投資家のためのボルドー2020

投資家のためのボルドー2020

 

ボルドーの2020ヴィンテージは複雑なものになりそうですが、ワインへの投資が目的ならプリムールのオファーに飛びつくべきだと、ロンドンを拠点とするワイン投資会社のCEOは語ります。

 

「昨年、ボルドーは多くの逆風に直面しました。相場は軟化し、関税は米国に大きな影響を与え、ボルドーの貿易は非常に悪い状況下にありました。パンデミックが物の見方をいかに変えたかは顕著です。この数年間で消費者のボルドーワインへの興味は増加しました」と、ワイン投資会社Cult WinesのCEOであるTom Gearingは説明します。

 

投資においてボルドーワインはビットコインのようなものです。市場にとって価値のあるものに価値があります。しかしながらビットコインとは異なり、仮にボルドーワインの市場価値が急落したとしても、少なくともそれを飲むことができます。

 

2020年、ボルドーでは大きな収穫が見込めず、その希少性と積もり積もった需要の高さが相まって、品質面では2019ヴィンテージのほうが上回っているにも関わらず、2020ヴィンテージの価格は上昇するだろうとGearingは説明します。

 

「もし誰かが2019ヴィンテージよりも価格を下げるとしたらそれは驚きです。私がボルドーで聞いたことは、2018ヴィンテージと同じくらいの品質だということです。評価誌のスコアは2019よりも上回るでしょうか?おそらく上回ることはないでしょう。2019よりも手頃な価格になるでしょうか?おそらくならないでしょう」とGearingは述べています。

 

パンデミックの初期段階にあったので、昨年のプリムールは脱線状態にありました。ワイナリーは評論家やワイン商に評価されるサンプルの送付方法に頭を悩ませました。Gearingはサンプルのいくつかをスクリューキャップの試験官で受け取ったといい、サイズは375mlまたは750mlだったそうです。Chateau Ausoneはサンプル提供を行いませんでした。

 

ボルドーのシャトーは今年度のプリムール試飲会を4月に催行する予定だそうですが、果たして評論家やワイン商が参加できるのか、フランスが彼らを受け入れることができるのかすら分かりません。

 

英国を拠点とする評論家やワイン商にとっては、サンプルが国境で保留になる可能性があり、ここにもEU離脱による皺寄せがあるようです。最終的なリリースのように完璧な梱包が施されることは稀で、物によっては数日でダメになってしまうものもあります。これは米国においても同様で、税関をスムーズに通過できるものもあれば、そうでないものもあります。

 

生産者団体Union de Grands Crus de Bordeauxはニューヨーク、ロンドン、上海、香港、そしてサンフランシスコでのテイスティングを予定していましたが、パンデミックの影響でニューヨークとロンドンでは中止になったそうです。批評をするため試飲ができないのは痛手ですが、消費者にとっては通常と変わらずビジネスです。「プリムールでは、消費者には試飲なしで販売されます。エンドユーザーの消費者にとっては大きな変化がないと感じています」とGearingは語ります。

 

批評の違い

長年にわたって投資家は評論家のスコアを頼りにしていましたが、今ではその仕組みは変わりつつあります。Robert Parkerが引退するまではその仕組みは単純なものでした。Parkerがワインをテイスティングし、どれが最も大ぶりなものかを発表し、ワイナリーはそのスコアにそって価格を調整していました。2015年にParkerが引退してボルドーワインの批評をNeal Martinに譲ると、その仕組みに初めて揺らぎが生じました。

 

評論家のスコアは流通市場での価格に影響を及ぼしていますが、投資家がワインを売却する際にどの評論家に影響力があるかを予想するのは困難なため、投資家はどの評論家のスコアに従うかを見極めなくてはなりません。

 

「編集者のLisa Perrotti-Brownは多大な影響力を持っているのでWine Advocateはいまだに権威がありますが、Robert Parkerの時代ほどではありません。続いてAntonio GalloniとNeal Martinです。彼らは全く異なる評価のスタイルなので、二人の評価に共通項を見つけることは少ないかもしれませんが、彼らは市場で重要な存在になりつつあります。上記3人の他には英国のJancis Robinsonがいます。市場での影響力はやや劣るかもしれませんが重要人物です。アジア圏ではJames Sucklingがニッチな層をつかみ始めています。一般的には総意がより重要なものになってきていて、個人が価格に影響を与える力は以前ほど大きなものではなくなってきていると感じます」

 

ワインがテイスティングされるまでは、どのワインを購入すべきかの判断はできません。しかしながら左岸ははるかに収穫量が少なかったため、生産者が価格を引き上げる可能性があるとGearingは述べています。「サンテミリオンやポムロールでは収量の低下は顕著ではありませんでした。右岸のワインによりチャンスがあるかもしれませんが、今の段階で判断するのは早すぎるでしょう。」

 

価格に関していうと、2019ヴィンテージの値付けは低かったので2020ヴィンテージは値上げするだろうとGearingは予測します。

 

「昨年比5-20%程度の価格上昇で話合いがありました。昨年、Cos d’Estournelはかなり強気な価格設定をしましたが、リリースした時には見合う市場がありませんでした。Pontet-Canetは非常に早い段階でリリースされ、2008年以降最高の、非常に良い価格でした。そして良いスコアも獲得したため大きな需要が生まれました。」とGearingは説明します。

 

2009年、世界的な経済危機の影響で2008ヴィンテージのボルドーワインのプリムール価格は下落しました。その翌年、シャトーは2009ヴィンテージの価格を大幅に引き上げたため、いまだに不平をいう人がいるくらいです。一部の2009ヴィンテージは価格が高すぎるがゆえに、流通市場においていまだにプリムール価格に到達していません。これが再び繰り返される可能性はありますが、シャトーが過去の経験から学ぶことも可能です。

 

「今年のボルドーについては前向きに感じています。ボルドーには多くの関心が向けられています。投資の観点からのボルドー市場は、先12ヶ月は順調なはずです。」とGearingはまとめています。


引用元:https://www.wine-searcher.com/m/2021/03/bordeaux-2020-vintage-ripe-for-investors

この記事は引用元からの許諾をいただき、Firadisが翻案しています。
文責はFiradisに帰属します。

CTA-IMAGE ワイン通販Firadis WINE CLUBは、全国のレストランやワインショップを顧客とするワイン専門商社株式会社フィラディスによるワイン直販ショップです。 これまで日本国内10,000件を超える飲食店様・販売店様にワインをお届けして参りました。 主なお取引先は洋風専門料理業態のお店様で、フランス料理店2,000店以上、イタリア料理店約1,800店と、ワインを数多く取り扱うお店様からの強い信頼を誇っています。 ミシュラン3つ星・2つ星を獲得されているレストラン様のなんと70%以上がフィラディスからのワイン仕入れご実績があり、その品質の高さはプロフェッショナルソムリエからもお墨付きを戴いています。 是非、プロ品質のワインをご自宅でお手軽にお楽しみください!
Translate »