Dao(ダン)

「ドウロに次ぐポルトガル赤の銘醸地

山がちで標高の高い畑から生まれるワインは

フレッシュで酸が高く、ドウロよりも近づきやすい」

ダンはポルトガルのワイン産地の中で最も古い歴史を持つエリアの一つで、有名なヴィーニョ・ヴェルデやドウロ渓谷のさらに南に位置している。この山がちなエリアでは、ポートワインでおなじみのトウリガ・ナシオナルなどが栄えている。ワイン産地としてのダンの特徴は、小さな畑の集合体という言葉がぴったりで、約30000人の栽培家がそれぞれに畑を所有するが、その90%以上が一人あたり0.5ha以下という驚きの小ささなのである。

この地を語る上で欠かせないのが、マテウス・ロゼでおなじみのソグラペ(Sogrape)社である。ソグラペは、以前この地にはびこっていた協同組合びいきの悪しき慣習が廃止されるとすぐに、ダンで高品質なワインを作ろうと品質向上に向けて動き出したパイオニアであり、現在ポルトガル最大のワイン生産者として業界をリードしている。

一方、昨今のダンでは品質に特化した小規模な生産者の台頭もみられ、一部ではプレミアムなワインも生まれている。重要な生産者はアントニオ・マデイラ(Antonio Madeira)やキンタ・ダ・ペラーダ(Qunta da Pellada)など。

ダンのワインはわずか15~20%程度しか国外輸出されておらず、主要市場はカナダ、ブラジルやアメリカなど。輸出量は少ないものの、ワインメディアの注目と産地の品質向上への取り組みのおかげで、ダンは脚光を浴びてきており、実際にダン最上のワインのいくつかは国際的に極めて高い評価がつけられており、今後の発展のポテンシャルを期待させてくれる。

 

テロワール

ダンは山に囲まれているため、大西洋からの冷気が遮断され、より温暖な気候となる。全体で地中海性気候が見られ、暖かく乾燥した夏と穏やかな冬を持つ。雨は比較的多いが(西部で年間1600mm、東部では1100mm)、ほとんどが秋か冬に降る。

DOCは広いエリアをカバーするが、わずか5%程(約20000ha)にしかブドウは植えられていない。ほとんどの土地は松やユーカリの森となっており、こうした木々の香りがワインに移ると言う人もいる。

畑の多くは標高400-500m付近に広がるが、一部は200mの低地や、また東部では900mの高地にも見られる。標高の高い畑ではより大きな日較差が見られ、夜間の冷え込みによってブドウはしっかりと酸を保持できる。

花崗岩

土壌は基本的に風化した花崗岩に砂やロームが見られる。有機物に乏しく、水はけが良いため樹勢が抑えられる一方、水分ストレスが問題になることもある。他にも夏の雹や春の霜(よりフラットな低地で多い)などのリスクも有る。

 

味わいの特徴

ダンでは赤ワインが生産の約80%を占める。主要な黒ブドウ品種はトウリガ・ナシオナル、、アルフロシェイロで、しばしばブレンドされる。

トウリガ・ナシオナルは、深い色調を持つフルボディの赤ワインで、奥深い黒系果実のフレーバーにチョコレートやハーブのニュアンスがあり、洗練されたタンニンと高めの酸を持つ。

ティンタ・ロリスは熟すのがより早く、深みのある色調にミディアム~ミディアム+程度のタンニンを持つフルボディのスタイル。これら2品種は、単一としては長熟するワインを生む一方で、他品種とのブレンドで骨格の部分の役割を果たす。

(スペインではメンシア)はより穏やかな酸を持ち、ラズベリーやブラックベリーなどのフレーバーを持つ。単一の場合、マセラシオン・カルボニックの手法を用いて、早飲み向けにやわらかくフルーティーなワインが作られることもある。

アルフロシェイロは中程度のタンニンとボディを持つ品種で、ストロベリーやブラックベリーのフレーバーが見られる。単一品種の場合、早飲み向けにソフトでフルーティーに仕上げられる場合もあるし、あるいはロゼ用に使われるケースも有る。

これら2品種はブレンドの際に、柔らかさや完熟果実のフレーバーを与えてくれる。

一般的に、ダンの赤ワインはドウロのものと比べて、そこまで重さや力強さはなく、よりフレッシュで酸が高いスタイルとなる。これはダンの方がより標高が高く雨の影響も受けるためである。また石がちなシスト土壌のドウロに対し、ダンは砂質の花崗岩土壌のため、よりふわっとしたフローラル寄りの香りが出る。

以前ダンの赤ワインは極めて収斂味が強く果実味にかけていた。これは長期のマセラシオンと古樽での長期間に渡る熟成がもたらしたものだった。しかし現在では、マセラシオンはより短く、熟成期間も短いのが主流となっている。新樽の使用は一般的だが、一部の生産者たちは比率を減らす傾向にある。ダンの赤ワインの品質は高く、中には小売価格で一万円を超えるようなプレミアムなワインも見られる。

一方、高品質な白ワインの鍵を握るのはエンクルザード。ミディアム〜ミディアム+の酸を持ち、フルボディにもなりうる品種で、レモンやピーチの果実にフローラルのノートを持つ。果実のフレーバーを保つためにニュートラルな容器で発酵される場合もあれば、樽で発酵・熟成を行う場合もあり、テクスチャー向上のためにシュール・リーやバトナージュなどが行われる場合もある。瓶熟させることでナッティーなキャラクターが出てくる。ワインの品質は高く、中には小売価格で五千円を超えるような本格的なものもある。

その他の一般的な白品種は、マルヴァジア・フィナ、ビカル、セルシアルなどで、しばしばエンクルザードとブレンドされる。

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