として、2021年以降保険料が上がっている点や、ウクライナ紛争が引き起こしたエネルギー危機により、農業用ディーゼル(霜対策用ヒーターの主要燃料で、環境への影響が少ない)が手に入りにくくなっている点を指摘します。
「アルザス、シャンパーニュが位置する北フランスはまだ芽吹きが終わっていません」とZaka博士は述べます。さらに、萌芽の早い早熟な品種にとって、霜害のリスクが高いエリアとして「ロワール渓谷(ペイ・ナンテ(ミュスカデ)はまだ低く20~30%、トゥーレーヌは40~70%の被害)、ボージョレ、そしてブルゴーニュ地方で高いです。ボルドーとコニャックについては、大西洋沿岸では被害リスクは少ないものの、東部地域に進むにつれて、30~40%程度の潜在的損失が発生する可能性があります」と付け加えます。
週末にかけてリスク予報は上方修正され、シャブリとロワール地方は、日曜日の夜、気温がマイナス4度まで下がり、厳しい霜の危険があると伝えられました。Zaka博士によると、より広域で地中海に面するローヌ地方は、渓谷に吹く風として知られるミストラルの影響を受けますが、「もしこの風が止んだら、気温はマイナス3度から4度まで下がるでしょう」と話します。
「霜対策用のヒーターに火をつけ、そして神に祈るしかありません」と、ある生産者はVitisphere.comに語っています。
引用元: https://www.wine-searcher.com/m/2022/04/france-braces-for-devastating-frosts
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