「ワインの添加物について、ちゃんと知りたい②「亜硫酸塩(後編)」

「ワインの添加物について、ちゃんと知りたい②「亜硫酸塩(後編)」

前回公開の「ワインのマメ知識」の続き。酸化防止剤「亜硫酸塩」に関する話の後篇です。

前回は、亜硫酸塩の果たす基本的な機能についてきちんと知って戴くためのお話しでした。
ここからは、亜硫酸塩がワインの「味に与える影響」、「体に与える影響」について書きたいと思います。

今回の実験では、ワイナリーにお願いして1つのワインに異なる量の亜硫酸塩を添加して、
4種類のサンプルを作って戴きました。
通常そのワインに添加する亜硫酸塩を基準とし、
添加をゼロにしたものと、添加量をやや増やしたもの、かなり増やしたもの、という4段階。
使用したワインは5種類(生産者は4社、1社のみ赤白)あって、
アルザス&ブルゴーニュの白2種類、赤はボルドー・ブルゴーニュ・ローヌの3種類で実施しました。

フィラディスのソムリエ有資格者30名ほどで、1つのワイン×4本を順に試飲し、
香りと味わいの状態を分析・コメントの上、議論をしていきます。
この5種類×4本を試飲して出てきた意見を簡単にまとめると以下5点になります。

①亜硫酸塩を全く添加していないワインには、キャンディ系の甘さを感じるような香りがある。
 (べっこう飴のような香り、と表現した人も何人かいました。)

②無添加のワインは果実のクリアさが際立つが、重心・骨格に欠け、締まりのないだらっとした感じ
 締まりがなく、ワインとしてのボディが感じられない。

③一方、亜硫酸塩の添加量が多くなっていくと、香り・味わいにはっきりとした変化が見られた。

④香りでは、添加が標準より多くなっていくに連れ、マッチを燃やしたような、燻したようなニュアンスに。

⑤舌触りの面では、添加量が多いものはざらつきがあり、喉越しにイガイガ感がある。

⑥味わいではタンニンの渋みが際立ち、引き締めるようなギシギシ感が強まっていく。

あくまでも客観的に評価して、
「標準添加のものが、味わいバランス的にも一番整っている」というのが僕たちの結論でした。
ゼロのものはワインとしての骨格がなく締まりがなく、
添加し過ぎると今度はざらざらギシギシして飲み辛い。

つまり、適量の添加によってワインの味わいバランスの構築、
という役割を果たすということが明らかになります。
(逆を言えば、ボディの無いワインに過剰に亜硫酸塩を添加すれば・・・
一見「渋くてガッシリ」したワインに化ける、と言うことでもありますよね)

亜硫酸塩は単に酸化防止の役割だけでなく、同時にこういった機能も持っているが故、
歴史的に長くワイン造りに使われてきたのでしょう。



そして次に「亜硫酸塩が人の体に与える影響」について。
僕はお医者様ではないので医学的なことは言えませんが、
亜硫酸塩の悪い点に対して最も良く言われるのが「頭痛がする」ですよね。
これが極端に変化して「ワインは酸化防止剤が入っているから頭が痛くなるお酒」
なんて言われたりします。
・・・でもこれは実際には、亜硫酸塩が直接アタマに影響をしているわけでは無いようですよ

亜硫酸塩が人体に与える影響は大きく3つ挙げられます。

①体内の消化に関わるバクテリアを遮断する働きがある。

②肝臓の活動源であるビタミンB1と結合して働かなくする性質がある。

③そして、喘息持ちの方には、少量の摂取でも有害反応を起こす、とも言われています。

最初の2つで言えるのは、肝臓の働きを鈍化させ、糖とアルコールの分解を遅くするということです。
それはイコール、・・・疲労や頭痛といった、二日酔い症状が長引く、ということ。
これが、「亜硫酸塩のせいで頭痛がする」の正体のようです。

前回も書いたように、清潔で健康な原料ブドウを手作業で細かく選別しているワインには、
ワインの状態を守り味わいの構成を整えるために最低限の亜硫酸だけが添加されます。
一方でブドウをきちんと選定しない大量生産の低価格ワインは、
収穫時に破損した果実から雑菌が増殖するリスクがありますので、
必然的に亜硫酸塩が多めに添加されています。
これが、「安いワインを飲むと頭が痛くなる」ということではないかと思います。

でも、ご安心ください。
添加された亜硫酸は瓶の中でも着々と機能を発揮して徐々に減少し、
栓を開けた時点でも大部分が消費されています。
よって、多量の亜硫酸塩を添加している大量生産安ワインは別として、
きちんとした生産者のものさえ選んでいれば、悪酔いするようなことは無いと思います。
ワイン好きは皆言います、「良いワインだと、翌日全然残らない」って。

2回に渡ってお伝えしたかったことは、
「亜硫酸塩」という物質そのものが悪なのではなく、
それを本来のポジティブな機能を果たす以上の多量を添加しなくていけないような、
清潔な原料や清潔な生産環境を用意していない生産者が悪いのではないか? ということでした。

さて、最後にワインのおススメもさせて下さい!
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ドメーヌ・デュ・ジョンシエ リラック イシ


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