イタリア、当たり外れ拮抗の収穫に耐える
- 2024.12.19
- ワインニュース
- 2024ヴィンテージ, イタリア
収量が減少したとしても、生産者はイタリアの2024年ヴィンテージの品質に強気です。
収穫はイタリア全土で困難なものとなり、多くの生産者が収量減を報告しました。
しかし、今年のブドウ栽培期間は、2023年のベト病・ペロノスポラの蔓延や、2022年の深刻な干ばつと猛暑の残酷な組み合わせのような、近年の厳しい試練はありませんでした。
ざっと主なワイン産地を見てみましょう。
ピエモンテ
アルバにあるPio Cesare のFederica Boffa は、暖冬の後、6月末まで雨が降り続いたが、「ついに夏が爆発した」と表現します。
ピエモンテの気温は極端な猛暑に見舞われることなく上昇し、水分も十分に供給されたため、植物は健康な状態でした。今年の収穫は遅めで、白ブドウの収穫は9月20日頃から、ネッビオーロは9月の第2週から始まったと彼女は説明します。
バルバレスコのDaniela Roccaにとって、9月の気温の低さは異例でしたが、特に夜間はネッビオーロとバルベーラにとって完璧なコンディションとなりました。「2024年の収穫は、かなり遅めの収穫と涼しい天候で、昔のヴィンテージを思い起こさせるものだ」とRoccaはコメントします。
バローロ生産地域の南西部、ノヴェッロにあるワイナリーElvio Cogno のValter Fissoreにとって、2024年はいわゆる “普通”のヴィンテージでした。Fissoreの言葉を借りれば、「“普通”とは良いとか悪いとかいう意味ではなく、気候変動の傾向が過去に近いコンディションを作り出したということ」です。収量は平均20~30%減(ナシェッタは50%減)だが、品質は良さそうで、特にネッビオーロはここ数年は比較的少量で栽培しており、その結果、ブドウの品質が向上したと彼は考えています。
モンフォルテ・ダルバの Poderi Aldo Conternoでは、Giacomo Cordero が2024年を、適度なアルコール度数も、アロマの観点からも 「クラシック」なヴィンテージと評しています。「このヴィンテージは2つの基本的な側面を浮き彫りにした」とConternoはコメントします。「それは、偉大なテロワールを持つことの重要性と、ワイナリーが畑の中で厳格にブドウの選別を行う能力だ」。
ヴェネト
ソアーヴェのアイコンであるAndrea Pieropan によると、2024年はガルガーネガの開花期に大雨が降り、深刻な収穫減に見舞われた難しいヴィンテージでした。
彼は、通常ワイナリーにとって良い天候となるはずの9月の状況が良くなかったと指摘しました。収量は減少したが、ガルガーネガのブドウは 「素晴らしく豊かなアロマになっている」と彼は報告し、ブドウ畑における技術が進歩し、おかげで労働者がより早くブドウを収穫できるようになったと言います。
トスカーナ
キャンティ・ガイオーレのRocca di Montegrossiでは、Marco Ricasoli Firidolfiが、 「昔ながらの」春があり、その後非常に気温の高い夏の日が続き、そして「過去20年とは違って」かなり冷夏になったと振り返ります。収量は過去10年の平均を下回るものの、2023年よりもやや多いとのことです。
「今年はメルローがヴィンテージの王者のようだ」と、Ricasoli Firidolfiはコメントします。「冷涼だった春と夏の終わりが、メルローをよく成熟させ、とても心地よく力強い果実味になった」。キャンティ・クラシコ南部に位置する彼の畑は、高品質なワイン造りに最も適した興味深いエリアのひとつであり、2024年は 「ヴィニュロン」のヴィンテージであり、「テロワールと生産者の手腕」に大きく左右されるヴィンテージだったと言うことです。
さらに北のキャンティ・ラッダに位置する Castello di Volpaiaでは、Federica Mascheroni Stianti が、雨の多かった6月、暑かった7月と8月、そして雨が多すぎた9月と、「あまりバランスの取れたヴィンテージではなかった 」と振り返ります。彼女は、メルローはとても素晴らしく、サンジョヴェーゼは 「ブドウ畑の上部ではなく中央部で最高のブドウができた」と指摘しました。これらのブドウはキャンティ・クラシコ・リゼルヴァに使用されます。
ウンブリア
地元のAntonelli San Marco estateの Filippo Antonelli によると、他の地域とは異なり、モンテファルコ地区では収量が多かったそうです。
「さらに嬉しいことに、ブドウの質は並外れたものになりつつあります」。
この幸運は、非常に暑く乾燥した夏の後、気温が下がり、必要な量の雨が降った9月の天候のおかげだと彼は言います。Antonelli は、主にトレッビアーノ、サンジョヴェーゼ、サグランティーノを栽培していますが、「特定の品種について特筆すべきことはない。全て健康で順調な生育で、さらに収量も、品質についても素晴らしい」と説明します。
マルケ
Verdicchio dei Castelli di Jesiの一流生産者の一人であるアピロのAndrea Felici estateのLeo Felici は、ブドウ木の健康にとって有益だった生育期の多様な天候について言及しました。
「5月から6月にかけて頻繁に雨が降ったが、晴れたり風が吹いたりする日もあり、ブドウをカビなどの病害から守るのに大いに好都合だった。特に、ベト病とウドンコ病からブドウ畑を守ることができた。素晴らしく完璧な状態で、6月末の時点では病害はほとんどなかった」。
降水量が少なく平均気温を上回る夏の後、9月は頻繁に雨が降り、気温が下がりました。これは特に9月初旬に顕著でした。Feliciは、昼夜の気温差のおかげで、植物が最適な状態の生育活動を再開し、これが9月の残りの期間の特徴であると指摘しました。地元のワイン生産者にとっては、ブドウの健康状態が良好であったため、品質は極めて良好でした。
カンパーニャ
アヴェッリーノ県にあるMontefalcioneで、経営者のIlaria Petitto は「この地域の天候は通常通りで、気候変動の影響は受けていない」と語ります。
夏は乾燥して暑く、9月には秋めいた気温になり雨が降り、その結果、生産者はブドウの成熟について的確に予測することができました。そして、ブドウ畑の状況を適切に監視して、収穫を予定通りに開始することができました。全体として、収穫量は最近の標準を少し下回ったとPetittoは報告します。品種については、アリアニコが最も良さそうだと彼女はコメントします。
アヴェッリーノ県ソルボ・セルピコにあるFeudi di San Gregorio の経営者Antonio Capaldoは、2024年は収量が平均より20%ほど低く、量は限られるものの、「全体的に非常に良い収穫」だと考えています。Capaldoは2024年のヴィンテージについて強気です。気温の低下(約15度の低下)により、「ブドウの房をより長く木に生らせておくことができたので、完璧な成熟と幅のあるアロマになった」と言います。
全体的な品質について、特にアリアニコに関しては素晴らしいものになると彼は信じています。生産者にとって、今シーズンは「驚きの連続」でした。毎年のヴィンテージはますます予測不可能になってきています。
引用元:Italy Endures a Hit-and-Miss Harvest
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