カリフォルニア、過去20年で最も少ない収量

カリフォルニア、過去20年で最も少ない収量

アメリカのワイン産業は、今世紀で最も少ない黒ブドウの収量となり、もはや絶好調のフル回転とは言えません。


カリフォルニア州の農家は、2024年には黒ブドウの最大30%を未収穫のまま放置した可能性があり、同州のブドウ全体の収量は2004年以来、そして黒ブドウの収量は1999年以来最小となりました。

 

カリフォルニア州食料農業省は2月上旬、毎年恒例のCalifornia Grape Crush reportを発表しました。ブドウ木に残されたブドウの数を正確に知る方法はありません。はっきりしているのは、一般的に農家は白ブドウを収穫し、黒ブドウの多くは収穫されずに木に吊るされたままだったということです。

 

「州内のほとんどの白ブドウは収穫された」と、ブドウのブローカーThe Ciatti CompanyのパートナーGlenn Proctorは言います。「収穫の終わり頃を見ると、黒ブドウは収穫されず、安値の白ブドウが収穫されていた。私たちが思っていた以上に、収穫されていないブドウがあり驚いた」。

 

ワイン用ブドウの総収量は284万にすぎず、2023年より22.8%少なかったのです。収量は軒並み減少しました。ナパ・ヴァレーの黒ブドウは16.5%減、白ブドウは15.5%減でした。しかし、ナパ・カベルネの1t当たりの平均価格はわずか2%減だったので、ナパ・カベルネの価格が影響を受けるという期待はしないでください。

 

多くの地域で、収穫される白と赤の二分化が非常に明白でした。ソノマ郡は黒ブドウの作付面積が白ブドウの2倍あります。黒ブドウの収量は(マリン郡のわずかな収量と合わせて)18.3%減少したが、白ブドウの収量は8.8%の減少にとどまりました。

 

アンダーソン・ヴァレーのピノ・ノワールで有名な、隣接するメンドシーノ郡では、その差はさらに大きくなりました。メンドシーノもまた、黒ブドウの収量が白ブドウの約2倍です。黒ブドウの収量は27%減少しましたが、白ブドウの収量は2.2%増加しました。これは州内でも数少ない大収量です。

 

州全体の黒ブドウの30%が収穫されなかったという私の推測は、面積に基づくものです。以前1999年に、カリフォルニア州で黒ブドウの収量が少なかったのは、黒ブドウの栽培面積が30%少なかったからです。しかし、ブドウ木の収量は毎年異なるため、栽培面積と収量の数字だけを見るような直接的な比較はできません。私の計算は少しずれているかもしれませんが、大きくはずれていません。

 

2024年のヴィンテージは、黒ブドウに影響が出た10月の猛暑までは順調に進んでいました。白ブドウの収穫はすでに終わっていたので、黒ブドウだけが影響を受けました。カリフォルニアの黒ブドウの収量は2023年から27%減少し、白ブドウの収量は18%減少しました。2024年の白ブドウの収量は、2008年以来、カリフォルニア州で最も少ないものでした。しかし、2008年当時、州の白ブドウの木は現在より2%少なかったのです。

 

「この夏は温暖で、暑さにより収量減になった」と、Turrentine Brokerageの社長のSteve Fredricksは言います。「面積あたりの収量は少なかった。しかし、悪いことではない」。

 

2024年、アメリカ人のワイン購入量は減少し、ワイナリーとディストリビューターは過剰在庫に苦しんでいます。Fredricksは、収量が少ないことは個々の生産者にとっては良くないことかもしれないが、ワイン業界全体にとっては喜ばしいことだと言います。

 

「昨年は1平米あたりの収量が多かったため、どれくらい栽培面積が減ったかが隠れてしまったのかもしれない」とFredricksは語りました。「2024年は母なる自然が助けてくれた。『収量を減らしたいのなら、私たちが減らしてあげよう』とね」。

 

統計

報告書からの統計的なハイライト:

* 白ブドウが最も人気だったのは、間違いなくブドウにとって最悪の産地であった。フレズノ郡とマデラ郡を含む内陸部の非常に暑い地域である第13地区では、州内で白ブドウの収量が圧倒的に多く、2023年比でわずか3.5%減だった。黒ブドウは22.1%減。これらのブドウは、スーパーマーケットの最も安いワインに使われるブドウである。だから、底値のピノ・グリージョの供給を心配する必要はない。

 

* モントレーと隣接するサン・ベニート郡は、白ブドウが25.3%減、黒ブドウが33.1%減と打撃を受けた。

 

* 高級ワイン産地のセントラル・コースト、サンタ・バーバラとサン・ルイス・オビスポ郡(パソロブレスを含む)はさらに悪く、白ブドウは34.2%減、黒ブドウは42.3%減。

 

* ワンランク上のスーパーマーケットワインの産地であるローダイでは、白ブドウが23.4%減、黒ブドウは25.1%減。

 

* ロサンゼルス郡のすぐ北に位置するカーン郡の農家は、黒ブドウの収穫量が48.4%減少したため、特に意気消沈したことだろう。

 

* 白ブドウの人気が相対的に高いにもかかわらず、農家の収益は上がらなかった。カリフォルニアの3大白ブドウ品種(シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・グリージョ)の1tあたりの平均価格はわずかに下落した。いくつかの希少な白品種は市場相場が底割れし、コルテーゼ、ファランギーナ、マルサンヌは約半額まで値下がりした。

 

* カベルネ・ソーヴィニヨンは供給過多で、間違いなく多くのブドウ木が放置されたが、州全体の平均価格は1.8%上昇した。

 

「この報告書は、24年に興味深いブドウがなかったことを示している」とFredricksは言います。「地区の平均価格はあまり変わらなかった。収穫されたブドウのほとんどは契約栽培のものだった。そして、もし需要があれば、人々はバルクワインを買っているはずだが、そういうことにはなっていない」。

 

多くの農家は、この報告書への対応として、黒ブドウから白ブドウへの接ぎ木を考えているかもしれません。しかしまだ問題があります。白ブドウの平均価格は1t当たり$699で、2023年から4.8%下落しました。収穫された黒ブドウは、2.6%減で、1t当たり$1311と、ほぼ2倍の価格で販売されたのです。

 

「この作柄はそれなりに良いニュースだ」とFredricksは述べます。「生産者にとっては、見返りという点では残念なことだ。しかし、カリフォルニアのワインビジネスにとっては、ここ数年の供給過多のバランスを取るのに役立つ。それでも、人々にワインを買って飲んでもらう方法を見つける必要がある。供給を減らすことで問題を解決することはできない」。

 

引用元:California Sees Smallest Harvest in 20 Years

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