Provence(プロヴァンス)

巧みなイメージ戦略で一大ブームを巻き起こしたプロヴァンス・ロゼ

グルナッシュとサンソーが生む淡くチャーミングなスタイルは

老若男女を問わず世界中で愛されている

プロヴァンスはフランス最南東にあるワイン産地で、温暖な地中海気候が生む高品質なロゼワインで知られている。主にグルナッシュとサンソーのブレンドからなるプロヴァンスのスタイルは今や世界中がこぞって真似をしている。生産量で見ると、プロヴァンスのAOCワインの約90%がロゼで占められているが、これはなんとフランス全体のAOCロゼワインの約40%にも相当する。

ロゼ以外にも、、シラー、、ムールヴェードル、カリニャンからの赤ワインにも注目が集まっており、またごく少量ではあるがヴェルメンティーノ(=ロル)やクレレットなどから白ワインも作られている。

プロヴァンス産ワインの約65%がフランス国内で販売され、スーパーマーケットやワイナリー直売のセラードアがこれを占める。一方、輸出市場ではアメリカがぶっちぎりの一位で、プロヴァンスの全輸出ワインの約半数を占めている。大きく差を開けて二位につけるのがイギリスである。輸出市場は2000年初め頃から急速に伸びており、生産量、販売金額ともに驚異的な成長を遂げている。こうした急成長の背景には、プロヴァンスのライフスタイルを全面に押し出した見事なマーケティング戦略があり、また、シャトー・ミラヴァル(Chateau Miraval)に見られるようなセレブによるワイナリー買収も注目度アップに一役買っている。

プロヴァンスの畑はフランス南東の海岸線沿いを約200kmに渡ってカバーしている。これぞまさに地中海性といった気候で、年間に約3000時間もの太陽を浴びることができる。年間平均気温は14.5度と温かく、また乾燥した長い夏のおかげでほとんどの年で安定した収穫が可能となり、病害菌に悩まされることは少ない。病害菌のリスクを下げるとともに冷涼効果を与えてくれる重要な気候的要因として、ローヌ渓谷から吹き下ろす冷たい風ミストラルも忘れてはならない。このせいもあってかプロヴァンスは他産地に比べオーガニックの畑が非常に多く、ブドウ栽培に恵まれた環境と言える。一方で、冷涼な風は開花や結実にダメージを及ぼす場合もあり、収量を下げるリスクも有る。そのため常に安定した収量を生む最良の畑はミストラスをうまく避けることができる場所にある。

ロゼ用のブドウは酸を高く保つために通常赤ワイン用ブドウよりも早く収穫される。しかし、もしロゼワインが短時間のマセラシオンを行うのであれば、タンニンがしっかり熟していなければならないためその限りではない。早摘みしてタンニンが未熟だった場合、ワインに苦味が付与されてしまうからである。このため果実の熟度と理想的な酸のバランス、タンニンの成熟を見ながら適切な収穫日を決定することが非常に重要となる。なお土壌に関しては、全域のほとんどで石灰岩が見られ、海岸沿いの東側の一部でシストが見られる。

Cotes de ProvenceにあるCh. les Valentinesの畑

味わいの特徴

東部を中心に広がるCotes de Provenceはプロヴァンス最大のAOCで、約20,000haの畑から非常に多くのロゼワインが生まれる。ブレンドに指定される主要品種はグルナッシュ、、ムールヴェードル、シラーなどである。ワインは基本的に淡いピンク・オレンジの外観でラズベリーやレッドプラムなどの心地よい赤系果実のアロマにハーブのノートがある。酸は中程度でボディはミディアム、アルコールも程よく飲みやすい。品質は総じて高く、価格のレンジは小売で2千円台のものから1万円を超えるプレミアムなものまで幅広い。同じスタイルのワインが中央やや内陸部のCoteaux Varois en Provenceや西部に広がるCoteaux d’Aix-en-Provenceなどから作られるが、これら2つのAOCでは主要品種にクノワーズが加わる。これら3つの主要なAOCがプロヴァンスの95%以上のワインを生んでいる。

プロヴァンス産のロゼのほとんどは淡い色あいだが、これはメインで使用される品種(グルナッシュやサンソーなど)の果皮の色素が比較的薄いことに由来する。加えて、白ブドウを最大20%までブレンドできるAOC規定の存在もある。ロゼの抽出方法は、現在主流の直接圧搾または短時間のマセラシオンのどちらかが用いられる。最上のものは、酸化防止とフレッシュな果実のアロマを保つために果実は冷却され、嫌気的に管理される。発酵は通常ステンレスタンクで行われる。発酵温度は14-18℃が多く、これは繊細な果実由来の第一アロマを保持しつつも、過度な低温に由来するバナナのような望ましくないアロマを防ぐためである。酸の保持と第一アロマを守るためにMLFは基本的に行わない。その後ワインは短期間澱とともに寝かされボトリングに移る。一部の生産者はテクスチャーを向上させるために澱との熟成を8-10ヶ月と長めに取ることもある。マルゴーのサシャ・リシーヌによるシャトー・デスクラン(Chateau d’Esclans)などは上級キュヴェに樽熟成を取り入れている。

ロゼ以外で忘れてはならないのがマルセイユとトゥーロンの間、地中海沿岸部に位置するバンドールである。ここは非常に温暖な気候に恵まれているため、晩熟のムールヴェードルがしっかりと完熟する。赤ワインはムールヴェードルを50-95%使用しなければならず、18ヶ月の樽熟成が課されている。バンドールの赤ワインは色が濃くフルボディで品質が高く、ドメーヌ・タンピエ(Domaine Tempier)などは熟成ポテンシャルの高いプレミアムなワインを作っている。

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