RM、NM、RC・・・アルファベット2文字の意味するもの。
- 2022.10.19
- シャンパーニュコラム
目次
大手有名メゾンだけがシャンパーニュではない!
シャンパーニュを飲み慣れた人から、「最近は”RM”しか飲まない」という話を聞くことも多くなりました。
緻密なマーケティング戦略と巨額の広告予算が動くシャンパーニュの世界ではどうしても有名メゾンの存在感ばかりが際立ちますが、実はこのエリアには凄まじい数の生産者が存在します。
その数は15,000件とも20,000件とも言われていますが、ブドウ栽培だけを行う小規模農家も多いため、定かではありません。
近年、大手生産者に原料ブドウやワインの形で売却していた生産者が自家醸造に乗り出すなどして、その生産者体系に少しずつ変化が見られています。前述の「RM」、つまり自家所有する畑から収穫されたブドウだけでシャンパーニュを醸造して販売する「Recoltant Manipulant レコルタン・マニピュラン」が一躍脚光を浴び始めているのです。
ブレンドの妙によって目指す味わいを戦略的に調合し、エントリークラスと言われる「スタンダード・キュヴェ」をきわめてマーケティング的に安定供給してきた大手メゾン伝統の手法とは一線を画し、ブルゴーニュのようにテロワールを重視したスタイルの表現者たち。
彼らが新たな価値観を世界に投げかけ、軽やかに時代を塗り替えようとしているのです。
このように、超大手メーカーから家族経営のドメーヌまで多様な生産者が存在することにより、シャンパーニュはより幅広い市場に展開し、ポピュラーなワインたり得てきたのです。
シャンパーニュに表記された2つのアルファベットを、正しく理解する
それでは、改めてシャンパーニュの生産者がどう分類されるのか再確認しておきましょう。
シャンパーニュのラベルには、造り手のカテゴリーを示す「2文字のアルファベット」が刻まれています。
2文字のアルファベットで表記されるカテゴリーは下記の7つ、正確に理解し、アルファベットを見ただけですぐに判別できるようにしておくと、シャンパーニュを選ぶときにどんな規模の生産者なのかがすぐに良く分かります。
表記が小さく見辛いワインも多いのですが、シャンパーニュを手に取る時は必ず見てみて下さい。
NM-Negociant Manipulant ネゴシアン・マニピュラン
モエやクリコなど、所謂大手メゾンは全てこれに該当している。ブドウ栽培農家・小規模生産者からブドウ・ワインを買い付け、それを原料としてシャンパーニュ製造を行う。一部は自社畑栽培のブドウを使用しているケースが多い。
RM-Recoltant Manipulant レコルタン・マニピュラン
自社畑で収穫したブドウのみでシャンパーニュを生産する栽培醸造家。シャンパーニュ地方には多数存在し(その数は2,000とも5,000とも、、、)、独創的なスタイルや新世代の台頭で今最も注目されるジャンル。
CM-Cooperative de Manipulantion コーペラティヴ・ド・マニピュラシオン
栽培家の共同組合に所属する農家が栽培したブドウを合わせて醸造を行い、協同組合のブランドで販売するシャンパーニュ。
RC-Recoltant Cooperateur レコルタン・コーペラテュール
醸造設備を持たない栽培農家が共同組合の設備を使用して醸造を行い、自身のブランド名で販売する場合の名称。
SR-Societe de Recoltants ソシエテ・ド・レコルタン
複数のレコルタン・マニピュランが共同で醸造を行い、オリジナルブランドで販売するシャンパーニュ。
ND-Negociant Distributeur ネゴシアン・ディストリビュテュール
他のシャンパーニュ生産者が製造したシャンパーニュを購入し、自社ブランド名を冠して販売する小売業者(ディストリビューター)。
MA-Marque d’Acheteur マルク・ダシュテール
顧客のリクエストにより造られ、顧客名を冠して販売されるシャンパーニュ。百貨店や大手スーパー、ホテルなどがプライベートブランドとして生産を依頼するケースが多い。
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