「グラン・クリュの各村を識る」第6回:「ドン・ペリニヨン」の屋台骨、シュイイ村
- 2022.10.19
- シャンパーニュコラム
やはり白ブドウだけで造られるブラン・ド・ブランは熱狂的なファンが多いですよね。
前回コラムでご紹介したTHE CHAMPAGNEお薦めの『クロード・カザル カルト・オール ブラン・ド・ブラン』には、沢山のご注文を戴きました!!!
前回はコート・デ・ブラン地区の概要をお伝えしたので、今回からこのエリアのグラン・クリュ各村ひとつひとつを解剖していきます。
コート・デ・ブランには、6つのグラン・クリュ村が南北に広がるように存在しています。
まずはいつもの地図をご確認ください。
6つの村は北から、
①Chouilly(シュイイ)村
②Oiry(オワリィ)村 *シュイイ、オワリィはほぼ東西に並ぶような位置関係です。
③Cramant(クラマン)村
④Avize(アヴィーズ)村
⑤Oger(オジェ)村
⑥Le Mesnil sur Oger(ル・メニル・シュール・オジェ)村
の順で並んでいます。
このうち②のオワリィ村はグラン・クリュ格付ではあるものの、実際の作付面積が非常に小さく優れた区画も非常に少ないことから、正直あまり注目する必要のない村、と言えます。
ちょっと心苦しいのですが、今回のこのコラムでもこの村については特に触れません。
だから、実際に「コート・デ・ブラン」で把握すべきグラン・クリュは5つ。
それでも、グラン・クリュで真に注目すべき村がたったの9つしかないことを考えれば、
実に半数以上がこの地域に集中している訳です。
白の丘がいかに重要なエリアか、一目瞭然ですよね。
それではここから、オワリィ村以外の5村についてひとつずつ説明をしていきたいと思います。
モエ社も所有する最優良区画「サランの丘」
まず今回は、①Chouilly(シュイイ)村のポイント。
グラン・クリュ最大の栽培面積(523.1ha!)を誇る村ですが、オワリィ村同様に優れた区画はごく僅かに限られています。
シュイイのワインは酸・ミネラルともに控えめで、滑らかに広がるソフトな果実味と上品さが個性。
やさしい果実の上品さとしなやかな質感、南のクラマン寄りの区画ではそこにクリーミーさも加わります。
シュイイはこの地域では珍しく、ミネラルよりも「ボディ」「ボリューム」を感じるシャンパーニュです。
この村で最上といわれる区画は「サランの丘」(この地名を知っているとカッコいいかもしれません・・)。この丘に広がる畑はほぼモエ・エ・シャンドン社が独占し、東向きの斜面の上には同社のシャトー「シャトー・ド・サラン」が建てられています。
モエ・エ・シャンドンはこの区画のブドウの大部分を『ドン・ペリニヨン』に使用。
限られた区画ながら、そのずば抜けたクオリティの証明ですね。
モエ社が優良区画の大部分を買い占めてしまっているため、この地域には注目すべき栽培醸造農家=レコルタン・マニピュランの数も限られています。
実はフィラディスでも1件だけ、シュイイ100%で造っている生産者の扱いがあるのですが・・・
創造を絶する少量生産のため、限られたレストランからの毎年のご予約だけで完売してしまうのです。
その生産者の名前は『Jean-Yves Legrand ジャン・イヴ・ルグロン』。
ドメーヌは表札すら出さず、全ての仕込み(ラベル貼りまで・・)手作業で行っている、筋金入りの頑固者のようです 笑。
シャンパーニュで最もミステリアスな正体不明の生産者、とまで言われているそう。
残念ながら当面THE CHAMPAGNEでも取り扱いのできる見込みはないのですが・・・
いつか必ず在庫を確保して皆様にご紹介したい、と思っています。
ご案内出来ず大変申し訳無いのですが、生産者のご紹介だけリンクを貼らせて戴きますね。
ご興味持って頂けたら、是非是非見てみてください!
http://www.firadis.co.jp/quality-wine/france/jean-yves-legrand
白の丘特集、ここからあと4回続いていきますが、実はこのエリアは単一村のグラン・クリュ・シャンパーニュよりも、3-4村の個性をバランス良く生かしたシャンパーニュのほうが多くなっています。
(特にスタンダード・クラスはブレンドが多いです)
そこで今回はちょっと先取りで別の村のシャンパーニュをおすすめさせてください。
4番目の「アヴィーズ」村のブラン・ド・ブランをご紹介。
ブリュン・セルヴネイ メロディ・オン・セー ブラン・ド・ブラン アヴィーズ・グラン・クリュ N.V.
きめ細やかな酸とミネラル、これぞコート・デ・ブラン!なスケール感溢れる1本ですよ。
それでは、次回のコラムもお楽しみに!!
Firadis WINE CLUB 店長
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