シャンパーニュの歴史について識る
- 2022.10.19
- シャンパーニュコラム
目次
シャンパーニュの歴史について識る
かのドン・ピエール・ペリニヨンが初めてシャンパーニュを発見した時に「私はいま、星を飲んでいる!」と言ったお話。
シャンパーニュ誕生という、歴史に残る瞬間のドラマティックなエピソードとして、シャンパーニュ好きなら誰もが聞いたことがある有名な話です。
若干マーケティング的な思惑も垣間見えるこの話が実話かどうかはさておき(美しい実話であって欲しいものです、それだからこそのシャンパーニュ!)、シャンパーニュというお酒にまつわるストーリーは常に抒情的・詩的に語られてきました。
残念ながら私はただのワインショップの店長であって歴史小説家ではないので、この項で物語を語ることは出来ません。それに当店のお客さまも、シャンパーニュというワインそのものに関係の無い、地域の歴史上の出来事まで全て把握する必要は感じていないと思います(・・・勿論、もしそう言う方がいるならば、是非専門書を紐解いてください。非常に面白い読み物であることは保証します。)。ですから、ここではシャンパーニュが生まれるに至った重要なポイントだけに絞り、世界史の参考書のような形で整理して記すこととしました。
シャンパーニュという地域の背景と、この素晴らしいお酒が産まれるに至った流れ、是非とも知っておいてください。
ローマ人によりシャンパーニュにワイン造りが伝来?
紀元前 ローマ帝国の領土の一部であったこの地域にワイン造りが伝来。この時期はもちろん発泡性のワイン製造技術は無いため、赤ワインが造られていた。
シャンパーニュの主要産業は繊維業であった
11世紀 繊維業で財をなしたメゾンが、後のシャンパーニュの大手メゾンへと発展してゆく。この時期はまだ赤ワインが中心に造られ、フランスの王族にもブルゴーニュワインとともに楽しまれていた。
修道院によるブドウ栽培・ワイン生産の開始
1114年 当時のシャンパーニュ地方の司教であったGuillaume de Champeaux(ギョーム・ド・シャンポー)が、この地の修道院にブドウ栽培・ワイン製造の特権上を与え、以降修道院による研究開発が進んでいった。
Pierre GossetがAy村の市長に
1584年 現在も有名なChampagne GOSSET社/Gosset-Bravant社の前身を担ったネゴシアン・マニピュランの経営者Pierre Gosset(ピエール・ゴッセ)氏がシャンパーニュ地方Ay(アイ)村の市長に就任。
Dom Peringonがオーヴィレール修道院の酒庫係に
1668年 かのDom Perignon(ドン・ペリニヨン)が29歳の時に酒庫係となった。これがシャンパーニュのターニング・ポイント。
Dom Perignonがアッサンブラージュの手法を開発
1670年代 ドン・ペリニヨンは、卓越したテイスティング能力を有していたと言われ、ブドウ品種・畑毎の特性を完璧に理解していたと言われる。その理解が、それぞれのキュヴェの特性を生かす「アッサンブラージュ」手法の創造に至ったと考えられる。
Dom Perignonが発泡性ワインの製法をシャンパーニュに伝える。
1680年代 これより100年ほど前から、仏ラングドック地方のLimoux(リムー:現在も瓶内二次発酵のクレマン・ド・リムーの産地として名高いエリア)に赴いたドン・ペリニヨンが発泡性ワインの製造法を習得、シャンパーニュに持ち帰ったと言われる。
Nicolas Irenee Ruinartが自らのメゾンでシャンパーニュを販売開始
1729年 シャンパーニュを初めて一般市場に流通させた大手メゾンは、現在も名高いRuinart(リュイナール)社。
Veuve Cliquotが、「ピュピトル」を開発
1818年 瓶内二次発酵の際に発生した酵母粕を瓶口に集める「ルミアージュ」作業を効率化する台「ピュピトル」は、ヴーヴ・クリコが開発した。
Jaquesonが、「ミュズレ」を開発
1844年 シャンパーニュのコルク暴発を防ぐための金属蓋と留め金(ミュズレ)は、メゾン・ジャクソンによって開発された。
シャンパーニュの産地を規定する政令が発令
1908年 シャンパーニュ地方の原産地が初めて規定される。この時代、既に国内外でシャンパーニュの呼称を無断使用する例が相次ぎ、シャンパーニュと言うブランドが悪用されていた。
シャンパーニュのAOC規定
1919年 原産地統制呼称法によりシャンパーニュが規定される。使用できるブドウ品種の規定なども、この時に定められたものが今も生きている。
シャンパーニュ産地規定の見直し、再発令
1927年 オーブ県が新たに産地として認定・追加される。
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