最上のキャンティ・クラシコが本領を発揮する時

最上のキャンティ・クラシコが本領を発揮する時

・クラシコが初めて100点を獲得したことで、ブルネロ・ディ・モンタルチーノのトスカーナでの覇権に挑戦することになるかもしれません。


キャンティ・クラシコは市場に出回っているどのワインよりも強い知名度を誇っています。そしてその多くは、注目に値する品質と健全な価格設定を組み合わせてきたこのワインの長い歴史に関係しています。

 

しかし、このエリアの生産者は常に市場でのイメージ向上を目指しており、コストパフォーマンスの良い日常的な赤というだけにとどまらず、世界最高のワインと比肩する最も重要な赤ワインの1つになることを目指しています。

 

2014年に誕生したキャンティ・クラシコの最高品質カテゴリーであるグラン・セレツィオーネのおかげで、この野望は現実のものになるかもしれません。数か月前、影響力のある著名なワイン評論家が、Barone Ricasoli  の  2018 Chianti Classico Gran Selezione Ceni Primo  に100点をつけたのです。このスコアはそれだけでもとても印象的ですが、より重要な意味を持っています。なぜなら、これが主要な評論家から100点を与えられた最初のキャンティ・クラシコだったからです。

 

100点満点の評価指標が30年以上にわたり批評家達に使用されてきたことを考えると、今までなかったというのは信じがたいですが、確かに最初に100点を獲得したのはこのワインでした。

(注:このエリアでもほんの一握りのワインが100点を獲得したことがありますが、それらはIGTワインであり、キャンティ・クラシコの例ではありません)

著名な  Castello di Brolio  を生み出す  Barone Ricasoli  の当主、Francesco Ricasoli  はこれが歴史的瞬間であることを認めながらも謙虚さとともにこう反応しています。「私自身も非常に喜んでいますが、アペラシオンにとっても大きな快挙であると感じています。我々は目に見えない壁を突破したのです。」

 

このグラン・セレツィオーネのニュースが届いたのは、キャンティ・クラシコで  UGA  (Unità Geografiche Aggiuntive or Additional Geographical Units)  と呼ばれる新しい制度が間もなく導入されるのと同じ時期でした。このUGAの本質は、ラッダ・イン・キャンティ、ガイオーレ・イン・キャンティやパンツァーノといったコミューンまたはサブコミューンの名前を、ブドウの出所について特定の表示規則を求めるワインのフロントラベルに記載することが可能になったということです。ピエモンテのバローロとバルバレスコにも  MGA  (Menzioni Geografiche Aggiuntive)  と呼ばれる同様のシステムがあり、現在、キャンティ・クラシコの生産者たちは、ワインのスタイルの違いによるアイデンティティを強化するためにこれに追随しています。

 

UGA  のルールは複雑でキャンティ・クラシコのカテゴリによって異なります。グラン・セレツィオーネにおいて特筆すべきルールは、ラベル上に UGA で認められた地域名を表示する場合、100%サンジョヴェーゼで造られなければいけない、というものです。現在のグラン・セレツィオーネの規定ではサンジョヴェーゼの使用は最低85%以上を義務付けられています。(UGA ラベルはまもなく適応され、2022年頃から有効になる見込みです)

 

グラン・セレツィオーネのほとんどがすでに100%サンジョヴェーゼで造られていることを考えると、この新しい法令が規制を大きく変えることはなさそうですが、世界の舞台でのグラン・セレツィオーネのイメージを変える可能性があります。トスカーナで最も重要な赤ワインであり、セラーでの長期熟成の可能性をどのワインよりも秘めるブルネッロ・ディ・モンタルチーノは常に100%サンジョヴェーゼで生産されているのですから、これからはグラン・セレツィオーネとブルネッロ・ディ・モンタルチーノを比較したくなるかもしれません。

 

グラン・セレツィオーネの生産者たちは、自身のワインとブルネッロ・ディ・モンタルチーノを比較することについてどう考えているのでしょうか?・コンソルツィオの会長を務める  Giovanni Manetti  氏は、これについての彼の考えと、グラン・セレツィオーネの本質を共有してくれました。「100点満点の評価は、このプロジェクトに参加するようほかの生産者を説得するのに役立つかもしれません。しかし、ブルネッロと比較することは、グラン・セレツィオーネを最初に立ち上げたときも今日も私たちの意図した事ではありません。グラン・セレツィオーネは独自のアイデンティティとキャンティ・クラシコが達成しうる表現を備えた、全く別のカテゴリのワインなのですから。」

 

