2021年カリフォルニアの収穫:ビッグ・イズ・ビューティフル
供給が逼迫しているソーヴィニヨン・ブランの愛好家には警報が鳴らされていますが、カベルネは活気づいています。
カリフォルニア州の2021年のワイン用ブドウの収穫量は、災害に見舞われた2020年より8.7%多くなりましたが、それでも過去10年で2番目の少なさでした。
また、もし良い産地からのソーヴィニヨン・ブランがお好きであれば、カリフォルニアに限らず、品薄になりそうな品種なので、買いだめしておくと良いかもしれません。ニュージーランドやヨーロッパでも収穫量は少なくなっているのに対し、消費者の需要は伸びているからです。
2021年のカリフォルニアのブドウ収穫量の速報値が発表されましたが、ほとんどの農家と消費者にとってはそれなりに良いニュースとなりました。農家にとって喜ばしいのは、ブドウの平均価格が過去最高を記録したことです。消費者は価格の上昇を受け入れなければなりませんが、特にナパのカベルネは新記録を樹立し、干ばつが続いているにもかかわらず、今年も店頭にたくさんのワインが並ぶでしょう。
さて、まずはナパ・カベルネの話から。2021年の収穫量は、山火事に見舞われた2020年の収穫量より35%多くなりましたが、それでも2019年より22%少ない結果となりました。1トンあたりの平均価格は29%上昇し、過去最高の$8012(約100万円)を記録しました。
「ナパ・カベルネの価格は今後も上昇し続けるでしょう」
ブドウのブローカーである Turrentine Brokerage の社長、Steve Fredricks はこう言います。
一方、ナパ・メルロは長期的な下落を続けており、収穫量は2016年の半分以下となりました。2021年にナパで破砕されたカベルネ・ソーヴィニヨンの量は、メルロの8.75倍です。
ナパのソーヴィニヨン・ブランの収穫量は2004年以降で最も少なくなりましたが、その理由は取引価格にあります。ナパのソーヴィニヨン・ブランは2021VTで過去最高の平均価格である1トンあたり$2600(約35万円)で取引されましたが、ナパ・メルロはその50%増、さらにナパ・カベルネはメルロの2倍もの価格で取引されているのです。一体だれがソーヴィニヨン・ブランを植えるでしょう?
「ワイナリーにとってソーヴィニヨン・ブランは、ほとんどの場合、赤ワインやシャルドネよりも安く作れます」とFredricksは言います。「熟成期間も短く、手を加えることも少ない。でも、栽培コストは同じです。誰にとっても難しいところと言えるでしょう。ブドウ栽培家は、他の品種であればエーカーあたりでより大きなリターンが得られるのに、どうしてソーヴィニヨン・ブランを植えようとするでしょうか?」
シャルドネがトップ
カリフォルニアで最も収穫量の多い品種はやはりシャルドネで、総収穫量の16%を占め、次いでカベルネ・ソーヴィニヨンが15.3%と続きます。ジンファンデルはこの千年紀で見ても最も少ない収穫が2度続いていますが、依然として第3位で8.5%、次いでフランスのコロンバール(7.8%)、ピノ・ノワール(6.5%)と続きます。
後半の2品種の運命の変化は興味深いものです。フレンチ・コロンバールは長い間、白ワインブレンドのベースとなっており、30年前には収穫量全体の24%を占め、州内で最も多く植えられていた品種でした。しかし2021年を見ると、他のほとんどのブドウの収穫量は前年を上回ったにもかかわらず、フレンチ・コロンバールは2020年から19%という驚くべき減少を記録しました。Fredricksによると、生産者はこの品種を何エーカーも引き抜き、他の作物に植え替えたといいます。また、フレンチ・コロンバールは現在、水へのアクセスが制限された地域で主に植えられており、水不足が問題となった2021年には一部の農家は単に無駄なものは作らないという選択をしたのかもしれないと語ります。
一方、ピノ・ノワールの作付けは増え続けています。モントレー郡は2021年に過去最大のピノ・ノワールの年となり、それが州全体の大豊作に貢献しました。ソノマ郡のピノ・ノワールの収穫量は、悲惨だった2020年ヴィンテージよりも63%多く、ソノマのピノの収穫量は2019年の収穫量の1%以内に収まっています。しかし、これが市場の求めるピノ需要よりも多いのか少ないのかは、まったくわかりません。
「2018年と2019年、ソノマとセントラル・コーストの一部のピノ・ノワールは、樹に残されたままでした」 とFredricksは語ります。「その後、記録的な低収量となった2020年にようやく適切な収量に戻りましたが、山火事がこれを悪化させました。ソノマ郡のピノ・ノワールを見ると、18年は凄まじい収量で、1エーカーあたりの基準値をはるかに超えていました。しかしこの3年間は、ソノマ郡が普通の年に収穫できる適正量に見合っていないように見えます。人々が必要とするクオリティに届いていないものがあるかもしれません」
ブドウの平均価格は全体で24.8%上昇し、赤ワイン用ブドウは32.4%、白ワイン用ブドウは19.7%上昇しました。2021ヴィンテージのスーパーマーケット用ワインは、結果的にもっと高くなることが予想されます。(ワイナリーを営む友人達は、ボトルや輸送などの価格も上がっていることを記事の中で付け加えてほしいと言っています)
さて、ここでカリフォルニア産のピノ・グリージョが好きでない人に朗報です:2000年から2018年までほぼ連続して生産量が増えていましたが、消費者が他の白ワインを試すようになったため、この3年間は減少傾向にあるのです。もしカリフォルニアのシラーが好きであれば、残念ながらこの品種も2000年から2013年まで生産量が上昇しましたが、以降は減少し、現在は2000年の水準に戻っています。
Fredricksによると、最近の彼のオフィスはバルクワインではなく、ワイナリー向けのブドウ契約の仲介に忙しい日々が続いているそうです。その理由は、ワイナリーが2018年の大豊作の年の在庫をようやく売り切り、直近の消費者向けのワイン市場について自信を深めているためだといいます。
「19年はブドウが木に残ったまま、2020年はコロナと低収量、2021年は水不足と、3つのクレイジーな年が続きました」とFredricksは話します。
しかし、よく言われるのは “カリフォルニアはいつも素晴らしいヴィンテージ” という事です。
引用元: https://www.wine-searcher.com/m/2022/02/big-is-beautiful-for-californias-2021-grape-harvest
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