カリフォルニアのブドウ収穫量が過去30年で最低を記録

カリフォルニアのブドウ収穫量が過去30年で最低を記録

ブドウの収穫量が少ないことはワイン好きには良いことかもしれませんが、農業全体として見ると、決して明るい状況とは言えません。


カリフォルニアのブドウの収穫量が2025年ほど少なかったのは、1994年のことでした。O. J. Simpsonがロサンゼルスで警察と低速カーチェイスを繰り広げ、Kurt Cobainが自らの命を絶ち、Jeff BezosがAmazonを設立した年です。

 

カリフォルニアのワイン用ブドウの収穫量が2025年ほど少なかったのは、1999年のことでした。『恋におちたシェイクスピア』が『プライベート・ライアン』を抑えてアカデミー作品賞を受賞するという、アカデミー賞史上最悪のミスの一つが起きた年です。「blog(ブログ)」「texting(メール)」「vape(電子タバコ)」といった言葉が辞書に追加された年でもあります。

 

2025年のカリフォルニア州ブドウ破砕報告書(速報版)が3月上旬に米国農務省から発表されました。この収穫量の少なさは大きなニュースです。ワイン好きにとっては、実はかなり良い知らせと言えるでしょう。しかし、アメリカ全体で見れば不穏なニュースであり、それについては後ほど説明します。

 

まずは、なぜこれがワイン好きにとって朗報なのかを説明しましょう。収穫量は全体で276万トン(うち262万トンがワイン用ブドウ)と少なかったものの、実は専門家の予想を上回る量でした。多くのブドウが収穫されずに残されましたが、ソノマ郡やメンドシーノ郡のような高級ワイン産地の栽培農家は予想以上のブドウを収穫しており、おそらく本来収穫すべき量を超えていたのでしょう。

 

「これは消費者にとってのチャンスを意味します」と、Ciatti Company社のグローバル・ワイン・アンド・グレープ・ブローカーであるGlenn Proctorは語ります。

 

Proctorによると、以前は暑いセントラル・ヴァレーのブドウで作られていたスーパーのプライベートブランドのワインが、今では同じ小売価格で、ソノマ郡やメンドシーノ郡のようなより冷涼で高価な沿岸地域のブドウで作られるようになっているといいます。近いうちに、スーパーで売られている15ドルのPBピノ・ノワールが、ロシアン・リヴァー・ヴァレー産になることすらあるかもしれません。

 

「売り手にとっては厳しい価格ですが、彼らはアペラシオン付きのワインを店頭に並べています」と、ProctorはWine-Searcherに語りました。「長期的には、こうした品種のワインを消費者に知ってもらうきっかけになればと願っています。『これ、なんとなく買ってみたんだけど。この地域に私好みのワイナリーはあるかな?』と言ってもらえるようになるのが理想です」

 

業界の視点から見ると、ブドウ農家は今痛みを伴いながらも必要な再編の途中にあるとProctorは言います。カリフォルニア州はついにカベルネ・ソーヴィニヨンの収穫量を少し減らし始めています。シャルドネの収穫量も減少し続けています。ソノマ郡での生産量が落ちていることからも、ピノ・ノワールに対する人々の関心は限界に達したのかもしれません。

 

逆に伸びているのがソーヴィニヨン・ブランで、売れ行きは好調です。もっとも、適していない場所に植えられたソーヴィニヨン・ブランを消費者が気に入るとは思えませんが(これは長年メルローが抱えてきた問題でした)。他の白ブドウ品種も増加しています。2025年、同州は赤ワイン用ブドウよりも白ワイン用ブドウを多く収穫し、数十年にわたるトレンドをついに逆転させました。白ワインの方が赤ワインよりも売れているため、これは理にかなっています。しかし、同時に時代を巻き戻しているようでもあります。

 

「沿岸部にシュナン・ブランが植えられているのを目にしました」とProctorはいう。「まるで35年前に戻ったかのようです。私たちはここ数年の売上に合わせて供給量を調整しているのです」

 

