ノンアルコール・ワインブーム、実はそれほど盛り上がっていない

ノンアルコール・ワインブーム、実はそれほど盛り上がっていない

ノンアルコール・ワインは、その話題性から大流行しているように見えますが、実際に売れているのでしょうか?


ノンアルコール飲料は相変わらず人気ですが、すべての種類がアルコール飲料の代替品として同じように受け入れられているわけではないのです。

 

ノンアルコール(ノンアル)市場において、アルコールフリーのビールやスピリッツは大きな成功を収めていますが、私自身のノンアル・ワインに関する経験や、業界の同僚たちからのフィードバックは、圧倒的に否定的なものばかりです。

 

最近の『フォーブス』誌のように、いわゆるブームを称賛する記事がある中で、事業主にとっての実態的な数字はどうなっているのでしょうか?そして何よりの疑問は、ノンアル・ワインの品質は、他のノンアルコール飲料と比べてなぜ見劣りしてしまうのかということです。

 

5人の業界専門家が、売上や統計、そしてノンアル・ワイン市場が低迷している理由についての一般的な見解を共有しています。その結果、「ブーム」という言葉はおそらく正確な表現ではないということが判明しました。

 

ストラクチャーの確立に苦戦

ニューヨークの小売店兼テイスティングルームPaul Brady Wineの創設者Paul Bradyは、ワインのバランスにおいてアルコールが重要な役割を果たしており、それがなければ、一般的に味が落ちると説明します。

 

「15年以上前に受けた最初のWSETの授業で、ワインの風味に関して私たちが求めるものはすべてアルコールに関係していると教わった」と彼は語り、アルコールをワインのストラクチャーをまとめあげる接着剤のようなものだと説明します。「アルコールがなければ、タンニンや酸味による不快な苦味を和らげる何かが必要になる」と彼は述べ、その「何か」を再現することはほぼ不可能だと付け加えました。

 

Total Wine & Moreのワイン・ディレクターRebecca Boydもこれに同意し、ワインは本質的に、アルコールなしでは再現するのが最も難しい飲み物だと述べています。

 

「アルコールは、ワインの全体的な味わいのベースとなるボディ、テクスチャー、そして複雑さを与えてくれる」と彼女は語り、特に赤ワインにおいてアルコールを除去すると、アルコール入りワインや他のノンアル代替品と比較して、味わいのギャップがより大きくなると指摘します。Boydは、ノンアル・ワインの全体的な品質は向上していると感じているものの、アルコールの骨格なしではワインの味の再現は難しいことを認めています。

 

製造上の課題

フィラデルフィアのレストランPicnicの飲料マネージャーMax Glennは、ノンアル・ワインの製造方法が、他の代替品と比較して成功しない大きな理由であると考えています。

 

「ノンアル・ワインのほとんどは、ワインからアルコールを除去して造られている。この製造方法は効果的だが、ワインから成分を取り除くことに重点が置かれており、ノンアル製品として一から作り上げるものではない」と彼は言います。同様に、Glennは、アルコール入りワインと同じワイナリーで生産されることが多いノンアル・ワインとは対照的に、ノンアル・ビールやスピリッツは専用の施設で製造・販売されることが多く、生産の焦点がノンアル製品のみにあるため、より細やかな配慮と注意が払われていると指摘します。

 

製造方法に加え、パソ・ロブレスにあるレストランGrace & Roseのワイン・ディレクターKristina Marreroは、ノンアルのビールやスピリッツと比較して、原料の選択肢が限られている点も指摘しています。

 

「ノンアル・ワインは依然としてブドウだけで作られているのに対し、ビールにはホップやモルトなどの選択肢があり、スピリッツには魅力的な飲み物を造るために活用できる原料がさらにたくさんある」。

 

ノンアル・ワインの課題

Boydと同様に、Boisson社の社長Hannah Delaneyも、ノンアルの赤ワインの製造が最も困難であると感じています。アルコールがない分、タンニンが刺激的で苦味を感じさせやすいからです。

