「ミュスカデ種について その2」 ワインはじめて講座
「ブドウ品種を詳しく知ろう」シリーズ、前回からは白ブドウの4品種目『ミュスカデ』種。
『ムロン・ド・ブルゴーニュ=ブルゴーニュのメロン』という別の名前、随一の産地がロワール河河口のペイ・ナンテ地域であること、などからご紹介触れました。
そして、ちょっと残念な過小評価のイメージが定着しまっている品種、という話も。
では今回は、ロワールで『ミュスカデ』種でワインを醸造するときの製法についてからご紹介しますね。
ミュスカデのワインを醸造する時に採用される有名な醸造技法に、「Sur Lie=シュール・リー」があります。
直訳すると「澱の上」。
アルコール発酵の際に添加した酵母は役割を終えると沈殿するのですが、その澱の沈殿にワインを浸けた状態で貯蔵し、酵母特有の芳しいイースト香(パン屋さんの近くにいくと漂っている香りです)を与える技法です。
この技法は元来、ミュスカデに香り高さや味わいのふくよかさをプラスするために行われていたものと思います。
普通に栽培して収穫したら決して果実の力が高くない並のミュスカデワインでは、樽熟成ではワインの味わいが完全に消えてしまう。
だから、酵母の香りを微かに付けるという手法が選ばれたのでしょう。
いま、ミュスカデの地域は近年、生産者が二分されてきているようです。
1つは、これまで通り大量生産の“安ミュスカデ”を相変わらず作っている生産者たち。
そしてもう1つはこれまでの“没個性で特徴の無いワイン”イメージを脱却し、驚くほど高品質のミュスカデを作ろうと努力する新たな挑戦者たちです。
後者のワインを飲むと、ミュスカデと言うワインが大きな進化の可能性を秘めていることに気付かせてくれます。
『ムロン・ド・ブルゴーニュ=ミュスカデ』というブドウ本来のポテンシャルは、マスクメロンのような甘い香りと爽やかな果実味。
そこに、単なるごまかしやお化粧では無いシュール・リーのフローラルで広がりのある香りが加わり、フレッシュなのにとても品のある味わいに。
まるで、羽根の生えたような、軽やかに舞いあがって行くようなワインになりますよ。
『ミュスカデ』種をどんな食材・料理と楽しむとおいしいか、についてご紹介しますね。
今日も1歩、あなたはソムリエに近付きました!
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