Patagonia(パタゴニア)

世界で最もポテンシャルが見過ごされている産地

高緯度×冷涼気候からフレッシュでエレガントな

ヨーロッパ的スタイルのワインが生まれる

パタゴニア地方は南アメリカ大陸で最も南に位置し、アルゼンチンとチリの両国にまたがる広大な範囲をカバーしている。一般的にワイン産地として語られるパタゴニアはアルゼンチン側のパタゴニア北部にあるリオ・ネグロ(Rio Negro)やネウケン(Neuquen)を指す。パタゴニアと聞けば、ファインワインというよりも恐竜や砂漠のイメージが先行するが、実は高品質なブドウが育ち、エレガントなスタイルのワインが味わえる。しかし、そうした事実はあまり知られておらず、悲しいかなパタゴニアは世界で最もそのポテンシャルを見過ごされてきた産地の一つとも言える。チリやアルゼンチンといった南米大陸の産地でも冷涼エリアにより注目が集まる昨今において、パタゴニアはまさに見逃せない産地であり、アルゼンチンのイメージをより豊かなものに変えてくれる。

 

アルゼンチンのワイン産業の中心地メンドーサの南部から約700km、南緯38-39°に位置するワイン産地パタゴニア。アルゼンチンといえばアンデスの麓に畑が広がっているイメージがあるが、パタゴニアでは異なる。アンデスからやや離れているため標高は他エリア(北部のメンドーサなど)と比べてもだいぶ低く、最も高いものでもわずか400m程度である。逆に緯度が高いため気温は低く、太陽はそれほど強くない。

パタゴニアは乾燥した砂漠地帯であるため、畑は川沿いにのみ広がっている。アンデスの雪解け水として流れてくる川を灌漑用の水源として安定的に活用できるためである。年間降水量も200mmと他エリアよりも低く、水源の確保はブドウ栽培の必須条件となる。一方で、典型的な砂漠気候では日中は暖かく夜は寒いためブドウの生育期を引き伸ばしてくれる。また同時に成熟スピードがゆっくりになるためブドウは高い酸を保ちながらも明確なアロマやフレーバーを育む。もう一つの特徴は、アンデスからの乾燥した強い風がパタゴニアを横断するように吹きつけるという点である。これらの風は健康なブドウの成長を促進するが、強風はしばしば開花を妨げたり、ブドウにダメージを与えたりもする。

パタゴニアはとりわけ北部にある2つのエリアで世界的な評価を得ている。リオ・ネグロと比較的新しい新興産地のネウケンである。リオ・ネグロでは約100年にわたってワインが生産されてきた。このおかげでこの地には数多くの古樹が存在し、中でもセミヨン、ピノ・ノワール、マルベックがよく見られる。畑のほとんどは西から大西洋へと流れる川によって作られた渓谷の上部、標高180-270mあたりに広がる。この地を代表するワイナリー、ボデガ・ノエミア (Bodega Noemía)とボデガ・チャクラ (Bodega Chacra)はともにビオディナミ栽培によって素晴らしい品質のワインを生み出している。

リオ・ネグロと異なり、ネウケンでは2000年に入るまでワイン造りの伝統がまったくなかった。この地の再生不能資源が枯渇していくことを懸念した政府は、大地に灌漑用経路を増設し、その結果野菜や果物、そしてブドウ畑が開墾された。リオ・ネグロと比べると気候はわずかにより暖かく、乾燥しているためより完熟感のあるスタイルとなる。ボデガ・デル・フィン・デル・ムンド (Bodegas del Fin del Mundo)を筆頭にいくつかの生産者が精力的にワイン造りに取り組んでいる。

 

■味わいの特徴

リオ・ネグロやネウケンのワインは、一般的に他のアルゼンチンワインと比べるとよりヨーロッパ的なスタイルといえる。なぜならより緯度が高く冷涼な気候を持つためである。アルゼンチンのアイコンであるマルベックはパタゴニアにおいても依然として重要な役割を果たしているが、この地の顔といえるのはエレガントなピノ・ノワールである。凝縮感が控えめでより香り高いマルベックやフローラルなカベルネ・フランなども近年評価を高めてきている。また、この地の冷涼感やフレッシュ感を生かした素晴らしい品質のシャルドネ、、リースリングなども見逃せない。

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