 

「アルコールから得られるコクは、糖分や増粘剤で補うことはできるが、そのバランスを保つのは難しい」と彼女は言います。

 

Glennもこれに同意し、ノンアルの赤ワインはフラットな味わいで、深みがなく、まろやかな余韻に欠けていることが多いと述べます。「チョコチップクッキーで例えよう。私があらかじめチョコチップをすべて取り除いておき、それでもまだあなたにこれはチョコチップクッキーだと言っているようなものだ」。

 

その解決策とは? それは口当たりに重点を置くことです。Marreroは、従来のスティルワインのような風味の複雑さや深みを再現できている生産者はごくわずかしかいないが、スパークリングワインに関しては必ずしもそうではないと指摘します。

 

「炭酸が含まれていると、私たちが『ワイン』として知っている飲み物の体験に近づくのに対し、ほとんどのノンアルのスティルワインはそういう体験には及ばない」と彼女は語ります。

 

Glennも同様の経験を明かし、自身のベストセラーであるノンアル・ワインはスパークリングタイプだと断言します。「泡の存在がアルコールの欠如を補い、ワインにより丸みのある豊かな風味をもたらす」と彼は語ります。

 

販売の実情

販売面について、Marreroはノンアル・ワインカテゴリーにおいて、特にアルコールフリーのビールやスピリッツと比較して、目立った成長は見られないと述べています。

 

ソフトドリンクを除くと、彼女のレストランにおけるノンアル飲料全体の売上のうち、ノンアル・ワインが占める割合はわずか6%に過ぎないと言います。(過去2.5ヶ月間で、Marrero はノンアル・ワイン10本、ノンアル・ビール26本、モクテル134杯を販売した)

 

「モクテルは、特に使用されているすべての材料が分かっているため、はるかに親しみやすい飲み物であり、美味しいという確かな保証があります」と彼女は述べ、同時に、ワインよりもノンアル・ビールやスピリッツでより顕著に見られるブランド認知度も高いと指摘します。

 

Glennも同様の統計を挙げています。Picnicでは、ノンアル・ワインはワインショップの売上のわずか5~10%ですが、レストランでの消費分を含めるとその数字は上昇傾向にあります。

 

「店内飲食における北米の飲料総売上の約50%をノンアル・ワインが占めています」と彼は述べ、グラス売り全体の10~15%をノンアル・ワインが占めていると付け加えました。

 

ワインカテゴリー全体では、Boydはノンアル・ワイン部門の成長を指摘しており、主に$10以上の価格帯で伸びている一方、低価格帯は減少していると言います。

 

「これは、消費者がこの分野において品質の向上に対してより多くのお金を払う意思があることを示唆している」と彼女は述べます。Marrero やGlennと同様にBoydもまた、ワイン全体ではスパークリングワインや白ワインの人気が赤ワインを上回る勢いを維持していると断言します。

 

Delaneyは売上に一筋の希望を見出しています。ノンアル製品に特化した持ち帰り専門小売店Boissonにおいて、 Delaneyは、同店の売上の約70~75%をノンアル・ワインが占めていると明かします。

 

「2025年、一つ明確になったことがある。ノンアル・ワインは、オンラインにおいて断トツで最も売れている商品だ」と彼女は語ります。これが分かってから、Boissonにおけるノンアル・ワインの成功は極めて目覚ましく、Delaney と彼女のビジネスパートナーは、ノンアル・ワイン専門の会員制クラブを立ち上げたほどです。

 

成功の要因

当然のことながら、業界関係者の多くは、ノンアル・ワインの選定において、アルコール入りワインと同等の基準を適用しています。

 

Delaney は、Boissonのベストセラーで品質重視のブランドとして、Kolonne Null、Hollow Leg、Zeno、Misty Cliffs、Tomorrow Cellars、Oceanoを挙げます。