ブルネッロへの挑戦

キャンティ・クラシコがグラン・セレツィオーネとして認定されるには、特定の要件を満たす必要があります。最も需要なのは、ワイナリーが栽培から瓶詰まで手掛けることと、ワイナリーの持つ単一畑または厳選されたブドウで生産されるということです。その他の条件は、ワイナリーでの最低30ヶ月の熟成が含まれ、そのうち3ヶ月はボトルに入れておく必要があり、最低でもアルコール度数は13%なければいけません。

 

グラン・セレツィオーネのワインの大部分は2010年ヴィンテージより生産されるようになり、これらの多くは2013年と2014年にリリースされました。コンソルツィオの統計によると2014年に販売されたのは約30銘柄ほどでしたが、その後7年間で劇的に増加し、現在では145ものワイナリーで合計182銘柄がグラン・セレツィオーネとして生産されています。これはキャンティ・クラシコ全生産量の6%に相当します。非常に小さいように思えるかもしれませんが、Manetti  はこの数字に喜んでいます。「キャンティ・クラシコの生産者の間で、この新呼称に対する同意がゆっくりではあるが絶え間なく広がっています。」

 

カステッリーナ・イン・キアンティの  Tenuta di Bibbiano  の当主、Tommaso Marrochesi Marzi  は「アペラシオン、特にグラン・セレツィオーネの品質への高い評価」だとして、Ricasoli  の100点獲得に喜んでいます。彼はグラン・セレツィオーネワインの全体的な品質が今後ますます向上していくことを確信しています。「単一畑をグラン・セレツィオーネとして瓶詰するワイナリーの数がますます増えており、これこそがこのカテゴリーの最も重要な特徴だと考えています。私たちの願いはワインの出所の畑まで遡り、そのテロワールを表現する事なのですから。」

 

では、Marrochesi Marzi  は、グラン・セレツィオーネをブルネッロ・ディ・モンタルチーノと比較すべきだと信じているでしょうか?「キャンティ・クラシコとモンタルチーノのテロワールは全く異なります。さらに熟成のルールも大きく違います。100%サンジョヴェーゼで造られたとしても、キャンティ・クラシコは最終的に多様なサブゾーンに分かれるため、適切な比較はほぼ不可能と言えるでしょう。」

 

少なくとも1つのグラン・セレツィオーネをリリースするキャンティ・クラシコの生産者は増え続けていますが、この流れに抵抗する生産者もいるので、このカテゴリーにはまだ不確実性があると言えるでしょう。中でも重要なのは、ガイオーレ・イン・キャンティの  Badia a Coltibuono  のワインメーカー/共同所有者である  Roberto Stucchi Prinetti  の存在です。

 

「グラン・セレツィオーネが設立されたとき、私は反対し、逆に代替案であったサブゾーン表示(現在のUGA)に賛成していました。現時点では、グラン・セレツィオーネに反対しているわけではありませんが、あまり興味がありません。リゼルヴァとどのように違うのかが分からないのです。生産者の半数以上はまだグラン・セレツィオーネを生産しておらず、私自身も生産する正当な理由を見つけられていません。」

 

しかし、先に述べたように、グラン・セレツィオーネの生産数は着実に増加しており、この地域全体やこのワインに対する大きな注目を集めています。「グラン・セレツィオーネは、キャンティ・クラシコの生産者たちが過去20年で達成してきた偉大な進化を見せるために設立されており、UGA においても引き続き重要な役割を果たしていくでしょう。」とRicasoli  は言います。

 

けれども  Ricasoli  は、地元の生産者たちがブルネッロ・ディ・モンタルチーノをグラン・セレツィオーネとの引き合いに出すというアイディアを受け入れるには至っていません。「グラン・セレツィオーネは必ずしも100%サンジョヴェーゼである必要はありません。キャンティ・クラシコの最上級としての格を表す必要はありますが、ブルネッロとの比較ではないのですから。」

 

Manetti  はグラン・セレツィオーネとブルネッロを同一視することにも警戒しており、むしろこのカテゴリーの品質をより強化していくことに目を向けているようです。「私は2つを比べません。グラン・セレツィオーネの評判が高まっていることを考えると、同地域で生産されるサンジョヴェーゼ主体のスーパータスカンを凌駕していくことが出来るというのが私の意見です。」

 

Marrochesi Marzi  は、生産者は自分のワインのことだけを考えればよく、他のトスカーナの赤ワインとの競合を考えるべきでない、と言います。「大事なのは、キャンティ・クラシコのテロワール、私たちの品種、スタイル、伝統が持つ複雑さを定義するためにグラン・セレツィオーネをプッシュしていくことです。そしてブルネッロの事は忘れて良いのです!」

 

 

引用元: https://www.wine-searcher.com/m/2021/12/chiantis-top-tier-hits-its-stride

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