Chablis(シャブリ)

ブルゴーニュ最大の白ワイン産地

一人歩きする『』という名前

キンメリジャンと寒冷の土地

■特徴

ブルゴーニュで生産されるワインの16%を占めるこの産地は、日本のワインブームの先駆けでもある。

しかしシャブリという名前だけが一人歩きして、辛口の白ワイン産地ということ以外詳しく知る人は少ない。

AOC規定ができる前までは、イギリスでは「スペイン産シャブリ」が流行り、アメリカでは「国産シャブリ」という偽物が出回ったという。

いずれも産地名ではなく『低品質な辛口の白ワイン』としてシャブリの名前が使われる、とんでもない時代があったそうだ。

キンメリジャン土壌

ブルゴーニュの最北にあり、北海道の稚内よりも北に位置する冷涼な産地。

どちらかというとコート・ドールよりもシャンパーニュに近くぶどうの成熟には苦労している。

その上半大陸性気候のため、冬の寒さは厳しく春には霜害の被害に多々合う、何とも過酷な環境に置かれている。

土壌はキンメリッジの泥灰土と石灰で形成されている。

このキンメリッジというのが原産地呼称制定の際にも「キンメリジャン土壌でない区画は除外する」というくらい、シャブリを語る上で大切なワードになる。

まだ恐竜が地上を闊歩していたジュラ紀後期、キンメリジャンという時代区分の石灰と粘土が混じった地層で、その中に牡蠣の化石が含まれる。

太古の昔ここは海の底で、だからシャブリは魚介に合うという非常に大雑把な説が広まっているが科学的な根拠はなにもない。

しかしここで栽培されたシャルドネの塩味さえ連想させる独特のヨード香やミネラル感は、このキンメリジャン土壌が関係しているとしか思えない。

Grand CruにあるDomaine de l’Enclosの畑

商業的なシャブリ、ドメーヌ的なシャブリ

しかし、現在でもシャブリはどんなワインかと言われると明確にそのスタイルを定められない。

味わいを決定づけるテロワールの重要性が一般に浸透し、最もそれが顕著であるブルゴーニュであるにもかかわらず、最もそれが無視されているのがシャブリだ。

年産3,000万本以上という大産地で、いまだに機械摘みが一般的。巨大なセラーにステンレスタンクが所狭しと並ぶ様はまるで工場のよう。

特級と1級に分類されるのは16%のみで、特級に至っては1%しかない。

ということは当然それ以外のシャブリ、プティ・シャブリが圧倒的に流通しているわけで、さらに一部の優れたドメーヌを除き、過剰なほどの収穫をして、異常に酸っぱくほとんど風味のないワインをつくるところもある。

石のような独特なミネラルと鮮烈な酸に負けない力強い果実味がシャブリのモットーであるが、正しい情報がないとその美しいワインを見つけることが難しい。

日本に輸入されるブルゴーニュ・ブランの約50%がシャブリであり、おそらくその中にはシャブリという名前に胡坐をかき、価格に見合わない品質のワインもたくさんあるだろう。

それとは対照的に、もちろん品質向上に日々意欲を燃やすワイナリーはいくつもある。

 

ただ、すでにシャブリとしてのマーケットが出来あがってしまっている現在、いくら努力を積み重ねてもムルソーやピュリニー・モンラッシェといった他のアペラシオンとの価格差を縮めることは難しい。

しかし実は消費者の立場から考えると、そういった優良生産者のシャブリは品質に対して圧倒的にお買い得とも言える。

1つ難点を上げるとすれば、良いものは数年間熟成をさせてから真価を発揮させるため忍耐が必要なこと。

 

唯一無二の個性を持ち、知名度もばっちり。

それは成功でもあるが、自分の首を絞めてしまっているのもまた事実。

現在はドメーヌを継ぐ若手生産者達が中心となって量に頼る造りから、質を重視した造りへとシフトしていっている。

本当の意味でブルゴーニュを代表する白の産地としてその名が響き渡る未来も近い?

■データ(出典:ブルゴーニュワイン委員会)

栽培面積 約5,479ha
土壌 キンメリッジ階の石灰岩と泥灰土でカキの化石を含んでいる
生産量 3,170万btl
ワイナリー数 347軒のドメーヌと生産量の1/4を占める1軒の協同組合
格付け区画数 21
栽培品種 シャルドネ
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