「現在私たちにできる唯一の調整手段がそれなのです。昨年は4万エーカー(約16,000ha)のブドウ畑が引き抜かれました。また、耕作されていない、あるいは収穫されていない畑もあります。エーカーあたりの収量という観点から見れば、今年はもっと豊作になってもおかしくなかったと考えています。全部は摘まなかったのです」。

 

より大きな視点

私は、Ciatti社の競合であるTurrentine Brokerage社の副社長、Audra Cooperにも話を聞きました。

 

Cooperによると、ワイン用ブドウ市場の問題は、カリフォルニア農業が抱えるより大きな問題の一部にすぎず、ワインを飲まない人々にも影響すると言います。カリフォルニア州は米国で栽培される果物や野菜の約半分を生産しており、もし一つの国であれば世界第5位の農業生産国になります。ほうれん草、レモン、イチゴなど、カリフォルニアは国内で群を抜く主要な産地であり、そのリストは枚挙にいとまがありません。

 

気候変動や猛暑の夏が大きな打撃を与えています。人件費も高騰しており、移民強制送還政策は全く何の助けにもなっていません。カリフォルニア州は非常に規制が厳しく、それも大きな負担となっています。

 

現在、カリフォルニアの農家が明確に利益を上げている唯一の農作物はピスタチオだとCooperは言いますが、ピスタチオの市場も無制限ではないと彼女は指摘します。

 

「カリフォルニアの農地の評価額を見ると、現在は本当に下がっています」とCooperはWine-Searcherに語りました。「これは見たくないドミノ倒しの始まりです。資金繰りの問題に発展するからです。何世代にもわたって農業を営んできた地道な農家たちは、土地を所有しているため、実はまだ少しマシな状況にあります。土地を相続して多額の相続税を支払わなければならなかった若い農家こそが、かろうじて生き延びている状態なのです。それが条播作物であれ、ブドウであれ同じです」

 

Cooperによれば、トウモロコシ、エンドウ豆、大豆などの条播作物を栽培する農家の多くは、アリゾナ州ユマに移住しているといいます。Wikipediaによると、「ユマは極端な気象条件で知られている。米国本土の人が住む地域の中で、ユマは最も乾燥し、最も日照時間が長く、最も湿度が低く、降水頻度が最も少なく、一日の最高気温が32℃以上となる晴天日数が年間175日と最も多い」とあります。さらに、そこにはカリフォルニアのような厳しい農業規制も税金もありません。

 

「カリフォルニアの農業には代替手段があります」とCooperは言います。「しかし、カリフォルニアの農業なしに食料供給を維持する能力は米国にはありません。カリフォルニアの農業は世界的に大きな影響力を持っています。『大きすぎて潰せない(too-big-to-fail)』存在なのです。破綻させるわけにはいきません。もし破綻すれば、壊滅的な影響が出ます。私は破綻の危機にあるとは思っていません。しかし、カリフォルニアの農業は再編期にあり、私たちはそれがどのような形になるのか模索しているところなのです」。

 

Proctorと同様、Cooperも、全体として今回の破砕報告書は少なくともワイン好きにとっては朗報だと述べています。

 

「私たちは、特定の価格帯で魅力的な品質なワインを生産することがますます上手になっています」とCooper。「10ドル未満とは言いませんが、15〜20ドルのワインは間違いなく美味しくなっています」。

 

しかし、米国のレストランで提供されるグラスワインは依然として割に合わず、それが問題だと彼女は指摘します。彼女は明言しませんが、私が代わって言いましょう。ヨーロッパとは異なり、新しく下がったブドウの価格を考慮したとしても、米国で小売価格10ドル未満で売られているワインの大半は単純に美味しくないのです。専門用語で言えば「サイテー(they suck)」なのです。

 

「レストランで15ドルのグラスワインを頼むと、出てくるのは10ドルのボトルワインから注がれたものなのです」とCooperは言います。

 

ですから、もしこの記事を読んで危機感を覚えたなら、今度はぜひボトルごと買ってください。あなたにもできる貢献をお願いします。カリフォルニアの農家は、あなたを必要としているのです。

 

引用元:California Grape Crush Hits 30-Year Low

この記事は引用元からの許諾をいただき、Firadisが翻案しています。
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