Tua Rita(トゥア・リータ)

わずか2haの無名な土地からイタリア初のパーカー100点を叩き出したトゥア・リータを人々はトスカーナの伝説と呼ぶ。

 

歴史

トゥア・リータの物語は1984年、ヴィルジリオ・ビスティと妻リータ・トゥアがトスカーナのスヴェレート村に小さな土地を購入したことから始まった。当初、彼らの夢はのどかな田園生活を送ることだったが、すぐにワインの世界にのめり込むようになった。トスカーナの著名アペラシオンから遠く離れたこの地に、彼らは潜在的な可能性と好機を見出したのである。1988年には2haの畑が追加され、地元のトレンドに反してメルローとカベルネ・ソーヴィニヨンが植えられた。サッシカイアの大ファンだった二人は、サンジョヴェーゼに焦点を当ててキャンティと競争するのではなく、ボルドー品種を重視するというアイデアを持っていた。1992年、ヴィルジリオとリータは、イタリアを代表する醸造家の一人であるルカ・ダットーマを迎え入れ、自社瓶詰めワインの生産を開始した。最初のワインは「ジュスト・ディ・ノートリ」と名付けられた。続く1994年には、メルロー100%の「レディガフィ」が誕生した。

その後1998年にルカがトゥア・リータを去ると、後任としてステファノ・キオッチョリがチームに加わった。彼が手掛けた1999年のレディガフィは、パーカーをして「ワインとして考える限り完璧に近い」という異例のコメントとともに99点が与えられた。これによって単なるトスカーナのガレージワインだったトゥア・リータの知名度は、瞬く間に世界のファインワイン市場へと広まっていった。そして世間の注目が集まる中、翌2000年のレディガフィはイタリア史上初となるパーカー100点を獲得したのである。

2010年にヴィルジリオが亡くなると、ルカが醸造家としてワイナリーに戻り、それ以来ずっとトゥア・リータのワイン造りを支えている。現在ワイナリーの指揮を取るのは、リータの娘シメナとその夫ステファノ・フラスコッラ、そして息子のジョヴァンニである。

 

畑

所有する71haの畑は、アルタ・マレンマのヴァル・ディ・コルニア地区に広がる。ボルゲリから約40km南にあるこの丘陵地は「金属の丘」と呼ばれており、土壌にはマンガンや鉄などが豊富に見られる。これによってワインには鉄っぽさと塩味が備わる。また、ボルゲリよりも乾燥して痩せた粘土石灰質の土壌がワインに骨格を与える。

生産キュヴェはクラシックなボルドー品種(、メルロー、)がメインではあるものの、一部にはシラー、サンジョヴェーゼも見られ、白品種ではヴェルメンティーノ、トラミナー、リースリング、そして最近ではアンソニカも栽培されている。

 

栽培

トゥア・リータはまたがり式のトラクターを1997年という早い時期に採用したことで知られている。通常のトラクターは、列間を走行するため、タイヤがブドウ樹のすぐ脇を通過しがちになる。ブドウ根は、樹の真下だけでなく浅い表土の横方向にも広く張っているため、樹の近くを重いタイヤが通ると、水分や養分を吸収する重要な細根(フィーダー・ルーツ)が集中するエリアを直接踏み潰してしまうことになる。しかし、またがり式のトラクターは、逆U字型の高い車高でブドウの樹(1〜2列)をまたぎながら移動する。タイヤは列の真ん中だけを通るため、樹の根元周辺の土壌には一切の物理的な圧力がかからない。したがってこのまたがり式は土壌を押し固めず、根への酸素供給を健全に維持することができる。

また、トゥア・リータは比較的早い時期から高密樹を導入していたことでも知られており、ワイナリー設立当初は最大9,000本/haであった。しかし、現在は気候変動を念頭に置き、5,500本/haにまで植樹密度を下げている。

 

醸造

トゥア・リータの醸造スタイルは長年にわたって少しずつ変化しており、あからさまなオークのニュアンスはなくなり、抽出も穏やかになった。「私たちが目指しているのは抽出ではなく浸出(インフュージョン)に近いものだ」とルカが言うように、ジュスト・ディ・ノートリでは発酵中の浸出によってフィネスが強調されるようになっている。ルモンタージュは1日に1〜2回に制限され、力強さよりも繊細さを優先する。その結果、ワインには際立つフレッシュさと洗練された表現力が備わるようになった。

一方、ワイナリーの看板となるレディガフィは、50hlのオーク樽で約1週間の発酵を行う。この間にデレスタージュやルモンタージュを行って抽出していくが、その組み合わせと頻度はヴィンテージによって異なる。発酵後もマセラシオンは20日前後続く。その後、ワインは優しく圧搾され、フレンチオークの新樽で15〜20ヶ月間熟成される。

 

味わい

トゥア・リータの味わいが大きく変化したのは、初代のワインメーカーであったルカが再び戻ってきた2010年以降である。「より穏やかな抽出と控えめなオーク」という以前とは異なるアプローチにシフトした結果、トスカーナの太陽が生む豊潤な果実味の純度に磨きがかかった。力強さと骨格は健在だが、抽出温度と期間の抑制によりタンニンの質感がより滑らかになった。一方で、ヴィンテージにまたがって見られるレディガフィのフレッシュさとミネラル感は健在で、ボルゲリとは異なる土壌が鉄っぽさを強調している。

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