Bierzo

ビエルソの地場品種メンシアは

スペインらしからぬエレガントさとフレッシュさを兼ね備え

ブルゴーニュラバーたちを魅了する

ビエルソは広大なカスティーリャ・イ・レオンの北西部、ガリシア地方との境界近くに位置するワイン産地である。近年になるまでビエルソはどちらかというと地元用に粗野なワインを作っているような産地であった。

転換期となったのは1990年後半、プリオラートの偉人アルバロ・パラシオスと彼の甥リカルド・ペレスがこの地に足を踏み入れたことだった。ビエルソのテロワールに大きく魅了された彼らは、ビエルソから素晴らしいワインを生み出し、国際市場でその価値を証明してみせたのである。彼らの功績によってビエルソとメンシアは世界のワイン地図にその名を刻んだといっても過言ではない。

この出来事は地元のワインメーカーや栽培家たちを大きく勇気づけ、ビエルソのブドウは高品質・高価格のマーケットでも戦っていけるという自信につながったのである。

現在はスペインらしからぬエレガントさ、フレッシュさを持つことから、スペインのブルゴーニュとも呼ばれ、そのポテンシャルの高さに改めて注目が集まっている。

 

カスティーリャ・イ・レオンの中で最も大西洋近いビエルソは、ガリシアの一部と似たような気候を持つ。しかし、ビエルソの方がより内陸に位置しているため、夏はより暑く冬はより寒くなる。ビエルソは三方を山や丘陵で囲まれているが、大西洋に向けて開いた地形となっているため、海洋性気候の影響によって十分な雨が確保できる。これは言い換えれば、リベラ・デル・デュエロやトロ、ルエダといったカスティーリャ・イ・レオンの内陸エリアと比べるとブドウ生育期の平均気温はかなり低く、気候も穏やかということになる。

土壌は内陸エリアとは異なり、スレートや花崗岩が多く見られる。これによってワインには明確なミネラル感が備わる。

 

味わいの特徴

この地の顔となる品種はメンシアで、全体の約75%を占める。メンシアはやや早熟気味の品種で高い酸を持つが、収穫が遅れるとこれが失われ、糖度がすぐ上がるのでアルコールの高いワインになりかねない。このため収穫のタイミングがとりわけ重要となる。スタイルは幅広く、ライトボディでフルーティーなものからフルボディで凝縮した果実味と見事なタンニンを持つものまで様々である。

ビエルソの中央部にある平地や標高の低いエリアでは、肥沃なシルト質ローム土壌から高収量で安価なワインが多く生まれる。こうしたワインは軽めのボディとタンニンを持ちラズベリーやチェリーなどの赤系果実のフレーバーを持つ。早飲み用として作られ、場合によってはカルボニック・マセラシオンなどの方法が取られることもある。基本的にはオークは使われない。

一方、最良の畑は丘陵斜面の標高500-850mエリアと考えられており、水はけの良い、表土の浅い痩せたスレート土壌が樹勢を制限してくれる。標高の高さによる涼しさと大きな日較差が相まって、ブドウは酸を保ちながらゆっくりと糖を蓄積し、またフレーバーやタンニンもじっくり熟していく。

ビエルソはとりわけ古樹が多く全体の約80%の畑で樹齢は60年を超えると見られている。こうした古樹と痩せた土壌が合わさることで平均収量が低くなるため、必然的に全体的な生産コストが高く付くようになる。

斜面から生まれるワインは平地のものと比べてより凝縮感があり、ボディとタンニンも強めで、高めのアルコールを持つ。完熟したレッドチェリーやプラムなどのフレーバーにフローラルやハーブのニュアンスが混ざる。しばしば樽で熟成され、これによってスパイシーさが付与されるが、メンシアのデリケートなアロマが樽によってマスキングされないよう絶妙なバランスで仕込まれる。こうしたワインの品質は非常に高く、中には小売価格で1万円を超える本格的なものや、なんと10万円以上で取引されるスーパープレミアムワインも存在する。

重要な生産者はデスセンディエンテス・デ・ホセ・パラシオス(Descendientes de J. Palacios)やラウル・ペレス(Raul Perez)など。

ラウル・ペレスの畑
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