Tenuta dell’ Ornellaia(テヌータ・オルネライア)

国際的な名声を得てもなお、品質向上に余念がないオルネライアは、サッシカイアと並ぶボルゲリのツートップとして圧倒的な存在感を持つ。

 

歴史

ボルゲリという地理的呼称がまだ存在していなかった1981年、ロドヴィコ・アンティノリはオルネライアのワイナリーを設立した。もともとトスカーナではなくカリフォルニアのパソ・ロブレスでワインを造ろうと考えていた彼は、当時カリフォルニアのカベルネ界で最も影響力を持っていたアンドレ・チェリチェフに相談した。すると「移動せず、そこに留まるべきだ」と助言されたため、ロドヴィコは計画を変更して最初のブドウをボルゲリに植えた。その数年後、オルネライアのファーストヴィンテージがリリースされると、その名は瞬く間に世間に知れ渡った。

1991年、設立当初から醸造コンサルタントを務めたチェリチェフが引退すると、ミシェル・ロランが後任となった。ロランとともに始まった1990年代は、オルネライアの品質向上における大きな転換期となった。1997年にはセカンドワイン「レ・セッレ・ヌオーヴェ・デル・オルネライア」をリリースしたが、これによって、畑での優良区画選別だけでなくセラーでの優良ロット選別が厳格化され、オルネライアの凝縮感がより一層高まった。

2001年には、現在シャトー・パルメのCEOを務めるトマ・デュルーが醸造チームに参画し、彼が去ると2005年からはサンテミリオンのシャトー・ラ・ドミニクで働いていたアクセル・ハインツがワインメーカーとしてオルネライアに加わった。

2000年代初頭は醸造家だけでなくオーナーの移り変わりも激しい時代であった。そのきっかけは、アンティノリ家とロバート・モンダヴィの提携にある。2002年にモンダヴィに売却されたオルネライアは、最終的に2005年にモンダヴィとルーチェで提携していたフレスコバルディ家の手に渡ることとなった。これ以降、オルネライアはアクセル・ハインツとミシェル・ロランのタッグによって生産される時代がしばらく続いた。

ところが2023年、アクセル・ハインツを含むワイナリーの重要人物たちが相次いで引退を発表し、再び大きな人事異動がおきた。ハインツの後任にはマルコ・バルシメリが任命された。グリュオ・ラローズから移籍してきた彼は、ボルドーの著名コンサルタントであるエリック・ボワスノのもとで17年働いたベテランである。

 

畑

所有する134haの広大な畑は大きく4つに分かれている。特に重要なのはワイナリー北部に広がるベッラーリアと呼ばれるエリアで、東部の標高の高い区画のカベルネがオルネライアの背骨を作っている。その他の畑は、ワイナリーの東部の裏山にかけて広がるエリア、西部の平地エリア、そして2022年に加わった南部カスタニェート・カルドゥッチに広がっている。全体の区画数は100前後もあり、これらの無数のブレンドパーツ組み合わさってオルネライアが構成される。

海と山に挟まれたオルネライアの畑には多様な土壌がみられる。海に近い平地エリアは砂、マール、海洋生物の化石がベースとなっている。一方、標高が高い丘陵エリアでは粘土に大小さまざまな石灰岩が混ざっており、とくに標高100~120mのベッラーリアでは粘土が少なく石灰岩が優勢となっている。1980年代に植樹されたこの畑には全黒ブドウ品種(カベルネ、、フラン、プティ・ヴェルド)が栽培されている。バルシメリによると、ここから生まれるワインはフレッシュさとエレガンスが際立っており、タンニンが「垂直的に長く伸びる」特徴がある。

一般的に赤ワインのイメージが強いオルネライアだが、実は白ブドウ品種も陰ながら栽培されてきた歴史がある。以前は白品種の存在感が薄かったことは否めないが、フレスコバルディ以降は生産規模が拡大している。2008年にはソーヴィニヨン・ブランを主体とした「ポッジョ・アル・ガッツェ」がリニューアルして再登場し、2013年には、「オルネライア・ビアンコ」のファーストヴィンテージが誕生した。オルネライア・ビアンコは当初ソーヴィニヨン・ブラン主体にヴィオニエやプティ・マンサンがブレンドされていたが、近年はソーヴィニヨン・ブラン100%が定着している。

 

