ワインボキャブラ天国【第143回】「キイチゴ」 英:bramble 仏:ronce
- 2022.09.25
- ワインボキャブラ天国
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「キイチゴ」
英:bramble 仏:ronce(女性名詞:発音は「ロンス」)
「キイチゴ」とは?
赤ワインの香りや味わいを喩えるときに使用される表現『キイチゴ』は、例えばラズベリーやブラックベリーなどバラ科に属する植物から取れる果実の総称です。赤い果実から黒い果実まで非常に多数の品種が含まれ、学説によってはその種類は数百種類にも及ぶのだとか。野生植物であるため雑種なども多く、正確には一体どれだけの種類が「キイチゴ」に属するのかを定めることは出来ないようですね。
ちなみに、「カシス(ブラックカラント)」はスグリ科、「ブルーベリー」はツツジ科に属する植物なので種の異なる果物です。
ただ、ワイン表現における大きなくくりとしてはこれらも「黒いベリー系果実」に含めてしまって特に差支えはありません。
「キイチゴ」のニュアンスがあるワインとは
さて、この『キイチゴ』はどんなワインを表現するときに使うのかというと、大まかに言えば「まだフレッシュな果実感のある赤ワインやロゼワイン」です。つまりまだ若いワインの瑞々しさを表現する際に使うことが多いのですが、熟成したワインに対して「〇年もの時間がたっているにもかかわらず、摘みたてのキイチゴを想わせるフレッシュ感を残していて…」といった形で生き生きとした生命力を伝えるときに使うことも。また、黒ブドウを使用して仕込まれた白スパークリングワイン、所謂「ブラン・ド・ノワール」にもこのニュアンスが見つかることがあります。
『キイチゴ』自体が赤いベリーも黒いベリーも含む総称ですので、ただ「キイチゴの印象」と言うよりは、「ラズベリーやブラックベリーなどキイチゴ系の香りを感じる」など、具体的な果実の名称を挙げて使うほうがより伝わりやすいですね。また、様々なベリーの印象を感じるとき、つまりミックスベリーのような印象を受けた時には「沢山のキイチゴ系果実の香りが詰まった・・・」などと敢えて大きな括りで表現することで、その凝縮感や複雑性を伝えることもできるのでは。
今回覚えておいて戴きたいのは「キイチゴ」という果物は無く、これはあくまでも総称だということ。それを分かっていて表現に使うと、幅が出るのではないでしょうか。
ということで今回の「ボキャブラ天国」はこれにて終了。
今日も、あなたの表現するワイン世界が少し広がりました!
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