ワイン職人に聞く、10の質問【第87回】ヘイマン・レーヴェンシュタイン(ドイツ・モーゼル地方)
- 2021.09.26
- ワイン職人に聞く、10の質問
≪ひとりのワイン職人の頭の中を覗く一問一答インタヴュー!≫
『ワイン職人に聞く、10の質問』 第87回
『ヘイマン・レーヴェンシュタイン(ドイツ・モーゼル地方)』
オーナー・醸造家:ラインハルト・レーヴェンシュタインさん
連載シリーズ『ワイン職人に聞く、10の質問』、87人目にお話を聞いた生産者はドイツ・モーゼル地方ウィニンゲン村に畑と醸造所を構える『ヘイマン・レーヴェンシュタイン』。オーナーで醸造家の、ラインハルトさんが10の質問に答えてくれました。
甘口リースリングが流行した時代にもテロワールの表現にこだわり辛口だけを造り続けた「奇才」。
160日もの長い成育期間にゆっくりと熟したブドウから生まれる黄金色のワインは世界的に評価され、モーゼルのトップ生産者として確固たる地位を確立しています。
ドイツのゴー・ミヨ誌は「彼のワインを飲むと他のグローセス・ゲヴェックスが退屈に思えてしまう」、評論家ジャンシス・ロビンソンは「疑っている人を何かのボトルで納得させなければならないなら、これだ」などとまさに手放しの絶賛。ワイン・アドヴォケイト誌では95点以上を連発、「偉大な、時代にふさわしいリースリング」と言わしめ、世界中の飲み手をうならせています。
彼の造るリースリングが世界最上級であることは間違いありません。
そんな「奇才」に送ったインタヴュー、「一問一答」ならぬ「一問ひとこと回答」ではありましたが、その才気はビシビシ伝わってくる内容でした。是非読んでみてください!
Q1:ワイン造りを一生の仕事にしよう、と決意したきっかけは何ですか?
⇒自分の肉体と精神、全てに自由を与えてくれる仕事だと思ったからだ。
Q2:これまでワインを造ってきて、一番嬉しかった瞬間は?
⇒生まれたばかりの新たなワインに向き合う、その毎回。
Q3:その反対に、一番辛い(辛かった、大変な)ときは?
⇒お役所に絡むすべての書類仕事。
Q4:ワイン造りで最も「決め手になる」のは、どの工程だと思いますか?
⇒どこかの「工程」ではなく、全体に対し介入し過ぎず、自然の流れに任せることだよ。
Q5:あなたにとっての「理想のワイン」とは?
⇒「複雑、だが開放的、そして異世界を感じるワイン」。
Q6:今までに飲んだ中で最高のワインを1本だけ選ぶとしたら?
⇒1953年ヴィンテージのウーレン、私の両親の結婚記念のワインなんだ。
Q7:自分のワインと料理、これまでに一番マリアージュしたと思った組み合わせを教えてください。
⇒新鮮なシーフードなら何でも。そして、全ての繊細な香りが楽しめる食材・料理。
Q8:もしあなたが他の国・地域でワインを造れるとしたら、どこで造ってみたいですか?
⇒スペイン・ガリシアのリベイラ・サクラ(*訳注:スペインの最北西部です)。
冷涼な気候で、様々な鉱物・岩石の入り混じったユニークな土壌があるから。
Q9:あなたの「ワイン造り哲学」を、一言で表現してください。
⇒秩序と混沌、そのギリギリのエッジをサーフィンすること。
Q10:最後に・・・日本にいるあなたのワインのファンに、メッセージを!
⇒ワインに向き合うときはね、まずそのワインのことを良く知ることだ。
そして・・・その後は脳味噌のスイッチを切って、ただ自分の感覚を信じることが大事だよ!
ラインハルトさんへのインタヴューは以上です・・・いかがでしたか?
今回は返ってきたインタヴュー回答をパッと見てあまりの短さに「これじゃコラムにならないなあ・・・」と一瞬戸惑ったのですが、内容を読んだらそんな気持ちは吹き飛びました。
深く、想い言葉の数々に唸らされることばかり。さすがの奇才、いや鬼才っぷりです。
「複雑、だが開放的、そして異世界を感じるワイン」、ラインハルトさんのワインはまさにその哲学を体現した作品たちだと思います。“異次元”の3本・・・是非とも、体感してみてください。
【この生産者のおすすめワインはこちら!】
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