Eden Valley(イーデン・バレー)

オーストラリアを代表する冷涼産地イーデン・バレー

フレーバーの凝縮感と爽快な酸の見事なバランス

リースリングを筆頭に、シラーズも世界最高峰のものが生まれる

イーデン・バレーはサウス・オーストラリア州にある冷涼な産地で、お隣のバロッサ・バレーとあわせてバロッサ・ゾーンと呼ばれている。ゾーンの南東を占めるイーデン・バレーは、バロッサ・バレーとともに世界で最も重要かつ高品質なワインを生み出す産地の一つとして広く認知されている。

 

イーデン・バレーは、実際にはバレー(渓谷)ではなく、むしろなだらかな丘陵と言える。丘陵には様々な標高が見られるが、標高こそがこの地のワインのスタイルを決める最も重要な要素となっている。バロッサの谷底と比べて標高が約200mも高いイーデン・バレーでは、畑は600mを超える高さまで広がっている。この標高の高さがバロッサ・バレーよりもはるかに涼しい気候をもたらし、ブドウの成長期間を長くする。この結果、イーデン・バレーのワインはフレーバーの凝縮度が際立つ。

イーデン・バレーでは様々なタイプの土壌が見られるが、主なものは風化した岩石と砂利で、粘土主体の下層土を持つ。これらの土壌は保水性に優れているため、灌漑に頼らないドライファーミングが成功する。

 

■味わいの特徴

クレア・バレーと並び、イーデン・バレーはオーストラリアで最もレベルの高いリースリングを生む産地として知られている。リースリングは寒さに強い品種なので冷涼産地との相性は抜群となる。ワインは若いうちは搾りたてのライム果汁、リンゴ、フローラルなどの要素を持ち、爽快な酸と硬質なミネラルを感じる。熟成するとハニーやナッツ、トースト香が現れる。最上のものは十年以上に渡って熟成し、多層的で複雑なフレーバーはドイツのトップクラスのリースリングにも比肩しうる。

シラーズからも素晴らしいワインが生まれる。お隣のバロッサ・バレーと比べると酸がより高く、アルコールが低いという特徴がある。果実はよりデリケートで全体的にエレガントな印象を感じる。この地のシラーズを語る上で絶対に欠かせないのがHenschkeのワインHill of GraceとMount Edelstoneである。冷涼な気候で育っているものの、これらのシラーズはオーストラリア南東で作られるものや北ローヌで作られる冷涼ペッパー系シラーとはスタイルが異なる。完熟してはいるものの、あくまでもフレッシュさがあり、プラムやブラックベリーといった果実がよりダイレクトに伝わってくる。そこに樽由来のスイートスパイスとなめらかなタンニンが混ざり、素晴らしいバランスが生まれる。さらに熟成とともに素晴らしい複雑性が出てくる。

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