Ch. Lafite Rothschild(シャトー・ラフィット・ロスチャイルド)

5大シャトーの筆頭格であるラフィットは、力強いラトゥールや華やかなムートンとは異なりバランス、フィネス、エレガンスを感じさせてくれる。


歴史

ラフィットは長い歴史を持つシャトーであり、少なくともその起源は13世紀にまで遡ることができる。しかし、ワイン造りが本格化するのは17世紀に入ってからであり、1670年代に畑を拡大したセギュール家(ジャック・ド・セギュール)の功績が大きいとされる。ジャックの孫ニコラ・アレキサンドルは一時期ラフィットの他にラトゥールやムートンといった名だたるシャトーを所有しており、それらは彼の死後に娘たちに相続された。ラフィットはニコラ・アレキサンドルの孫ニコラ・マリーの手に渡るが、放蕩三昧で無一文となった彼は借金返済のためにラフィットを売却。その後、遠い親戚にあたるピエール・ド・ピシャールの手に渡るも、フランス革命時に処刑されてしまい結局ラフィットは競売にかけられることとなった。そして1868年、最終的にラフィットを手にしたのはロスチャイルド家(バロン・ジェームズ・ド・ロスチャイルド)であった。

それ以降、ラフィットはロスチャイルド家とともに歴史を歩んでいき、1974年に5代目としてエリックが、2018年には6代目としてエリックの娘サスキアがシャトーを継いでいる。ラフィットの親会社(Domaines Barons de Rothschild)は近隣のデュアール・ミロンも所有しており、ラフィットと同じチームが管理している。他にも傘下にはソーテルヌのリューセック、ポムロールのレヴァンジル、さらにボルドー外にもラングドックのドメーヌ・ド・オーシエー、仏国外ではチリのロス・ヴァスコス、アルゼンチンのボデガス・カロを有する。2024年にはシャブリの名門ウィリアム・フェーヴルが傘下に加わったことでDBRのポートフォリオにさらなる厚みが増した。

 

ポイヤック北部に112haの畑を持つ。ブドウの植樹比率はカベルネ・ソーヴィニヨン70%、メルロー25%、フラン3%、プティ・ヴェルド2%となっている。畑はざっくり3つのエリアに分けることができ、①ラフィットの心臓部となる砂利の丘陵部(63ha超)、②西部カリュアドの丘(10ha)、そして③サン・テステフの区画(4.5ha)である。

①はPlateau de Lafiteと呼ばれるシャトー周辺の丘陵地帯で、丘の頂上部には一部で10mにも及ぶ非常に深い粘土質礫層が見られ、西側は砂質礫層、その他に風成砂が混ざる区画もある。主に樹齢の古いカベルネが植えられている。②はPlateau des Carruadesと呼ばれるエリアでデュアール・ミロンとムートンの南部に広がっている。非常に深い粘土質礫層を持ち、①同様にラフィットのコアとなる畑である。ここにはカベルネに加え最上のメルローが植えられている。なお②はセカンドワイン(Carruades de Lafite)と同じ名がついているため、セカンドにはこの畑のブドウが使用されていると思いがちだが、実際はそういうわけではない。セカンドは基本的にラフィットにブレンドされない若木がメインで使用される。③はLe Caillavaと呼ばれるエリアで、ポイヤックではなくお隣サン・テステフに位置している。村の境界線を超えているものの、古くからラフィットの領地であったため例外的にブレンドが許可されている。ここは毎年ラフィットにブレンドされる重要な畑で、非常に深い粘土質礫層を持つ。

この他にも複数の区画を所有しており、2018年にはそのうちの1つ(Anseillan)から新しいワインがリリースされた。サン・テステフとの境界に位置する12haのこの畑は北向きの急斜面を持ち、もともとはファーストやセカンドにブレンドされていた。しかし地質調査の結果、ラフィットのメイン区画よりも粘土が多く、特にメルローの味わいが異なっていることが判明した。リッチで果実味にあふれるスタイルはラフィットにもカリュアドにもマッチしないため、分けて作るようになったという背景である。

 

栽培

ブドウは手摘みで収穫し、その後セラーで最終的な選果を行う。衛星画像を駆使して区画ごとのブドウの成熟度を測るが、実際に目で見て味わう伝統的な成熟度チェックも欠かさずに行う。基本的に樹齢20年以下のブドウはファーストワインにブレンドしないという方針。

 

醸造

セラーではテロワールを反映するために区画ごとの醸造が徹底されており、発酵槽は木製、ステンレス、コンクリートを使い分けている。ちなみに、ムートンは木製とステンレスを、ラトゥールはステンレスを使用しており、3種類の異素材を組み合わせて発酵させるところにラフィットのこだわりが垣間見られる。発酵は26-27℃で15日前後行い、定期的なルモンタージュによってブドウの果皮から優しくフェノールを抽出していく。発酵後は自社お抱えの樽会社の新樽を使用して約15ヶ月熟成させる。

 

味わい

ラトゥールのように飲み手を圧倒するというパワータイプではなく、ムートンのようなきらびやかな派手さもない。ラフィットは1級シャトーの中で最も落ち着きがあり、とらえどころのない「精緻さ」のようなものが漂っている。愛嬌やわかりやすさはないが、控えめで気品に満ちている。しかしながら、決してパワーと熟成ポテンシャルが不足しているわけではない。この絶妙なハーモニーこそがラフィットの魅力と言えるだろう。

畑の大部分はムートンと似た砂利質土壌だが、ラフィットの方がより砂と石灰岩を多く含む。また地形がわずかではあるがより起伏に富み、北に傾いている。このためかラフィットの方がよりセイボリーでベイリーフのようなニュアンスを感じ、噛み応えのあるグリッピーなテクスチャーが口内を引き締める。またフィネスを感じさせるラフィットの味筋の裏にはアルコール度数とセパージュが関係していることも見逃せない。例えば直近5年(2019-2023)のデータをお隣のムートンと比較してみると、ラフィットでアルコール度数が13%を超えたのは2022年(13.5%)と2019年(13%)だけだが、Moutonでは12%台は見当たらず、2022年は14%を超えている。またセパージュに関しても、ラフィットではカベルネ使用率の5年平均が93.8%、メルローが5.2%であるのに対し、ムートンではカベルネ89.6%、メルロー9.4%となっている。こうした「贅肉のなさ」がLafiteのスタイリッシュさ、あるいは品格の高さに一役買っているようにも感じられる。

 

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