今月のおすすめワイン本【2021年5月】ワインが登場するミステリ小説①
- 2021.05.17
- 今月のおすすめワイン本
- カリフォルニア, ワイナリー, 職人
読むとワインを飲むのがもっと楽しくなる本を毎月1冊ご紹介する『今月のおすすめワイン本』シリーズ、今回からは3回連続の特集企画「ワインが登場するミステリ小説」のおすすめをご紹介したいと思います。
このコーナーではワインの専門書やユニークな研究所、コミックなどを取り上げてきましたが、やはりワイン片手にのんびりと読書時間を楽しむならエンタテインメント小説が一番!ということで、大のミステリ好き(いわゆる「本格ミステリ」が一番好物です)のがおすすめする、ワインミステリをセレクトしました。
読み始めたら止まらないミステリで、ワインがどんどん進んでいつの間にかボトルが空になっているかも・・・・?
ということで、まず1冊目のおすすめワインミステリ小説はこちら!
『刑事コロンボ11 別れのワイン 原題:ANY OLD PORT IN A STORM(TVドラマノベライズ)』
(W・リンク R・レビンソン著 河原畑 寧さん訳/サラブレッド・ブックス *古書で入手可能)
若い方は『刑事コロンボ』なんてあまりなじみが無いかもしれませんが・・・
米国で1968年から2003年まで、なんと35年にもわたって作品が造られ続けた大人気刑事ドラマです。
放映開始当初は年に8話が制作され、日本ではNHKがTV放映をしていました。
このシリーズは、視聴者(読者)には先に犯人が分かっていて、主人公の刑事コロンボが犯行計画を推理しながら犯人を追い詰めていく「ハウダニット(How dome it?)」ドラマ。
このスタイル、のちに日本では「古畑任三郎シリーズ(これも若い方は知らないのかな・・調べてみてください)」に受け継がれましたよね。
さて、そのシリーズから今回紹介する1冊はドラマのノベライズ版、第11作で名作との誉れも高い『別れのワイン』。
何分ミステリ小説ですからネタバレは絶対に無いようにご紹介していかねばなりません。
簡単なあらすじと、ワイン好きが読むと面白いポイントなどに絞って書いていきたいと思います。
今日ご紹介する『刑事コロンボ11 別れのワイン 原題:ANY OLD PORT IN A STORM』は、本国での初回放送日が1973年10月7日、日本ではその約1年後の1974年6月29日にNHKで放映され、このノベライズ版は同年11月に出版されました。
約50年前ですから、相当古いドラマ・書籍です。
さて、上の画像を見て戴くと表紙には「人徳あるワイン鑑定家が弟を殺害!」と書いてありますが、実際には鑑定家というよりもワイナリーオーナー兼収集家、ですかね。
この小説ではこのワイナリーオーナーがある人物を殺害し、それを隠すために行ったアリバイ工作をコロンボが解き明かしていくというのがメインストーリーです。
作品の舞台は米カリフォルニアの「カシーニ・ワイナリー」。
主人公は当時の米国におけるコマーシャルな大量生産ワインの販売に背を向け、高品質なワインを追求しようとする職人的思想を持った人物。
うーむ、フィラディスだったら取引していたかもしれません 笑
彼が、そのワインへの理想ゆえに引き起こしてしまった殺人と、それを見破られていく過程でも重要なキーとなってくる「ワイン」。
僕や皆さんのようなワイン好きでしたら、犯人の気持ちに一定の感情移入もしてしまいつつ、その彼が気付かなかった犯行のほころびに「ああ・・・」というなんともやるせない気持ちになるはずです。
そして、あのよれよれのコートを着た刑事コロンボが、犯人を追い詰めていくためにワイン知識を習得していこうとする過程がなかなかの読みどころ。
具体的にはお話しできませんので、コロンボにワインを教えるある人物のセリフで良かったものを1か所だけ紹介しておきましょうか(*ストーリーには全く影響ありません)
コロンボ :「その・・・ワインの味てのはどうして見分けるんで?」
相手の人物:「あんたが飲んでうまいと思えばいいワインなのさ」
このコロンボのせりふ回しもドラマの吹き替え版っぽくて良いですよね。
その通りだ!ということで、後は読んでみてのお楽しみです。
まあ、正直言いまして全体的にはかなりおかしな設定、無理のあるストーリー展開も多いです 笑
原題から想像される通り、とあるワインがアリバイ崩しのアイテムになってくるわけですが、ここは特にワイン好きの方と飲みながら笑いたいところですね。
当時の米国ならではのワイン描写、以前このコラムでも書いたような「カリフォルニア・シャブリ」の登場など、歴史的状況を知ることが出来るのも面白いですよ。
本書は残念ながら現在絶版ですが、古書サイト等では数百円ほどで購入できますのでご安心を。
お手軽に買って、是非ワインを飲みながら読んでみてくださいね。梅雨時の休日に、ピッタリだと思います!
ということで本日はこの辺で・・・
次回、ワインミステリご紹介コラム第2回では、日本の作品をご紹介したいと思います。
あの有名な時代小説家の方が、こんなワインミステリを書いていたとは…と驚かされる作品です。お楽しみに!!
*本日ご紹介した書籍『刑事コロンボ 別れのワイン』、Amazon他古書サイトに結構出回っています。
是非読んでみてください!
↓↓↓
https://www.amazon.co.jp/刑事コロンボ 別れのワイン
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