ワインボキャブラ天国【第71回】「トースト」英:toasted bread 仏:pain grille
- 2021.02.27
- ワインボキャブラ天国
- フランス, 生産者
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「トースト」
英:toasted bread
仏:pain grille (男性名詞:発音は「パン・グリエ」*最後のeに右上がりアクセント)
第70回で紹介した「パン」のイメージの細分化した表現の一つが「トースト」。
こんがり焼いた香ばしいパンの香りが分かりやすく見つかりやすいのは、樽熟成した白ワインやシャンパーニュ・スパークリングワインなど。
ワインに接する側の木材表面をローストし、焼き目から出る香り要素がワインに付着し香りを造り出していきます。
ふつうの「パン」の香りが主に酵母=発酵段階に由来するのに対し、トーストの香ばしい香りは熟成によって生まれる香りとして捉えるのが妥当と思います。
以前、赤ワインの香り味わい要素の喩えとなる「ベリー系フルーツ」の表現を紹介したときに、その果実がどんな状態にあるのかを付け加えることで表現に幅・奥行き・伝わりやすさが加わります、ということを書きました。
若く甘酸っぱい果実~完熟した状態~砂糖やシロップ漬け~煮詰めた状態・ジャムなど、といった段階的表現です。
パンの表現もこれに類似していまして、通常の状態からトースト、バターを塗って焼いた状態、または具体的なパンの種類を挙げることで喩えを細分化・より伝わりやすくしていくというテクニックもあります。
例えば、シャンパーニュの表現で良く出てくる「ブリオッシュ」(*水の代わりに牛乳を使いバターや卵も練り込んであるフランスの菓子パンです)はより甘くふんわりとしたイメージが伝わりますし、「クロワッサン」だったらパイ生地の焦げ目やバターの香りで熟成の印象を伝えやすくなります。
その他、熟成した赤ワインに木樽のニュアンスがあるときなどは「トーストにミックスベリージャムをたっぷり塗った感じ」、または白ワインだったら「ピーナッツバターやヘイゼルナッツヌガーを塗ったトースト」など、パンに別の香り・味わい要素を重ねた表現をすることもできます。
ワイン表現は、基軸となるフルーツや花、スパイスなどのイメージを掴めるようになったらそれをより具体化・細分化させていくことでどんどん広がりを獲得することができます。
まずは「良く出る比喩表現」を覚えて、その後は自分でその表現に状態を表す言葉や形容詞を付け加えていくことにチャレンジしてみましょう。
想像するのは自由、ワインを飲みつつ自分勝手にイメージを広げて遊ぶのは、楽しいものですよ!
それでは今回はこのへんで。
今日、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
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