ローヌ2022:奇跡は起こる

ローヌ2022:奇跡は起こる

ローヌはしばしば良いワインと素晴らしい価値を提供してくれますが、2022年のヴィンテージは驚くべきものです。


またしても非常に暑い年で、雨は一滴も降らなかったのに、ワインはフレッシュで、アルコールも控えめでした。ブドウ木は本当に素晴らしい植物です。
このような奇跡を期待し始めた年は、おそらく全てがうまくいかない年になるものです。だから当分の間は、この奇跡の驚きに浸っていましょう。

 

驚愕理由その1:ローヌ北部では、記録的に暑く乾燥した年でした。教科書を読めば、この年はドライなタンニンで、アルコール度数も高く、がっしりしたワインになるとあり、そういうスタイルのワインが好きでなければ全く期待できないでしょう。しかし実際には、ワインはピュアでエレガント、生き生きとしていて、精密で、とても素晴らしいです。多くのワインはすぐに飲めるほど親しみやすいものです。

 

酸味は高くはないですが、十分な量はあります。世界中で、酸味よりもフレッシュさを重視する生産者が増えていますが、それには理由があります。このワインは確かにフレッシュです。

 

気象条件を詳しく見ると、いくつかのヒントがあります。 Domaine Graeme & Julie Bottは言います。「データ上では、2022年は2003年に似ていた。しかし実際は逆だった。2003年はこれまでで最も早い収穫でした。また、2003年は霜が降りた年だったので、収穫量は当初から減少していました。2022年は健全な収穫で、最初から暑かった。ブドウ木は早くから順応し、ワイヤーの上までは伸びませんでした。乾燥した環境の中で成長し適応していったのです。ブドウ木は私たちよりも適応が早いのです」。

 

春は乾燥していました。Tain l’Hermitageでは最初の3カ月でわずか70mmの降雨しかありませんでしたが、葉が開き始めた4月初めの寒波を除けば、暖かさが続きました。5月末までにローヌ北部で降った雨はわずか110mmで、1959年以来、1976年と2003年に匹敵する干ばつでした。6月中旬には本格的に暑くなり、気温は南から上昇し、乾燥した風が吹くようになりました。

 

「干ばつに対してはどうするのですか」と、Domaine Rémi Nieroの当主に尋ねたら、「祈るのです」という回答でした。他には?と聞くと、「剪定は干ばつの直前に行う。剪定を短くすることで、ブドウの実が少なくなり、ブドウ木のストレスが軽減されます」と答えました。

Chapoutier では、暑く乾燥した年には葉陰が必要だと強調しています。特に新梢の成長が遅かったので、新梢のトリミングをやめました。蒸発を抑えるために土壌を耕すのをやめ、カバークロップは何でも残したそうです。

 

南に行けば行くほど雨は少なくなりました。北部、特にクローズ・エルミタージュとコルナスでは、8月までに250mmの雨が降りました、これは通常の1/3の量です。しかし、ラングドックまで下ってくると100mm程度でした。

 

そして8月14日、シャトーヌフ・デュ・パプの南部、特にラ・クロー台地で大きな雹の嵐がありました。ブドウ木からは葉も果実もはぎ取られました。Vieux Télégraphe では赤も白も造れないというはじめての事態です。モーヴの一部ではその直前に雹が降りましたが、ラ・クローの被害は甚大でした。7月に入ると再び熱波が吹き荒れ、特に斜面ではブドウ木の生育が止まり始めました。クローズ・エルミタージュの平地のブドウ木はまだましでした。場所によっては山火事が発生しました。

 

8月14日、シャトーヌフでは雹が降り、北部には雨がもたらされました。そして突然、全てが再び成長し始めたのです。ブドウ木は新しい葉を茂らせ、カバークロップも緑を取り戻しました。ブドウは熟し始めましたが、サイズは大きくなっておらず、果汁がそれほど多くなかったため、比較的小規模の収穫ヴィンテージとなりました。

 

方法の変更

ワイナリーでは、生産者は市場状況に応じて引き算の醸造をする様になりました。Nieroは言います。「1980年代や1990年代に比べて、今はもっと軽く抽出をする様になり、ブドウ栽培技術も上がってきています。私は6、7種類の樽を使い、赤用に2、3種類、白用は1〜3種類です。そして、毎年10%は新しい樽を導入します。新樽を使わないワインもたくさんあり、使うのは最大でも50%です」。

 

Graeme Bott はこう付け加えます。 「収穫日は、最後に収穫する人がベストなのか?という問題ではありません。赤ワインでは激しいことはせず、1日1回のポンピングオーバーと穏やかな抽出を行うだけです。レシピはありません。季節を読み、区画を理解することです」。

