破壊的な霜害に襲われたオレゴンとカリフォルニア

破壊的な霜害に襲われたオレゴンとカリフォルニア

オレゴンとカリフォルニアでは、霜害という好ましくない存在により、いくつかの地域は限界まで追い詰められています。


オレゴン州のウィラメット・ヴァレーとカリフォルニア州のゴールドカントリーでは、4月に入ってから重大な霜の被害が発生しています。オレゴンのニュース紙であるオレゴニアンは、ウィラメット・ヴァレーではブドウの収穫量の半分が失われるかもしれないと報じました。

 

これは2020年に山火事に見舞われた地域にとっては大きな打撃となるでしょう。オレゴニアン紙の報道は、ブドウ畑管理のコンサルタントの推定に基づくもので、その正確性を評価するのは時期尚早だと言えます。私たちWine-Searcherが確認したウィラメット・ヴァレーのワイナリーは大きな被害を受けていませんでした。しかし、この4月に入り、霜の被害があった事は明らかであり、2022年のオレゴンのヴィンテージは難しいものになりそうです。

 

被害はウィラメット・ヴァレーの北端が最も酷かったようです。この地域の幾つかの生産者は、2022年の収穫のほとんどを失うことになるかもしれません。一方で、ウィラメット・ヴァレーのその他の地域はほぼ影響を受けないでしょう。

 

カリフォルニア州では、ローダイ、クラークスバーグ、アマドール郡、そして最もワイン供給に支障をきたす可能性が高い、アメリカのスーパーで販売されるワインの多くが生産されるサンホアキン郡を霜が襲いました。地元のテレビ局によると、サンホアキン農業局はこの霜による被害の程度を調査中との事です。

 

霜は地球温暖化によりさらに深刻度が増しており、最近ではフランスやイタリアのブドウ栽培者にも巨額の収穫損失をもたらしました。地球温暖化により、ブドウ樹は冬の休眠から通常より早く”目覚める“ようになったため、脆く繊細な若い芽は霜によってやられてしまいます。とはいえ、オレゴンやカリフォルニア中部を襲った4月の寒波は、ここ30年間でも異常な事ではありました。

 

霜害について良い点を挙げるとすれば、そのほとんどが1年限りの問題であることです。若い芽が枯れると、その年は再生しないので熟すための房を付けることは出来ません。しかし、ほとんどの場合、長期的にみるとブドウ樹自体にはほぼ問題がないと言えます。気温が下がりすぎるとブドウ樹自体が枯れて死んでしまうことはあり得ますが、今回の霜害でオレゴンやカリフォルニア中部がそうだったように、摂氏0度より数度低いだけではブドウ樹そのものへの致命的な害はないのです。

 

ウィラメット・ヴァレーにあるLingua Franca Wineryの創設者であるLarry Stoneは、霜が降りる一週間ほど前にConstellation Brandsにワイナリーを売却したばかりです。彼はWine-Searcherに対し、ワイナリーの最良のブドウ畑であるEola-Amity HillsのLSVとSouth Salem HillsのBunker Hillがほとんど影響を受けなかったことに安堵していると話しました。

 

「シャルドネの樹の一部を除いては、霜による目立った損失はありませんでした。ブドウ畑の責任者であるBrandon Hastertによると、その損失は1%以下であり、測定不可能なほど小さいものでした。谷をより北に進んだDundeeとChehalem Mountainsに近いところでは、空気が冷たく停滞しており、一部の生産者は大きな被害を受けていると聞いています。2020年の苦難から間もない時期に起きた彼らの苦境に非常に心を痛めています」とStoneは語ります。

 

オレゴンワインボードのコミュニケーションディレクターSally Murdochは、協会は被害を査定するためにもっと時間が必要で、数週間以内に報告書を作成したいとWine-Searcherに語りました。

 

希望の兆し

ここで1つ明るいニュースもシェアしましょう。
(これだけの霜害があった)ウィラメット・ヴァレーなので、今年どんなワインを作ろうとも、それ以上他からの影響を受けることはないでしょう。たとえ生育期の後半に大惨事(山火事や収穫まで長引く雨)が起こったとしてもです。個々でみれば苦しむ生産者はもちろんいるでしょうが、そうした中で2020の山火事と2022の霜害のダブルパンチを受ける人が多くないことを祈るばかりです。しかし、生き残ったワインは問題ないでしょう。

 

厳密には、すでに希少な製品の希少性をより高めることは、本質的なナパ・ヴァレーの成功の方程式です。霜で傷んだブドウの樹を目にしている生産者達にとっては聞きたくない話でしょうが、(霜による生産減でワインの希少価値が上がる事により)全体として、オレゴンのワイン産業はこの嵐を乗り切る事が出来るでしょう。そして、オレゴンのワイナリーを購入したいという外部の投資家の関心も衰える事はありません。

 

残念ながら、生産者達が量で稼ぐカリフォルニアのサンホアキンヴァレーではそうはいきません。干ばつが続いている事に加え、今年は州からの給水がないとの警告を受けているため、すでに渓谷の東側の温暖な地域の生産者の中には、今年はブドウ樹の手入れをやめた人も出てきています。サンホアキンヴァレーからの生産量が大幅に減少すると、スーパーマーケット用のワイン生産者は、以前にも起きたように他国からのバルクワインを探すようになります。そしてスーパーマーケットで販売されるワインの価格上昇にも繋がるでしょう。

 

カリフォルニアで霜の被害を受けた他の地域、ローダイ、クラークスバーグ、アマドール郡は、一般的なカリフォルニア・アペラシオンのワインより一段上ですが、ウィラメット・ヴァレーのワインほどは求められていないという居心地の悪い立場にあります。ウィラメット・ヴァレーの生産者の中には、シンプルに2022年のワインに50%高い値段をつけることで収穫減のダメージを相殺しようとする先もあります。ローダイのワインは一貫して堅実な値付けを行ってきたので、そのような値上げを行うのは遥かに難しいでしょう。

ローダイ・ワイングレープ・コミッションのエグゼクティブ・ディレクターStuart Spencerは、地元のテレビ局に対し、彼の家族がアマドール郡に所有するブドウ畑では収穫量の推定50~75%を失ったと語りました。アマドール郡は2021年も不運が襲いました。州のほとんどが山火事のないヴィンテージを楽しみましたが、アマドール郡はカルドール火災で大打撃を受けたのです。ジンファンデルで有名なアマドール郡は、サクラメントの東側に位置し、州内で最も古いブドウ樹がいくつか植わっています。

 

引用元: https://www.wine-searcher.com/m/2022/04/killer-frosts-hit-oregon-and-california

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