Walker Bay(ウォーカーベイ)

冷涼な気候を持つウォーカーベイ

ニューワールドの中でもとりわけ緊張感がみなぎる味わいに

世界中のブルゴーニュ愛好家が注目している

南アフリカのワイン産地といえば、ステレンボッシュを真っ先に思い浮かべる人は多いと思うが、ブルゴーニュ好きならば絶対に抑えておかなければならないエリアがある。ケープタウンから南に95km下った沿岸に位置するウォーカーベイだ。冷涼な海洋性気候の影響を非常に強く受けるこの地は、南アフリカで最も冷涼なエリアの一つとされている。そのためピノ・ノワールやシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランといった冷涼品種で国際的に極めて高い評価を受けている。

この地のブドウ栽培の歴史は1975年まで遡る。ブルゴーニュ愛好家であるティム・ハミルトン・ラッセルはもともと広告マンだったが、リタイア後にホエール・ウォッチングで有名な町ヘルマナスの北にあるヘメル・アン・アード・バレーにピノ・ノワールとシャルドネを植えた。これがこの地のブドウ栽培の始まりであり、その後他の生産者がこれに続いたのは1989年頃からとされている。現在、ウォーカーベイにはHamilton Russelを筆頭に素晴らしいワイナリーたちが軒を連ねている。

 

ウォーカーベイの畑は、主にヘルマナスの北に広がるヘメル・アン・アード一帯とさらに北西に伸びるボット・リバーにまたがっている。南極からアフリカ西海岸を北上する冷たいベンゲラ海流が生む海風は、畑に冷涼な気候をもたらしブドウにフレッシュさを与えてくれる。またブドウの成長スピードが緩やかになることで、酸を保ったままフレーバーを凝縮させることができる。

土壌はシェールや砂岩、花崗岩が見られ、特にヘメル・アン・アードでは粘土の割合が高い。粘土の割合は最大で55%になるがこれはブルゴーニュと似ており、適度な排水性が有りながらも保水性を兼ね備えている。年間の降水量は750mmであり、一部の畑では灌漑が必要だが、粘土比率の高い畑では保水性があるためドライ・ファーミング(無灌漑農法)で育てることができ、より高品質なワインが生まれる。

ウォーカーベイの心臓とも言えるヘメル・アン・アードは、海沿いから内陸に向かって3つのエリアに分かれており、内陸に行くほど大陸性気候の影響が強くなっていく。海沿いのヘメル・アン・アード・バレーは標高も低く、内陸に比べて出来上がるワインのスタイルはよりフレッシュで果実が明るい。やや内陸に入ったアッパー・ヘメル・アン・アード・バレーでは、標高も少し高くなる。さらに内陸にあるヘメル・アン・アード・リッジは、エリアとしては一番小さいが最も冷涼で標高は400mまで高さがある。

 

■味わいの特徴

南アフリカで最もブルゴーニュらしいワインは?と聞かれればウォーカーベイの生産者の名を真っ先に挙げる。それほどピノ・ノワールとシャルドネは洗練されたエレガントな味わいを持っている。かの有名なティム・アトキンも、アッパー・ヘメル・アン・アード・バレーの生産者Stormのピノ・ノワールを飲んで「シャンボール・ミュジニー1erのよう」とコメントしたほどだ。また、ヘメル・アン・アード一帯よりさらに北に広がる産地ボット・リバーにあるCrystallumのシャルドネは、柑橘果実にミネラルと酸が美しくコート・ド・ボーヌ産のワインを彷彿とさせる。

世界中のワインを自由に楽しめる現代においては、カリフォルニアやオーストラリア、ニュージランドといったニューワールドでもブルゴーニュスタイルのワインを探すことは可能だ。しかし南アフリカのウォーカーベイのワインは、それらの産地よりもはるかに涼しさがあり、味わいに緊張感がみなぎっている。ブルゴーニュの価格高騰が叫ばれて久しいが、リーズナブルな代替案を検討しているのであれば、この地をおいて他にはない。そう断言できるほどに、注目すべき産地なのである。

 

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