 

「これらは、大量生産された脱アルコールワインに単にラベルを貼っただけのブランドではない。本当に良いものを生み出すために、時間と専門知識、そしてリソースを惜しみなく注ぎ込んでいるのだ」と彼女は語ります。

 

Boydは、ベストセラーとしてFrench Bloomと Luminara を挙げ、後者については現在、特定のアペラシオンに由来するノンアルコール・ナパ・カベルネを生産していることも指摘します。「アペラシオンの指定は信頼性を高め、このカテゴリーにおけるプレミアム化の継続を示す兆候となっている」と彼女は語ります。

 

さらに、Delaneyは、品質を重視したノンアル・ワインの生産には、アルコール入りワインと同等、あるいはそれ以上の技術と忍耐が必要であると強調します。

 

「現実には、多くの伝統的なワイン生産者が、一夜にしてノンアル・ワインに転換できると考えているが、そんな単純な話ではない」と彼女は言います。この分野への参入を検討している人々への彼女のアドバイスです。「自分自身が実際に飲みたいと思えるものが完成するまでは発売すべきではない。消費者の目はますます肥えてきており、平凡な製品はカテゴリー全体の足を引っ張るだけだ」。

 

では、誰がそれらを飲んでいるのだろうか?

Marreroが拠点を置くパソ・ロブレスのワイン産地では、ノンアル・ワインの売上の大半が、一日中試飲を続け、これ以上アルコールを摂取せずに楽しめるものを探している消費者によるものであるとわかりました。

 

Bradyは、ノンアル・ワインを求める顧客の大半を、主にミレニアル世代の妊婦や若い親たちだとしていますが、業界の同僚たちの意見は依然として異種多様だと明かします。

 

「『ゼブラ・ストライピング』(アルコール飲料とノンアル飲料を交互に飲むこと)に大賛成で乗り気な人もいれば、相変わらず水やソーダなどを飲み続け、そんな提案には呆れたような顔をする人もいる」と彼は言います。Delaneyは、妊娠や禁酒もノンアル飲料が支持される主な理由の2つとして挙げていますが、節度と意識の高い生活という一般的な考え方が依然として最大の原動力であると指摘しています。

 

ノンアル・ワインの未来

Glenn は、顧客が必ずしもノンアル・ワインに夢中になっているわけではないと言いつつも、常連客が一定数いる事実を認めます。

 

「このカテゴリーの成功の鍵は、新鮮で、考え抜かれた、風味豊かなノンアル・ワインの選択肢を求めている消費者がいることに尽きる」と彼は語ります。

 

同様に、BoydもTHC配合飲料*やその他の代替品の台頭が成人向け飲料市場を拡大させており、ノンアル・ワインの今後の展開に大きな影響を与える可能性があると見ています。

 

(*大麻由来の精神活性成分であるTHC=トラヒドロカンナビノールを含有する飲み物。日本ではTHCを含む製品は麻薬とみなされ、所持・使用は違法)

 

何よりも、Delaney はノンアル・ワインが長い間不当な評価を受けてきたことに同意しながらも、その理由は必ずしも的外れではなかったことを指摘します。

 

「ここまでのノンアル・ワインの品質には明らかな格差があり、これまで生産されてきたものの多くは、ワインの専門家が重視する基準を満たしていなかったと言っても過言ではない」と彼女は語ります。

 

しかし、彼女はこのカテゴリーが急速に成熟しつつあると感じており、成功しているブランドは、プレミアムな伝統的ワイン生産者と同様に、このカテゴリーを真剣に扱っていると言います。

 

「彼らはイノベーションに投資し、卓越したベースワインから作り始め、手抜きを一切許さない姿勢を貫いている」。 

 

 

引用元:No-Alcohol Wine Boom not so Boomy

この記事は引用元からの許諾をいただき、Firadisが翻案しています。
文責はFiradisに帰属します。

 

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