Pommard(ポマール)

ごつごつとしたタンニン 男性的なポマール

中世時代の人気はブルゴーニュNo,1

■特徴

中世から骨太で男性的なポマール、しなやかで女性的なヴォルネイと表現され、ブルゴーニュでも2つのアペラシオンは特に高い人気を誇っていた。

日本ではそれほどではないのだが、今でもポマールの人気は高い。

赤ワインのみの生産で、AOC認定はブルゴーニュの中で最も早い1936年。

ブルゴーニュワイン=ポマールというくらい定評があったためブルゴーニュ大公や旧家が畑を多く所有した。

」の名を語る偽物を防止するため、AOC認定がされる10年ほど前には生産者たちが組合を結成して裁判を起こし、原産地保護のため栽培品種、栽培地域を認めさせている。

このワインの真価を発揮するのに10年以上の熟成が必要。

厚ぼったく筋肉質で、肉付きが良い。フィネスというよりは野太いという言葉がフィットしている。

良く出来たシャトーヌフ=デュ=パプを好む人はポマールも好むという話もある。本当だろうか?

テロワール

村の真ん中に南北を分断するように川が流れ、その両脇に2つの丘、そしてボーヌ側にもう1つの丘があるため斜面の向きは様々。

28あるプルミエ・クリュはだいたい中腹に位置していて、それ以上西に行くとかなり斜度がきつくなり、それ以上東に行くと今度は平坦になる。

このように畑の条件が隣どうしでも大きく違うため個性が強く出る。

1つの畑の中でも上部と下部でポマールほど品質に開きが出てくる村はないだろう。

 

・ボーヌ側

上部に硬い石灰岩の表土があるのが特徴。

ボーヌに隣接しており、どちらかというとエレガントなスタイルのワインができる。

最北に位置するレ・ヴィーニョはドメール・ルロワが所有し、村名格でありながらポマールで産出されるワインの中で最高額で取引される。(10万円超え!)

 

・ヴォルネイ側

基本的には北側と似た土壌だが、鉄分をより多く含み、斜面がより急なため丘の上部から滑り落ちた堆積物が厚く積もっている。

若いうちは強固なタンニンがあり引き締まっていてパワフル。

しばしばポマールの特徴として挙げられるのはこちら側の印象が強い。

ゼプノ(Epenots)とリュジアン(Rugien)

ポマールを代表するプルミエ・クリュは南北に1つずつある。北のグラン・ゼプノと南のリュジアン・バ。

「Epenots」と名前が付く畑はグラン・ゼプノ、プティ・ゼプノの2つがある。

グラン・ゼプノが約11haに対してプティ・ゼプノはその倍近い面積を有する。

普通はより大きい方に『Grands』の名前が付きそうなものだが、単純に畝の長さが長い方が『Grands』になったらしい。

斜面はほぼ平坦ながらも南東を向き日照は十分、排水に適した砂礫を含むが粘土を多く含む泥灰土のため近くで見るとかなり赤っぽい。

グラン・ゼプノとプティ・ゼプノにまたがるクロ・デ・ゼプノは1800年~1810年の間に石垣に囲まれたクロの区画で、ポマールでも最上の区画の1つと称される。

(クロ・デ・ゼプノの大半はグラン・ゼプノにかかっているため、品質の高さから『Grands』の名前が付いたとも言われている)

この畑はドメーヌ・コント・アルマンが単独所有しており、毎年良質なワインを産出している。

1985年から醸造責任者を務め、ワイナリーの地位を確かなものにしたパスカル・マルシャン氏から、1999年に醸造責任者を引き継いだ若手醸造家バンジャマン・ルルー氏がビオディナミを導入。さらに畑のポテンシャルを引き上げ銘醸ワインといわれるまでにのし上げた。

(バンジャマン・ルルーは現在独立してマイクロ・ネゴシアンとして活躍している)

 

ポマールの模範的ワインを産み出し、かつ最も人気のある畑の1つがプルミエ・クリュのリュジアン。

実は上部(オー)と下部(バ)で品質に大きな差があるのだがあまり知られていない。

上半分はリュジアン・オー。大部分は南を向くが、東を向く斜面のみ村名格に分類される。下部よりも鉄分を多く含む。

下半分はリュジアン・バ。クロ・デ・ゼプノと共に最良の畑と呼ばれており、もしグラン・クリュに昇格できるとするならば確実に選ばれるべき畑。

普通ブルゴーニュだと斜面の上部~中腹にあるところが最良畑の場合が多いのだが、ポマールの銘醸地はどちらも斜面下部にある。

上部から流れてきた土壌が堆積しているため、表土に鉄分を多く含み赤く発色しているため、赤が語源となって『リュジアン』の名前がつけられた。

堅牢なストラクチャーと噛みごたえのあるタンニンが特徴で、ポマールでも最も長熟する。

ここを特級に昇格させる話しは以前からあるようだが、品質的にリュジアン・オーの昇格は難しいといわれる。
それだけレベルに差があるのがこのリュジアンである。

■データ(出典:ブルゴーニュワイン委員会)

栽培面積 約325.65ha
土壌 中腹は岩破片の小石の多い粘土石灰質で排水がよい。さらに上部は泥灰土で、褐色土壌と褐色石灰岩の土壌。酸化鉄のため赤くなっている個所もある。
生産量 12,996 hl
0
プルミエ・クリュ 28
栽培品種 ピノ・ノワール

 

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