Lujan de Cuyo(ルハン・デ・クージョ)
国内で初めてアペラシオン認定を受けた歴史的な産地 アンデス山脈とメンドーザ川から恩恵を受けた畑は アルゼンチン最高峰のマルベックを生み出す
アルゼンチン最大のブドウ栽培地であるメンドーザ。この町の南西に位置するサブリージョン、ルハン・デ・クージョはお隣のマイプとともにメンドーザで最も伝統的かつハイクオリティな産地として知られている。植樹の半数以上がマルベックで、とりわけ高樹齢のマルベックから素晴らしい品質のワインが生まれる。アルゼンチンを代表するCatena Zapata、Bodega SeptimaやCheval des Andesといった大御所ワイナリーたちのホームでもある。また、歴史的にも重要な産地であり、ルハン・デ・クージョは1993年にアルゼンチン初となる正式なアペラシオン認定(DOC)がされた場所である。
目次
■テロワール
ルハン・デ・クージョはアンデス山脈の麓からメンドーザ川が現れる場所にあり、ブドウ畑はここから南に30km程、西のアンデス山脈と東のルンルンタ丘陵に挟まれるようにして続いている。アンデス山脈の麓に位置していることは、いくつかの点でこの地のテロワールに大きな影響を与える。1つ目は、アンデスが雨よけの機能を果たすことである。ちょうどヴォージュ山脈が雨よけのシェルター機能を果たし、アルザスが乾燥した晴天に恵まれるのと同じで、ルハン・デ・クージョは乾燥した砂漠のような気候となる。こうした環境下でブドウ栽培を可能にするのはアンデス山脈から流れるメンドーザ川である。ピュアなアンデス山脈の雪解け水が川へと流れ込み、これが灌漑用の貴重な水源となる。2つ目は、平均1000mという高い標高である。標高が高いため、低地の畑よりも日中により強い日差しを浴びることになるが、これは夜間に吹く非常に冷たい山風によって見事に緩和される。こうして日中の暑さと夜間の涼しさの差(日較差)が大きくなるが、これがブドウの成熟を遅らせ、生育期を引き伸ばしてくれる。この結果ブドウは酸を失うことなくしっかりとフェノール類の熟度を高めることができる。3つ目は、土壌である。この地には何千年にも渡って川によって運ばれた沖積土が堆積している。これらの石や砂は起源が高地の山であるために有機物がほとんど含まれておらず、この痩せた土壌がブドウにストレスを与えることで理想の栽培ができる。ストレスを受けたブドウ木は葉や蔓が控えめになり、小粒のブドウをつける。これがより凝縮したフレーバーを生み出すのである。
■味わいの特徴
アルゼンチン初のDOCであるルハン・デ・クージョのワインには、最低24ヶ月の熟成(最低12ヶ月は樽)が義務付けられている。味わいのスタイルは、より黒系の果実(ブラックベリー、ボイズンベリー、プラムソース、ブラックチェリー)が強く、そこにアジアンスパイスや黒鉛を感じさせるフィニッシュがある。より広域のGIルハン・デ・クージョの中にはLas Compuertas(ラス・コンプエルタス)やAgrelo(アグレロ)といった規模は小さいものの有名なエリアがある。最も標高の高いLas Compuertasからはフルーティーでフルボディなマルベックやボルドー品種が生まれる。大きな日較差があるため高めの酸と硬いタンニンを持ち、これらは長期熟成のポテンシャルに寄与する。最上のワインはプレミアム価格で取引される。白はシャルドネやソーヴィニヨン・ブランからエレガントでバランス良いワインが生まれる。一方、Agreloのような標高の低い粘土主体の畑では、より完熟感の強い赤ワインが生まれ、最上のものは素晴らしいストラクチャーと熟成ポテンシャルを持つ。セミヨンから果実味たっぷりのフルボディな白ワインが生まれる。
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