 

アンフォラも使われる様になり、この土器で造られる赤ワインはシルキーで控えめなタンニンが特徴的です。粘土素材の土器はグルナッシュと相性が良い様です。今のところ、この種のワイン造りは南部で盛んな様です。

 

2022年のヴィンテージは偉大だと賞賛されていますが、私は南部よりも北部に1、2点高い評価を与えたいです。南部ではまだ多くの重厚なワインが造られており(これは明らかにヴィンテージのせいばかりではない)、アルコール度数もかなり高いです。例えば16.5%で、残糖は4g/ℓ。これはアマローネの領域に入っており、シャトーヌフのあるべき姿ではありません。

 

このようなワインの生産者にアルコールについて尋ねると、シャトーヌフであろうとどこであろうと、彼らの答えはいつも同じです。「アルコールは感じない」。というかつまり、4g/ℓの残糖があれば、アルコールの高さをあまり感じないという事でしょう。糖分がアルコール感を包み込んで感じさせないからです。グルナッシュが高アルコールになりやすいのは事実で、13.5%のグルナッシュは稀有な存在です。しかし、生産者たちはいつになったらアルコールが高すぎることを受け入れるようになるのでしょうか?「15.5%なら1本全部飲むな」というのが、あるワイン商のアドバイスです。付け加えるなら、そもそも買うこと自体気をつけたほうがいいかもしれないです。

 

もちろん、気候変動は他の地域と同様、ローヌにも影響を与えています。北部のシラーは良好なゾーンにうまく収まっており、おそらくしばらくはこのまま大丈夫でしょう。しかし、南部は暑くなり干ばつが進んでいます。温暖な気候のブドウとしてひとくくりにされるかもしれませんが、シラーとグルナッシュは実際には異なる条件を好むということを覚えておく必要があります。非常に乾燥した場所のシラーは、土っぽくて味気ないです。

 

ラストーでは、Domaine des Escaravaillesの4代目であるMadeline Ferranが、最近のシラーは30年程度で若くして枯れてしまうと語っています。ラストーは法律でシラーを20%ブレンドしなければなりませんが、アルコール度数が低いサンソーにも移行しつつあります。しかし、サンソーは樹齢の高いブドウ木であることが必要で、若い木のサンソーでは良いワインができないと、彼女は言います。

 

南ローヌで人気が高まっているもう1つの品種はムールヴェードルで、2022年はムールヴェードルとグルナッシュが非常に良好でした。これほど広大な地域について一般化するのは難しいですが、2022年の南ローヌの赤ワインはみずみずしく豊満で、酸味は低めです。ヴァケラスはジューシーで、 Château Rayasのワインは精密です。

 

白はどうでしょうか?全体的に酸味は弱く、南部では豊満で、時には少しふくよかすぎる面もあります。北部の方がバランスが取れています。Jean-Luc Colomboはルーサンヌの大ファンで、鶏肉、ウズラ、ホタテ、クリームソース、酸味を必要としないアジア料理に完璧に合うと言います。マルサンヌはそれほど評価しないが、ルーサンヌには複雑性があります。暑さに強い白ブドウは注目に値します。

 

「ローヌは今でも非常にお買い得です」。ロンドンのワイン商、Lea & Sandeman のCharles Lea は、Rayasの最初の割り当てを手に入れたことを非常に喜んでいます。彼は、適正な価格、つまりトップ・ブルゴーニュの価格よりもかなり安い価格でワインを提供してくれるレストランにこのワインを置くつもりです。ローヌはファッショナブルになりつつあるか?という問いに対しては、「ファッショナブルになることを望んでいますが、まだ注目されていません」と彼は言います。

 

小さなドメーヌがたくさん存在するコート・ロティは、個性と高品質を求める人にとっては良い狩場でしょう。大きな規模ではありません。面積は500haありますが、栽培面積はわずか276ha。ジュヴレ・シャンベルタンの栽培面積は310haです。エルミタージュは有名生産者が独占しているとLeaは指摘します。そして、クローズ・エルミタージュはフランスで最も収益性の高いアペラシオンだと考えられています。しかし、コート・ロティでは、ワールドクラスのワインが1本£50($64)で買えるし、シャトーヌフではもっと安い値段で素晴らしいワインがある、とLeaは付け加えます。

 

つまり、驚くべき事実その2:これらのワインは手ごろな値段である。ワールドクラス、そしてお手頃。誰にも言ってはいけない。

 

引用元: Rhône 2022: Miracles Happen
この記事は引用元からの許諾をいただき、Firadisが翻案しています。
    文責はFiradisに帰属します。

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