栽培

オルネライアの畑では気候変動に適応するために様々なアプローチが取られている。

「主な解決策はキャノピーマネジメントだ」と述べるバルシメリは、まずキャノピーの日当たりの良い側で多くの側枝(ラテラル)を残し、日傘として果実を保護している。

次に、ブドウ木の列間のカバークロップにも注力している。カバークロップには、暑く乾燥した時期に涼しさと湿度をもたらし、草の根が土壌に酸素を供給してくれるという利点があるからだ。

さらに、ブドウ木の植樹密度を下げるようになった。これは長引く干ばつによる水分ストレスへの対処であり、以前は12,000本/haだったものを6,000本/haへと半減している。密度が高いとブドウ間の水分競争が激しくなって水分ストレスも増加するが、密度を下げて競争を穏やかにすることで、水分ストレスを部分的に緩和しようという作戦である。

これらの対策は、ブドウの環境適応力の向上に役立つが、気候変動の真の問題はシーズンが始まる前に起こっていることを見逃してはならない。すなわち、温暖な冬による早すぎる芽吹きと、その後の急冷による霜害リスクの増大である。バルシメリは「とくに霜に弱い区画で剪定を可能な限り送らせている」とデカンター誌に語る。また、エスカ対策として剪定は傷口を極力小さく抑えるというSimonit & Sirch考案の「ソフト剪定」を採用している。樹齢が伸びれば、古木として高品質な果実の生産が可能になるからである。

 

醸造

収穫されたブドウは除梗の前後で2度の選果を行う。これに加えて2016年に導入された光学式選果台が品質管理にさらなる磨きをかけている。オルネライアでは品種と区画はそれぞれ分けて醸造され、各プレスワインも別々に熟成させる。この無数のブレンドパーツこそが、各ヴィンテージの気まぐれな気候変化に対応する鍵だとバルシメリは言う。さらに、プレスワインの重要性については、「ブレンドに深みをもたらし、口当たりを整え、バランスをもたらす」と述べている。

発酵はステンレスタンクとコンクリートタンクを用いて26-30℃で約1週間行い、その後約2週間のマセラシオンを行う。以前は、ポンピングオーバーとデレスタージュを実施していたが、近年はマセレーション期間の短縮し、発酵後のポンピングオーバーをほとんど行わなくなった。つまり、介入頻度を減らしてより優しい抽出にシフトするようになったのである。プレス後にバリックに移されたワインは、樽内でマロラクティック発酵を完遂させる。その後に続く熟成は、新樽(70%)と1年樽を使用して約18ヶ月行う。オルネライアでは瓶詰め後もさらにワイナリーのセラーで一年寝かせてからリリースさせる。

オルネライアの醸造におけるハインツとバルシメリの最大の相違点は、熟成前ブレンドである。ハインツの時代は、区画ごとに分けて醸造・熟成させ、熟成の最初の12ヶ月が過ぎてからようやくブレンドされていた。ところがバルシメリは熟成前にブレンドをする。「早期のブレンドは均質性の向上をもたらす」と語る彼は、よりフレッシュでバランスの取れたワインを目指している。

 

味わい

同郷のライバルであるサッシカイアと比べると、オルネライアはリッチでより甘く、ビロードのような滑らかさを感じさせる。一言で言えば、若くても非常に魅力的なワインである。一方で、抑制の効いたサッシカイアに比べてやや「甘ったるく派手」という声が聞こえてくるのもまた事実であり、実際にアルコール度数も平均14.4-15%と高く、光沢感もある。かつてジャンシス・ロビンソンは「サッシカイアはポイアックの骨格を持ち、オルネライアはナパ・カベと多くの共通点を持つ」といったが、実際にこのイメージを持つ人が多いだろう。

しかし2010年代以降、オルネライアはより洗練された味わいを追求し、力強さをやや抑えたスタイルにシフトしてきている。抽出が穏やかになったことで果実味のピュアさとフレッシュさが向上し、さらにカベルネ・フランとプティ・ヴェルドのブレンド比率が以前よりも若干上がった。これによって、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローだけでは得られない緊張感が備わるようになった。

CTA-IMAGE Firadisは、全国のレストランやワインショップを顧客とするワイン専門商社です。 これまで日本国内10,000件を超える飲食店様・販売店様にワインをお届けして参りました。 主なお取引先は洋風専門料理業態のお店様で、フランス料理店2,000店以上、イタリア料理店約1,800店と、ワインを数多く取り扱うお店様からの強い信頼を誇っています。 ミシュラン3つ星・2つ星を獲得されているレストラン様のなんと70%以上がフィラディスからのワイン仕入れご実績があり、その品質の高さはプロフェッショナルソムリエからもお墨付きを戴いています。
Translate »