よく耳にするワイン用語、ちゃんと知っておきましょうシリーズ②「テロワール」って何??その2:地形/ロケーション
今回は「テロワールって何?」の第2回目。
前回の土壌に続いて土に関わる要素「地形/ロケーション」についてです。
②地形/ロケーション
次の要素は土壌とも、そしてこの後の日照条件などとも密接に関連する「地形」です。
ワインのブドウ畑は広大な平地に広がっている、というイメージを持っている方もいらっしゃるかと思いますが、
これまた土壌と同じで産地によって千差万別。
平地もあれば山の斜面に広がっているところもあり、
上の画像のように、急斜面に階段状に植えられているようなブドウ畑だってあります。
(急坂のブドウ畑は最上段まで登るだけでも大変、収穫は本当に過酷な作業です)
要は、その土地で最もブドウに適した土壌を生かして栽培出来るような場所を選んで植えたらこうなった、
という、非常に長い時間と経験値によって得られた結果論的な構成要素かもしれません。
ではまず、その畑が低地にあるのか、丘の頂上部にあるのか、から考えてみましょう。
ここで「地層」を頭の中でイメージしてください。
「地層」は基本的には古い時代を一番下に、新しい時代の土が順に上に積み重なって構成されていますよね。
各層は時代によって構成する成分が異なるため、粒の大きさや色によって層の分かれ目が分かります。
この積み重なった層が隆起して高くなった場所が「山」や「丘」です。
そして、この山や丘の麓と、頂上に近い部分では、全く土壌が異なります。
山の麓には、雨や風の力で山の高い部分から崩れ流れ落ちてきた土がどんどん積み重なっていきます。
それはつまり頂上部の表面にあった新しい時代が低地に堆積するということ。
その場合に削れた頂上部は「古めの地層が露わになり」、
いっぽうで低地は「更に新しい土が重なってしまう」ことになります。
つまり、頂上部は長い時間かけて蓄積されたミネラル・養分を含む地層にブドウの根が張りやすくなっている一方、
新しい表土が表面に積み重なってしまった低地部の畑では、
複雑性を獲得できる深い地層まで根を張るのには時間がかかり、より困難が伴う。
ここで、土壌からの恩恵を十分に受けられる場所とそうでない場所の差が生まれる。
これが、畑のロケーションにより「テロワールの違い」が生まれることの基本例です。
一つの丘の上と下でもテロワールが大きく異なるのですから、
その比較範囲を更に広げれば、もっと大きな差異が出るのが当然ですよね。
川の源泉に近いような内陸の山岳地帯や盆地は巨大な岩石が多く含まれる古い地層を持つのに対し、
河口に近く標高の低い海岸部の平野になれば粒の細かい砂や粘土が多くなる、等も地形の変化によるもの。
異なる地形やロケーションにより、全く異なるワインが生まれることになります。
そして、もう一つ大切なのが「斜面の向き」です。
平地の真ん中に丘が一つあったら、その丘の斜面は当然360度全ての方角、
北向き・南向き・東向き・西向き(そして、その間)が存在していることになります。
斜面の向きが違うと、何が変わることになるでしょうか??
最も大きく変化するのは、そう「日当たり」ですよね。
次回のコラムでは、3番目の要素である「日当たり・日照時間」についてお話をさせて戴こうかと思います。
「『テロワール』について説明できるようになろう」シリーズ、ちょっと長くなりそうですが気長にお付き合い下さい!
今回の内容に関連してお薦めしたいワインは、
ワイン専門商社フィラディスの直販ショップ Firadis WINE CLUBで今人気急上昇中の白ワイン「ドメーヌ・コルディエ マコン・クロ・ド・ラ・メゾン(税込2808円)」です。
この画像の上の方にある地層の写真を見てみてください。
聳え立つような山に切り立った崖、そこに全く違う土質の層が積み重なっています。
ここの畑では頂上部分は完全に岸壁状態で登れないためにブドウ畑は無いのですが、
そのすぐ真下の少し緩やかになった斜面部分から植え付けが開始されています。
豊富なミネラルを多量に含むブルゴーニュの白、これも「ミネラル感」を楽しむワインです。
「マコン」というやや格下に見られがちなアペラシオンながら、偉大な村のワインに肩を並べる素晴らしい品質。
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