地球温暖化がオレゴンのヴィンテージを救う

地球温暖化がオレゴンのヴィンテージを救う

オレゴン州の収穫は、芳しくないスタートを切りましたが、予想外の熱波に助けられる事となりました。


オレゴン州のウィラメット・ヴァレーでは、今年は災害寸前のヴィンテージとなりましたが、逆説的に非常に良いピノ・ノワールができました。

 

4月に霜が降り、いくつかの若芽がダメージを受け、全体的に季節が逆戻りしました。次の2ヶ月は涼しく、ブドウの木の生育はさらに遅れました。オレゴンでは、通常10月は寒くて雨が多く、これが問題になります。最近のヴィンテージでは、気温が高かったため、ほとんどのピノ・ノワールは9月には収穫できるようになっていました。もし、今年の雨の前にブドウが熟さなければ、このヴィンテージは問題となってしまうところでした。

 

地球温暖化が救ったのでしょうか。オレゴンは7月と8月が驚くほど暑く、ブドウの成熟を促しました。そして何より、10月が半分以上終わるまで雨が降らなかったので、ほとんどの生産者はそれまでにブドウを醸造タンクに入れるチャンスがありました。また、雨の多い冬と暑い夏が、ウドンコ病やボトリティス菌を撃退してくれました。これらは夏の仕事の一部だったので、それも幸いでした。

 

WillaKenzieワイナリーの生産者Erik Kramerは、「確かに波乱万丈でした」と語ります。「私は2004年からウィラメット・ヴァレーにいますが、芽吹きがあって、新芽が霜の影響を受けるようなことは初めてです。予測不可能なことがたくさんあります。分からない事だらけでした」

 

生産者たちは、幸運にも今年この地域では発生しなかった山火事の心配をはじめ、様々なことに不安を感じながら夏を過ごしました。振り返ってみると、とても楽な夏だったのかもしれないです。

 

Penner-Ash Wine Cellarsの生産者Kate Ayresは、「素晴らしい夏でした」と語ります。「10月は、ここで育った私にとっても他に記憶がないほど暖かかったです。冬に降った雨でブドウ木は健康です。10月に雨が降るかどうか、みんな心配していたのです。でも、20日になっても雨は降りませんでした。2017年ヴィンテージと少し似ているところがありますね。新鮮な赤い果実と生き生きとした酸が豊富です」

 

それは、長年ウィラメット・ヴァレーにいる生産者たちが「クラシック・・ヴィンテージ」と呼んでいて、そもそもこの地にピノ・ノワールを植えるように人々を説得したタイプのものなのですが、近年は気温の上昇に伴ってそういうものができなくなってきていると言われています。

 

Willamette Valley Vineyardsの創設者兼CEOであるJim Bernauは、「昔のことを思い出させます」と語ります。「私が最初に仕事を始めた83年当時、最初の15年間はこれが日常でした。我々のワイナリーのピノ・ノワールの収穫は、10月の2週目まで始める事はありませんでした。今年違ったのは、10月21日までとても乾燥した暖かい気候だった事です。10月の半ばには、27度に近い日もありました」

 

Stoller Family ワイナリーの生産者Karl Weicholdは、この条件が、高い収量とよりエレガントなワイン造りの両方をもたらした、これは多くのウィラメット・ヴァレーのピノ・ファンにとって喜ばしいニュースだろうと、述べています。

 

「今年は実が大きいですね」とWeicholdはWine-Searcherに語ります。「今年は、過去に小さい果実が穫れて凝縮したワインになった時よりも、エレガントなワインができそうです」

 

ナパ・ヴァレーでは、小さな果実とより高い濃縮は常に良いニュースとなりますが、ピノ・ノワールは異なります。

 

「ここではエレガンスとパワーのバランスを取りたいのです」とWeicholdは言います。

 

オレゴンでますます重要なブドウ品種となっているシャルドネについては、ヴァレー周辺のブドウ畑で農業を営むBernauは、この品種のライフサイクルにとって特に敏感な時期に発生したウドンコ病によって、多くが失われたと述べています。

 

「ウドンコ病の発生数は過去最高でした」とBernauは語ります。「病害は早いスピードで進行し、シャルドネが被害を受けました。Bernau ワイナリーの畑は、ビオディナミ農法で栽培をしています。多くのシャルドネが失われました。今後はスパークリングワインを造り、ピノ・ノワールをより多く使うようになるでしょう。このヴィンテージはシャルドネが不足することになると思います。残念なことです」

 

しかし、病害の脅威に耐えることができたものにとっては、収穫は良さそうです。

 

「シャルドネもピノもとても気に入っています」とKramerは言います。「可愛らしく、生き生きとしていて、エネルギッシュです。これぞウィラメット・ヴァレーの伝統的なスタイルです」

 

Kramerは、発酵を終えたピノのアルコール度数は13から13.5%で、これはウィラメット・ヴァレーの典型的なスタイルですが、近年はもっと高い度数になっています、と付け加えました。

 

「私にとっては、これまで経験した中で最高のヴィンテージのひとつです。素晴らしいものでした」と、Gran Moraine とZena Crownの生産者であるShane Mooreは語ります。「気温が高い時もあれば、低い時もたくさんありました。4月、5月、6月は寒い日が続きました。7月4日になっても、まだ花もあまり咲いていない状況で、かなり厳しい状況でした。今日、オレゴニアン紙で読んだのですが、ポートランドは10月が記録的な暖かさだったそうです。私たちは近い位置にあるので、おそらく同じような年だったのだと思います。ただただ、素晴らしい出来栄えになりました」

 

「今日はいくつかのタンクをテイスティングしていました 」とMoore。「インターンの一人がフランス人なのです。彼は、『このワインは永遠に生き続けるだろう』と言っていました。素晴らしい骨格と良い酸がある。フルーティすぎず、個人的には好きです。もう少し熟成香が出てくる。間違いなくピノのヴィンテージと言える年でした」

 

 

引用元: Global Warming Saves Oregon’s Vintage

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