雹による損失の見通しを立てるフランス

雹による損失の見通しを立てるフランス

6月上旬フランスはまたもや異常気象に見舞われたようです。


6月上旬、フランス全土のワイン産地を雹が襲いました。、アルマニャック、ルーションでは、雹によるブドウ畑の被害が報告され、中には100%もの損失を記録した先もありました。

 

アルマニャックでは、6月10日、4000ha以上のブドウ畑が雹に覆われ、ブドウ栽培者は“破滅的な”光景を目の当たりにしたと言います。アルマニャック地方の業界団体を率いる  Olivier Goujon  は、AFP通信に「雹の中にはゴルフボールよりも大きいものも含まれていた」と語りました。

 

ブドウ栽培家の  Nelly Lacave  は、所有する8.5haの畑のブドウ全てを失いました。「春先の霜で既に50%の損失がありましたが、雹の後は100%となってしまいました。まるで世界の終わりのような光景です。畑には何も残っておらず、小屋の屋根には大小様々な穴が開いており、我が家では窓ガラスが粉々になっています。70歳近い父も、こんな光景は見たことがないと話しています」

 

北部のベルジュラックでも同様の光景が見られ、ワイン誌の  Terre de Vins  は雹の大きさを“鶏の卵の大きさ”だと表現しています。最も被害を受けたのは、アペラシオンの西部地区でした。

 

「サント・フォワ・ラ・グランドからジロンドとドルドーニュの境界まで、左岸から川を遡り、ソーシニャックとポンポールを通ったエリアが特に大きな被害を受けており、幾つかの区画は100%破壊されました」と  Terre de Vins  は説明します。

 

「雹によりソーヴィニヨン・ブランの約30%が被害を受けましたが、マルベック、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンは、実がより大きく成長も進んでいたので、その被害は50%程に及ぶでしょう」
Château Le Tap  の  Olivier Roches  は  Terre de Vins  にこう語っています。

 

ベルジュラック・デュラス・ワイン生産者協会の  Eric Chadourne  代表は、当初はこれ以上ないほど楽観的でした。

 

「4月上旬の霜の後、30~40%の被害がありましたが、ブドウ樹はよく回復し、2022年の収穫はあまり収量減にはならないだろう、と大きな期待を持っていました」

 

「しかし、開花の終わりに起きたこの雹は酷いもので、何よりも最悪の時期に発生してしまいました。この嵐は大虐殺のようなもので、ベルジュラックの人々にとって悪夢としか言いようがありません」

 

さらに北のロワール渓谷では、雹の影響は限定的で非常に局地的なものでした。Terre de Vins  によると、サン・ニコラ・ド・ブルグイユは雹の影響を免れたものの、ブルグイユとシノンには雹が降り、後者は(ソーミュールの一部地域とともに)最も大きな被害を受けたと言います。

 

しかし、この嵐は6月10日(金)と11日(土)に限った事ではなく、ワインニュースサイトの  Vitisphere.com  は、翌週頭にはルーションで局地的な(しかし激しい)雹の被害があったと報告しています。

 

6月12日の月曜日、ペルピニャンの北西に位置するルーションのレ・アスプレの一角を、予想外の雹の嵐が襲いました。報道によると、約100haのブドウ畑が被害を受けましたが、作物の被害率は30~50%程度と報告されています。

 

ピレネー・オリエンタル農業会議所のブドウ栽培責任者である  Julien Thiery  は、Vitisphere.com  にこう語りました。「雹の被害はパッサ周辺で非常に局地的に発生しました。ミュスカは90~100%の被害を受けたと報告を受けていますが、より正確な被害状況を把握するため、引き続き畑のモニタリングを続けます」

一方、サヴォワ地方の一部では、道路に積もった雹を除去するために除雪車が出動しなければなりませんでした。

 

サヴォワのワイン業界団体のスポークスマンである  Franck Berkulè  は  Vitisphere.com  に次のように語りました。
「この嵐は正午前に発生し、我々を驚かせました。雹は、雪のように見えるほど厚いカーペットを作り、コンブ・ド・サヴォワのブドウ畑全体が、程度の差こそあれ、被害を受けました。雹の被害は不規則で、ある区画で非常に激しく降っても、次の区画では降らず、その次の区画を襲う可能性もあります」

 

サヴォワ南端部に位置するアルバンのワイン生産者  Fabien Trosset  は、所有する25haの内20haが被害を受け、幾つかの区画は完全に破壊されたと  Terres et Vin  に語りました。特にアルテッセとルーサンヌが被害を受けましたが、これは隣接するクリュエでも同様です。

 

クリュエ協同組合の会長  Yvan Bouvet  は被害の状況について  Vitisphere.com  に次のように語っています。
「360haの内、少なくとも25haが100%破壊され、予備枝にあたる2本目まで切断され、葉もブドウも残っていません」
「続いて60haで50%、その他は30%程度の損失を被っています」

 

しかし、悪いニュースばかりではありません。この悪天候は、5月に報告された干ばつの危機にさらされているフランスの一部地域に必要な雨をもたらしたからです。

 

「雨が降ったのは良かった点です。この悪天候まで3ヶ月間で25mmの降雨しかありませんでしたから」とトゥーレーヌにある  Domaine de la Rouletière  のJ  ean-Marc Gillet  は  Terre de Vins  に語りました。

 

ところが、ローヌ地方南部では今年は大干ばつになりそうだとの報告が上がっています。オランジュでは去年の収穫時からの雨量が200mmしかなく、オランジュとアヴィニョン周辺(特にアヴィニョン西部、ローヌの反対側、シニャルグ周辺)は特に厳しい状況にあるとの事です。

 

6月上旬に発表された公式レポートによると、「ブドウ樹は現在成長しているが、区画によっては3分の1から半分の主枝の成長が遅れている」とあります。さらに「より厳しい状況にある幾つかの区画では、落葉が見られるようになった」と伝えています。

 

 

引用元: https://www.wine-searcher.com/m/2022/06/france-counts-the-cost-of-hail

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