可能性が広がり続けるニュージーランドワイン
- 2024.10.04
- ちょっと知りたい、もっと知りたいワインの話
- シャンパン, 白ワイン, 赤ワイン
みなさんはニュージーランドと聞いて何を思い浮かべますか?羊? オールブラックス? マヌカハニー?大自然広がるニュージーランドはワイン産地としての知名度もぐんぐんと上昇し、世界中から大きな注目を浴びています。過日、天皇皇后両陛下が国賓としてイギリスを訪問された際、バッキンガム宮殿で開催された晩餐会で供された白ワインもニュージーランドワインでした。トロピカルフルーツやハーブ、花々が香る華やかなブーケと果実味に満ちた口当たり、活気あふれる爽やかな酸が魅力的なニュージーランドワインを紐解いていきましょう。
目次
ワイン造りの歴史
その歴史は浅く、まだほんの200年ほど。19世紀初頭にイギリス人の宣教師がオーストラリアからブドウの苗木を持ち込んだのがきっかけと言われています。1836年に「オーストラリアのブドウ栽培の父」といわれるジェームズ・バズビー氏によってワイン造りが開始されますが、その味わいが世界に知られるようになったのは1980年代に入ってから。当時、マールボロ地区のソーヴィニヨン・ブランが国際的なコンペティションで高く評価され、徐々に名声を得ていきます。
紀元前から造られていたヨーロッパのワインに対して、ニュージーランドワインはオーストラリアやカリフォルニアなど、多くの国のワインと共に「ニューワールド(もしくは新世界)」や「新大陸」ワインと言われ、ワインの歴史の中ではまだまだ新参者ですが、近年では日本人の醸造家もワイナリーを構えるなど、目覚ましい進歩を遂げている産地なのです。
先進的なワイン造り
ワイン造りでは後続組ですが、その考え方、技術、チャレンジ精神は遅れを取っていません。まず、世界中で掲げられているサスティナブルなワイン造りに関して、環境保護意識の高いニュージーランドでは、1955年に「Sustainable Winegrowing New Zealand(SWNZ)」という組織が設立され、定められた環境保護に対する取り組みを遵守したワイナリーにはSWNZ認証を与えています。驚くのはその取得率で、ほとんどのワイナリーが取得、または取得申請をしています。
また、ニュージーランドではコルクが原因で起こってしまうワインの汚染を避けるため、価格帯に関係なく多くのワインにスクリューキャップが採用されています。その採用率は約90%。低価格のワインに採用している国は増えていますが、高価なワインにも使用しているのはこの国だけではないでしょうか?
気候の特徴
英南太平洋に浮かぶニュージーランドはノース・アイランドとサウス・アイランドの2つの島からなります。南半球に位置しているため四季は日本とは真逆。春9~11月、夏12月~2月、秋3月~5月、冬6月~8月となり、赤道に近い北に行くほど気温が高くなるという点でも逆となります。山間部の一部地域を除けば年間を通じて温暖ですが、「1日のうちに四季がある」といわれるほど昼夜の気温差が大きく、天候が変わりやすいのが特徴です。この寒暖差がきれいな酸を生み出すのに大きな役割を果たしています。
主要なワイン産地
まず、ノース・アイランドの主要なワイン産地をご紹介します。
【オークランド Auckland】
ニュージーランド最大の経済都市。最も古い産地の1つで、多くの大手ワイナリーがここを本拠地としています。温暖な海洋性気候と豊かな火山性土壌が凝縮感に満ちたブドウを育て、赤白共に高品質なワインが造られています。
【ホークス・ベイ Hawke’s Bay】
ニュージーランドで2番目に広いブドウの栽培面積を持ち(1番はマールボロ)、こちらも古い産地の1つ。年間日照時間が最も長く、フランス・ボルドー地方にも似た石の多い砂利質土壌のため、メルロー種を主体としたボルドースタイルのワインが高く評価されています。
【ワイララパ Wairarapa(マーティンボロー Martinborough)】
首都ウェリントンから車で約1時間のところに広がる産地。マオリ語で「輝く水」を意味するこのワイララパは小規模な産地でありながら、フランス・ブルゴーニュ地方さながらのエレガントなピノ・ノワールを生み出す銘醸地として注目されています。
次に、サウス・アイランドの主要なワイン産地をご紹介します。
【マールボロ Marlborough】
ニュージーランド最大のワイン産地で、この地で作られたワインによってニュージーランドワインが世界中に知られるようになりました。ソーヴィニヨン・ブラン種のワインが80%を占めており、日照時間が長いのに冷涼、降雨が少ないというユニークな気象条件が、トロピカルフルーツを思わせる果実味やハーブ、生き生きとした酸を備えた独特のワインを生み出しています。
【セントラル・オタゴ Central Otago】
世界最南端のワイン産地。温暖なニュージーランドにおいて、他の産地とは異なり、唯一大陸性気候で、山間部では雪が降ることもあります。日差しが強く、昼夜の寒暖差に加え年間の寒暖差も激しく、深みのあるリッチなピノ・ノワールが生まれます。その一方で、ソーヴィニヨン・ブランやシャルドネ、ピノ・グリといった白ブドウの栽培も盛んです。
主要なブドウ品種
主要なブドウ品種はソーヴィニヨン・ブランとピノ・ノワールで、その他にシャルドネやピノ・グリ、メルローやシラーなども少量ですが栽培されています。
【ソーヴィニヨン・ブラン】
ニュージーランドといえばこの品種!栽培面積の約60%を占めています。フランスのロワール地方やボルドー地方で使用されている品種ですが、トロピカルフルーツを思わせる華やかな香りとすっきりとしたキレの良い酸はフランスとはまた違った魅力を放っています。
【ピノ・ノワール】
ニュージーランドの黒ブドウの代表品種。フランスの銘醸地ブルゴーニュ地方をはじめ世界中でエレガントなワインを生み出している品種です。
Firadis WINE CLUBのおすすめワイン
ワイン専門商社フィラディスの直販ショップ Firadis WINE CLUBよりおすすめワインをご紹介!ニュージーランドならではの良さを持ちながら、日本の味覚や食材にフィットする素晴らしいワインをマルボロとセントラル・オタゴからご案内。
今回はニュージーランドワインについて触れてみましたが、いかがでしたでしょうか?
ワインを選ぶとき、飲むとき、語るときにちょっと思い出していただけたら嬉しいです。楽しいワインライフをお過ごしください。
ライター紹介:新井田 由佳(Yuka Niida)
・J.S.A.認定 ソムリエ
・La Confrerie des Hospitaliers de Pomerol ボルドー ポムロル騎士団称号
大手総合商社在職中にワインに魅了され、退職して渡仏。ブルゴーニュを中心にフランス、イタリアの数多くの生産者を訪問し見聞を広める。知れば知るほど魅了されるワインの世界について、もっと知りたい!が現在進行形で継続中。
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