今夜の泡は何にしよう? 国によってちがうスパークリングワインの呼び方。

今夜の泡は何にしよう?  国によってちがうスパークリングワインの呼び方。

 

私の最近の習慣「おうちアペロ」。1日の仕事を終えて自宅のキッチンに立つと「泡が飲みたい!」「お疲れ様、自分!」とシュワシュワっといきたくなるのです。

爽やかに喉を潤してくれるスパークリングワイン。通称「泡」。

華やかな晴れの日の乾杯にはもちろんのこと、何でもない1日の締めくくりに口にするとフゥ~と肩の力が抜けていくのを実感します。キッチンでの1杯にするか、そのまま食事に繋げるかは気分次第。飲みきれなくてもいいんです。しっかりとストッパーで栓をして翌日のお楽しみに。少々泡が抜けてしまっても気にしない!おうちアペロは細かいことは気にせずに楽しんじゃうのです。「人数が集まらないとスパークリングワインを開けても残っちゃうし。。。」とお思いの方、頑張っている自分にお疲れ様!のおうちアペロ、お勧めですよ。

さて、気軽に楽しめるものから高価なものまで、そして様々な国で作られているスパークリングワイン。旅先で「スパークリングワイン」とオーダーすれば世界中どこでも通じると思いますが、レストランのワインリスト、お酒売り場の陳列棚ではその国の呼び方で表示されていることがほとんどです。そんな時に迷わないためにも、ヨーロッパ各国におけるスパークリングワインの呼び方を知っておくと便利です。

今回は「国によって違うスパークリングワインの呼び方」について触れてみたいと思います。

 

スパークリングワインってなんだろう?

「シュワシュワ」っと泡の出る発泡性ワインをスパークリングワインということは皆様ご存知の通り。ですが、厳密にいうと含まれる炭酸ガスが3気圧以上のワインを指しています。それ以下のガス圧、1~3気圧未満は弱発泡性(セミ・スパークリングワイン)、1気圧未満のものはスパークリングワインとはみなされません。スパークリングワインのボトルがずっしりと重いのは、このガス圧に耐えられるように設計されているからなのですね。その製法には何通りかあり、作り方の違いで泡のきめ細かさや味わい、生産量も変わってきます。製法と味わいの関係について以前のコラムで触れていますので、よろしければ覗いてみて下さいね

国によってちがうスパークリングワインの呼び方

 さて、いよいよここからが今回のテーマ。

一緒に各国の代表的なスパークリングワインもご紹介していきましょう。

 

フランス

「ヴァン・ムスー(Vin Mousseux)」といいます。ヴァン(=ワイン)・ムスー(=泡)でヴァン・ムスーです。そしてガス圧が2.5以下の弱発泡性ワインは「ペティアン(Petillant)」といいます。

 

シャンパーニュ(Champagne)

 

世界最高峰のスパークリングワインとしてスパークリングワインの代名詞的存在ですが、フランス・シャンパーニュ地方で造られたものだけがシャンパーニュと名乗れます。

造り方は瓶内2次発酵であること、さらにブドウ品種、産地、栽培方法、醸造方法などが細かく規定されているAOC法(原産地呼称法)の基準を満たしていなければなりません。

 

話のついでに。。。

日本では「シャンパン」「シャンペン」と言う方が多くいらっしゃいますが、フランスではほとんど耳にすることはありません。シャンパンは多分「Champagne」と言う綴りからきている和製言葉、「シャンペン」は英語の発音「シャンペイン」からきているのだと思うのですが、以前、シャンパーニュ委員会(シャンパーニュのブドウ栽培・醸造者とシャンパーニュメゾンで組織されている同業者委員会)のセミナーに参加した時、「シャンパーニュはシャンパンでもシャンペンでもありません。シャンパーニュこそがシャンパーニュなのです!」と熱い講義を受けました。このコラムを読まれた皆様、ぜひ「シャンパーニュ」という言葉を使ってみて下さい。その方がちょっとワインを知っているように聞こえるかも。。。と思うのです(あくまでも私の個人的意見です)。

 

クレマン(Cremant)

 

AOC法で認められている産地(シャンパーニュ地方以外)で、シャンパーニュと同じ製法で造られるスパークリングワイン。現在、8つの産地で作られています。

・クレマン・ダルザス (Cremant d’Alsace) 

・クレマン・ド・ブルゴーニュ(Cremant de Bourgogne)


例えば「ラ・グランド・コート クレマン・ド・ブルゴーニュ」

・クレマン・ド・ロワール (Cremant de Loire)

例えば「シャトー・ド・ロレ クレマン・ド・ロワール ブリュット」

・クレマン・ド・リムー (Cremant de Limoux)

例えば「シャトー・アルトニャック クロズリー・デ・リ クレマン・ド・リムー」

・クレマン・ド・ボルドー (Cremant de Bordeaux)

・クレマン・ド・ジュラ(Cremant de Jura)

例えば「フィリップ・ヴァンデル クレマン・デュ・ジュラ・ブリュット」

・クレマン・ド・ディ(Cremant de Die)

・クレマン・ド・サヴォワ(Cremant de Savoie)

 

私はこのクレマンが大好きです。
その理由はまずコストパフォーマンスの高さシャンパーニュと同じ瓶内2次発酵で造られていて、泡のきめ細かさ、味わいの複雑性を感じる高品質なものが多いのに、シャンパーニュよりも価格がお手頃なのです。「価格がお手頃」というのは気軽に楽しむためのマスト条件ですよね。

