Ch. Angelus サンテミリオン格付け離脱へ

Ch. Angelus サンテミリオン格付け離脱へ

Ch. Angelusがサンテミリオン格付け離脱を決めましたが、ワインの売上への影響はなさそうです。


ワインの格付けを強制するには皇帝の存在が必要なのかもしれません。皇帝ナポレオン三世は、1855年にボルドーワインの格付け作製を命令し、その格付けは2回の小さな変更のみで今日まで引き継がれてきました。

 

サンテミリオンのワインは1855年の格付けには含まれておらず、その100年後、この地域の指導者達は10年ごとに更新される独自の格付け制度を導入することに決めました。しかし、フランスには今はもう独裁者は存在せず、認めたくない事かもしれませんがアメリカ文化がより影響力を持っているかもしれません。実際に、最近では格付けの発表の度に訴訟が起きています。

 

この格付けを継続することに意味があるのかを考える時が来たのでしょう。2022年1月、Ch. Angelusは2022年版のサンテミリオン格付けから離脱することを発表しました。2012年の格付けでは、4つのシャトーに最高レベルが与えられましたが、その内の3つ、  Ausone,   Cheval Blanc,   Angelusは今回撤退しており、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセAに格付けされたワイナリーとしては唯一  Ch. Pavie  のみが残っているという事態です。

 

これはワインマニアにとっては大変なゴシップですが、少なくともアメリカでのワイン売上には全く影響がないと、アメリカを拠点とする  Tribeca Wine Merchants  のマネージングパートナーを務める  Ben Aneff  は言います。

 

「私が思うに、アメリカのバイヤーに比べてイギリスのバイヤーはよりボルドーのアペラシオンを気にする傾向があると思います。私の経験上 ”・クラッセAのワインありますか?” と聞かれた事は一度もありません。同様に、 “ Pavieにすごく興味があるけど、クラッセAになったら購入を検討しようかな ” と言った人や言われた人の話も全く聞いた事がありません。アメリカのバイヤーでこれほど格付けを気にする人はほとんどいないといえるでしょう。」

 

ボルドーには最近まである種の”皇帝”が存在していました。”ワインの皇帝” ことロバート・パーカーです。2006年に出版された   Elin McCoy  の著書は、「彼はナポレオン三世のごとく、ランキングシステムを強制するのにかなり効果的な存在であった」と記しています。パーカー氏の引退後も、ワイン・アドヴォケイトをはじめとする幾つかの評価誌の高評価は、政府の格付けよりも消費者を惹きつけているとBen Aneffは指摘します。サンテミリオンの離脱と似た動きとして、Soldera  が  Brunello di Montalcino  から離れ、GajaがBarbaresco  から離れた(のちに復帰)時も、売上への影響はほぼなかったといいます。

 

誰がために鐘は鳴る

Ausone  と  Cheval Blanc  が2021年の夏に格付けから撤退すると発表した時、両社は、現在使用されている審査基準が、テロワールの優位性を軽視し、観光客の数やソーシャルメディアのフォロワー数といった基準でシャトーを評価していると不満を表明しました。

 

「ボルドーの格付けがブルゴーニュのグラン・クリュ・システムと同じだと考えているなら、それは違います」と  Aneff  は言います。「ブルゴーニュでは、ワインツーリズムやソーシャルメディアのフォロワー数をもとに、畑をグラン・クリュとするかどうかを決めるなんて考えもしないでしょう」

 

しかし、Pavieとともに2012年に初めて憧れていたクラッセAを獲得したばかりの  Angelus  の辞退理由は、Ausone,  Cheval Blanc  とは異なるものです。

 

Angelus  の共同オーナーである  Hubert de Bôuard  は、2012年の格付けをめぐり、その地位(※格付けを監督するINAOへの参加)を利用して特定のシャトーに利益をもたらしたとして、2021年にフランスの裁判所から有罪を宣告されています。この判決については、Angelusが撤退を発表したプレスリリースの中で引用されているので、以下、長文になるリリースの内容を引用します。

 

「この格付け内で発生する昇格や降格といった利害関係は、多くの批判を招き、(降格したワイナリーが訴訟を起こすなどの)法的手段に訴えるケースを数多く引き起こす誹謗中傷の対象となっています。2006年、2012年にも同様の事が起こり、法的手続きは10年近くたった今も進行中です。そして、現在作成中の2022年版格付けに対して、既に2つのワイナリーが緊急法的手続きを開始したことを知りました。」

 

「かつては進歩の源であったサンテミリオンの格付けは、この地に対立と不安定さをもたらすものとなってしまいました。Angelus  は、この有害な状況を遺憾に思いつつ、2022年の格付けから撤退することで、このシステムから離脱します。」

 

「格付けを監督する INAO への参加を理由に、10年以上の訴訟の末に  Hubert de Bôuard  に罰金を科した最近の判決は、私たちがこのシステムから撤退するという選択を強化するものでした。このシステムに属すことによる利点は保証されているとは言えず、さらに、不正な訴訟や批判などのリスクを相殺できるものではありません。」

 

このプレスリリースでは、格付け制度がサンテミリオンに注目を集めるのに役立っているという点は認めています。今日の細分化されたワインの世界では、このようなゴシップでさえもエリアの注目を集めるという面ではいいニュースなのかもしれません。

 

最後に、Aneff  はこう言います。「サンテミリオンは高く評価されているアペラシオンだと思いますが、2級ワインには名前が重要です。Ausone  や  Cheval Blanc  をアペラシオンのために購入する人は誰もいません。」

 

 

引用元: https://www.wine-searcher.com/m/2022/01/angelus-leaves-st-emilion-classification

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