Clare Valley(クレア・バレー)
オーストラリアを代表するリースリングの銘醸地 香り高くも硬質で引き締まった味わいは 世界中の飲み手を魅了し続けている
南オーストラリア州都のアデレードから北130kmほどに位置するクレア・バレーは、オーストラリアを代表するリースリングの銘醸地。オーストラリアの中でも最も風光明媚なエリアの一つでもあり、品質にこだわるブティック系のワイナリーが多く集まることで知られている。
目次
■テロワール
クレア・バレーは温暖な大陸性よりの気候を持ち、夏は高温になるが夜は涼しく気温が下がる。この昼と夜の大きな気温差こそがクレア・バレーの特徴であり、特にリースリングはゆっくりとアロマを成長させクリスピーな酸を保持できる。クレア・バレーは浅い渓谷に丘が連なる地形で、これが多様なテロワールを作り出している。土壌タイプは様々で、肥沃な沖積土、風化した岩石、石灰岩などが見られる。ほとんどの畑は標高300-500mに位置しており、一般的に白ブドウは標高のより高い、日当たりのよい斜面に植えられる。一方、黒ブドウはより標高の低い、暖かい畑に植えられる。斜度はそこまできつくないため、多くの畑で機械収穫が行われるが、一部の生産者は手摘みで行う。
雨は主に冬に降り、ブドウの生育期には平均でわずか250mm程度しか降らない。このため灌漑の水源として多くのダムが建設されている。それでも雨が少ない年は干ばつが大きな問題となる。しかし、雨が少ないことは湿度が低いことを意味しカビのリスクが低いとポジティヴに捉えることもできる。一部の生産者は灌漑をしないドライ・ファーミングを取り入れ、低収量のブドウからプレミアムなワインを作っている。
■味わいの特徴
クレア・バレーのリースリングは奥深く品がある。ライム、オレンジブロッサム、リンゴのフレーバーにミネラル、クリスピーな酸が伴う。香り高く硬質といったイメージで、酸はイーデン・バレーのリースリングよりも高いものが多く、アルコールはバロッサ・バレーやマクラーレン・ヴェールよりも低い。最上のものは20年以上の熟成に耐えるポテンシャルを持つ。注目すべき生産者はJim Barry(ジム・バリー)やWendouree(ウエンドゥーリー)らである。
土壌の違いでスタイルが変わるのもクレア・バレーのリースリングの魅力の一つである。
銘醸地Polish Hill(ポリッシュ・ヒル)のスレート土壌では、土が痩せているためアロマは控えめでよりフリント系(火打ち石)のリースリングになる。若いうちは比較的ニュートラルな印象だが、熟成するとハニーやトーストの香りが楽しめる。一方、Watervale(ウォーターヴェール)の石灰土壌では、土に栄養があるのでよりアロマティックな、フローラルスタイルのワインが生まれ、若いうちからでも楽しめる。
一方、黒ブドウではカベルネ・ソーヴィニヨンやシラーズから傑出したワインが生まれる。完熟した黒系果実のフレーバーにはっきりとしたミントやユーカリのフレーバー。エレガントで複雑さがあり旨味を伴うものもある。
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