カリフォルニア・カベルネの隠れた宝石

カリフォルニア・カベルネの隠れた宝石

まだあまり知られていませんが、知られるべき産地があります。そう、その金塊はエルドラドで発見されました。


ワイン関係者はよく、お気に入りの隠れ家的レストランについて語ります。筆者はカリフォルニアのあるワイン産地について同じことを感じています、エルドラド郡です。私はこの産地をカリフォルニア州で最も過小評価されている産地だと呼んできました。

 

ですが今日のこの記事まで私が言及してこなかったのは、ここが一流のカベルネ・ソーヴィニヨンの源泉であるという点です。地元のワインメーカーでさえ、そう話す人はいません。
カベルネはこの郡でジンファンデルに次いで2番目に多く植えられている品種です。けれど、ほとんどのワインメーカーは、この地域は高地で涼しい気候で育つローヌ品種に最適だと話します。ローヌの上位7品種を合わせると、カベルネの栽培面積を凌駕し、80品種が栽培されている同郡の全栽培面積の24%を占めるまでに至ります。

 

さあ、エルドラドのカベルネを称える時が来ました。

 

2024年1月、筆者はエルドラド・エイトというワイナリーのグループが毎月開催している定例ブラインド・ティスティングに向かいました。このグループは、ワイン用ブドウが一番の農産物ではない(リンゴ、家畜、木材に次ぐ)山岳地帯で、車での長い移動距離をかけて結集しているグループです。エルドラド郡に植えられているブドウの数は、オークランド市を含む都市部のアラメダ郡よりも少なく、カリフォルニアワインの4%しか生産していないと自慢したがるナパ郡は、エルドラドの20倍の作付面積を持ちます。

 

5年前、著者は、“カリフォルニアワインの隠れた宝石を紹介してほしい”という依頼で、カナダの雑誌にて特集記事を組みましたが、その時最初に頭に浮かんだのはエルドラド郡でした。エルドラドはシエラ・フットヒルズの一部ですが、標高365~1050mと、近隣のほとんどの産地より高地にあり、そこが他と違います。気温は州の大部分に比べると低いですが、ほとんどのブドウ畑は霧のラインより上に位置するため十分な日照を得られるという実にユニークな産地です。ですが、大規模なワイナリーはなく、ほとんどのワイナリーが自分たちのワインを流通させることもありません。その代わり、彼らは顧客に直接販売し、多くの人々は近くのサクラメントやレイク・タホから車で来て、トランクに1~2ケース分を詰めて帰っていきます。

 

2019年、エルドラドのワイナリーに彼らのベストワインを送ってもらうよう依頼したところ、28種類のボトルが届きました。内13種はローヌ品種で素晴らしいムールヴェードルも含まれていました。2本はカベルネで、内1本は好みではありませんでしたが、もう1本はテイスティングで2番目に好きなワインでした。筆者はそのワイナリーのオーナーにインタビューしましたが、彼は他のワイナリーとは異なるカベルネを造っていると話しました。そのワインは非常に印象的だったのですが、それだけではエルドラド郡のカベルネについて全体的な記事を書くまでには至りませんでした。

 

そして、こんな記事は実現しないと思っていたところ、ある機会を得ました。
・エイトは収穫シーズンが忙しくない時に、他の地域の同じ品種とブラインドで自分達のワインを比較する、1品種ごとの月例試飲会を開催しています。その目的は、互いから学び、それぞれのワインの品質を向上させることです。

 

私は、“我々の読者が最も好むカベルネ・ソーヴィニヨンに興味がある”と伝え、2022年の彼らのカベルネ試飲会に参加する準備をしていましたが、コロナによりキャンセルしなければなりませんでした。カベルネは彼らの焦点ではないので、グループは2024年の1月までカベルネ試飲会を行いませんでした。

 

そして、1月にようやく出席できましたが、とにかく驚きました。エルドラド郡の一部のカベルネ・ソーヴィニヨンは品質が非常に良いだけでなく、優れたものはナパ郡の比較ワインを圧倒し、価格はその1/3未満でした。まさに隠れた宝石の定義そのものです。
「カベルネはこの高地で生み出されるワインの性質を最も良く表します」
Edio Vineyardsのジェネラルマネージャー、Christine Delfinoはそう話します。
「私たちのカベルネはナパとは逆の問題を抱えています。標高3000フィート(914m)にあるのでカベルネは成熟するのに苦労するのです」

 

古い黄金

さらに、エルドラドのカベルネのほとんどは古木です。
ナパでは果実1トンが非常に高価なため、古くなり生産性が落ちるとブドウ木は引き抜かれて再植樹されます。そのためナパにはほとんど古いカベルネのブドウ木がありません。エルドラドのカベルネの経済性とは大きく異なります。
「エルドラドでは古い畑にカベルネが植わることが多いです。というのも、ゴールドラッシュ(※1848-1855年頃)の時代にブドウ畑があり、それがジンファンデルでない限り、ブドウ栽培を始めるときにはカベルネかシャルドネが植えられたからです」
Boeger Wineryのオーナー、 Justin Boegerはこう説明します。

 

Madroña Vineyardsのオーナー兼ワインメーカーのPaul Bushはこう話します。
「当時の植え付けの決定は、地域のテロワールではなくそのブドウを売れるかどうかでした。50年前に植えられた我が家のブドウ畑は、32エーカー(約13ha)あり全て自根です。フィロキセラは発生していません。」

 

冷涼な気候は、良い方向でワインのスタイルに影響を与えています。
エルドラドのカベルネは、アメリカの他の産地のものよりフレッシュさが期待でき、果実味は黒よりも赤が強い傾向にあります。また、ワイナリーは新しいオーク樽に費やす資金をあまり得ていないため、経済的な面によって、ワインはオーク主体よりも果実主体になります。

 

そして価格です。
Boegerは、筆者がここ数年で飲んだ中で最高の24ドルのカベルネ・ソーヴィニヨンを造っています。私の絶対的なお気に入りのカベルネはMadronaのもので、他の産地のカベルネを全て吹き飛ばしました。

 

エルドラドの他のワイナリー同様、家族経営であるEdioのワインメーカー、Peter Delfinoはこのように話します。
「セーフウェイ(食料品店)のためにワインを造っているのであれば、人々はアルコール入りのジューシーなジュースのようなワインを期待するかもしれません。しかし、消費者向けに直接ワインを造っているのであれば、よりニュアンスがあり、エレガントなものを造っているでしょう。それが私たちのやっていることが他と違う理由の完璧な例なのです。」

 

 

引用元: California Cabernet’s Hidden Jewel
この記事は引用元からの許諾をいただき、Firadisが翻案しています。
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