そして、もう一つの理由は個性が豊かという点。クレマンは産地によって使用しているブドウが違うため、その土地の個性を反映したバラエティーに富んだ味わいを楽しむことができます。

 

イタリア

「スプマンテ(Spumante)」、ガス圧が1~3気圧未満の弱発泡性ワインは「フリッツァンテ(Frizzante)」といいます。

 

フランチャコルタ(Franciacorta)

こちらはフランチャコルタの産地の「近く」が売りのスパークリングです。。


イタリア北部ロンバルディア州で造られるスプマンテ。シャンパーニュと同じ瓶内2次発酵で造られ、法律で定められた最低熟成期間はシャンパーニュよりも長い18ヵ月という高級スプマンテです。

プロセッコ(Prosecco)


ヴェネト州で、グレーラ種を主体に造られるスプマンテ。世界一生産量の多いスパークリングワインです。グレーラは元々は「プロセッコ」という名前の品種で、プロセッコというスプマンテの名前の由来はそこからきています。軽やかな甘みがほんのりと感じられるフレッシュ&フルーティーな味わいで、後味にグレーラ種特有の心地よい苦みのアクセントが残るのが特徴。気軽に楽しめる価格帯のものが多いです。

ランブルスコ(Lambrusco)


エミリア・ロマーニャ州で造られるスプマンテ。ガス圧が控えめなのでフリッツァンテのカテゴリーに入るものもあります。黒ブドウのランブルスコ種を主体に造られる赤のスプマンテで味わいは甘口から辛口までと幅広く、こちらもお手頃価格のものが多いです。

アスティ・スプマンテ(Asti・Spumante)

ピエモンテ州でモスカート・ビアンコ種から造られるちょっと甘いスプマンテ。モスカート・ビアンコはマスカットの一種です。華やかなアロマティックな味わいが想像できますよね。同じ産地でモスカート・ダックイと言う微発泡のワインも造られています。

 

 スペイン

 

「エスプモーソ(Espumoso)」と呼びます

カヴァ(Cava)


100%自家栽培ブドウ使用。しかもブドウの重さで自然に流れ出た「フリーラン果汁」だけで仕込む、高品質カヴァです。


スペインのスパークリングといえばこれ!生産量はプロセッコ、フランス産スパークリングに次ぐ世界第3位。主にスペインのカタルーニャ地方でシャンパーニュと同じ瓶内二次発酵で造られています。主要品種はマカベオ、チャレロ、バレリャーダ。温暖な気候で育った固有品種から造られるカヴァは酸味が穏やかで飲みやすく、価格もお手頃なものが多く気軽に楽しめます。

 

ドイツ

「シャウムヴァイン(Schaumwein)」と呼びます。

 

ゼクト(Sekt)


「ドイツの泡といえばビール!」と思いますが、実はドイツ国内で消費されるスパークリングワインは世界の生産量の1/4と言われ、消費量は堂々の世界1位なのです。ゼクトにはベースワインにEU他国のワインをブレンドしても良い「ゼクト」と、ドイツ国内のブドウのみを使用して造られるドイッチャー・ゼクトがあります。

 

スパークリングワインの呼び方一覧

国名

呼び方

代表的ワイン

フランス

ヴァン・ムスー(Vin Mousseux)

ペティアン(Petillant) *弱発泡

シャンパーニュ、クレマン

イタリア

スプマンテ(Spumante)

フリッツァンテ(Frizzante)*弱発泡

フランチャコルタ、プロセッコ、ランブルスコ、アスティ・スプマンテ

スペイン

エスプモーソ(Espumoso)

カヴァ

ドイツ

シャウムヴァイン(Schaumwein)

ゼクト

 

いかがでしたか?

今回は国によって違うスパークリングワインの呼び方について触れてみました。

今回触れなかった国々でもバラエティに富んだコストパフォーマンスの高いスパークリングワインがたくさん造られています。ぜひ、色々と楽しんでみて下さいね。

ワインを選ぶとき、飲むとき、語るとき、ちょっと思い出していただけたら嬉しいです。

楽しいワインライフをお過ごしください。

 

ライター紹介:新井田由佳

大手総合商社在職中にワインに魅了され、退職して渡仏。ブルゴーニュを中心にフランス、イタリアの数多くの生産者を訪問し見聞を広める。
知れば知るほど魅了されるワインの世界について、もっと知りたい!が現在進行形で継続中。

CTA-IMAGE ワイン通販Firadis WINE CLUBは、全国のレストランやワインショップを顧客とするワイン専門商社株式会社フィラディスによるワイン直販ショップです。 これまで日本国内10,000件を超える飲食店様・販売店様にワインをお届けして参りました。 主なお取引先は洋風専門料理業態のお店様で、フランス料理店2,000店以上、イタリア料理店約1,800店と、ワインを数多く取り扱うお店様からの強い信頼を誇っています。 ミシュラン3つ星・2つ星を獲得されているレストラン様のなんと70%以上がフィラディスからのワイン仕入れご実績があり、その品質の高さはプロフェッショナルソムリエからもお墨付きを戴いています。 是非、プロ品質のワインをご自宅でお手軽にお楽しみください!
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