ワイン職人に聞く、10の質問【第88回】アンリ・プリュードン(仏ブルゴーニュ地方)

ワイン職人に聞く、10の質問【第88回】アンリ・プリュードン(仏ブルゴーニュ地方)

≪ひとりのワイン職人の頭の中を覗く一問一答インタヴュー!≫
『ワイン職人に聞く、10の質問』 第88回
『アンリ・プリュードン(仏ブルゴーニュ地方)』
醸造家:ヴァンサン・プリュードンさん

連載シリーズ『ワイン職人に聞く、10の質問』、88人目にお話を聞いた生産者はフランス ブルゴーニュ地方サン・トーバン村の注目生産『アンリ・プリュードン』
オーナーファミリーのヴァンサン・プリュードンさんが10の質問に答えてくれました。

「サン・トーバン」はシャサーニュ・モンラッシェ、ピュリニー・モンラッシェという白ワインの名産地に隣接していながらも、まださほど知名度が高くないために今もリーズナブルな価格で手に入る稀有なエリア。
お隣りの村が持つ名声に後れをとったハンデもあり、それを克服し、追いつき追い越そうと誠実なワイン造りをしている小さな優良生産者が多い、まさに「コート・ドールの秘められた宝石」とでも言いたくなります。

これから脚光を浴びていくことは間違いないこのエリアでめきめきと実力を発揮するプリュードン・ファミリー、今回はドメーヌを受け継ぎ職人として今まさに脂の乗っているヴァンサンさんが熱く答えてくれました。
それでは一問一答インタヴュー、はじめましょう!


Q1:ワイン造りを一生の仕事にしよう、と決意したきっかけは何ですか?
⇒栽培農家の息子としてブドウ畑の中に閉じ込められて育ってきたようなものだからさ 笑、この仕事を受け継ぐことが当たり前だったんだよな。
プリュードン家はサン・トーバン村にいちばん古くからいる家系で、しかもずっとブドウの栽培とワイン造りを生業にしてきた。何世代いや何世紀にも渡って、この土地とファミリー伝統の技を守り続けてきた・・・だから、僕もそれを次の世代に受け継ぐのが役割だと思うよ。

Q2:これまでワインを造ってきて、一番嬉しかった瞬間は?
⇒ワイン造りって、どこか特別な瞬間が特別にいちばん嬉しい、という仕事じゃない気がするんだ。細かな仕事でもうまくできたときには幸福を感じるし、1年の最後に自分たちの費やした時間や努力にふさわしい価値のあるワインが産まれればやっぱり嬉しいしね。
そして・・・やっぱり世界の様々な場所で僕たちのワインが愉しまれて、その感想を聞くのは素晴らしい時間だと思うよ!

Q3:その反対に、一番辛い(辛かった、大変な)ときは?
⇒ワイン生産者としての「悪夢の瞬間」は常に気候的なアクシデントと隣り合わせだね・・・春の遅霜や夏の嵐、たったの数分でそれまでの仕事すべてを台無しにしてしまうんだから。その後の畑を見るのは本当に辛いし、悲しい。天候に関する悪い記憶しか無いようなヴィンテージもあるね。
ヴィンテージの記憶と言えば、特別に印象深かったのはやはり2003年。欧州が異常な熱波に襲われた年で、ブドウがそれまでにないほど熟していった。素晴らしいブドウを収穫することは出来たのだけど、何分こんな年は初めてだったので、通常の醸造法で取り組んでよいのかどうか仕込み前に随分迷ったな 笑

Q4:ワイン造りで最も「決め手になる」のは、どの工程だと思いますか?
⇒ワイン造りの工程というのは畑でブドウを育てるところからセラーでワインに仕込んでいくところまで非常に多岐に渡っていて且つ期間も長いわけなのだけど、結局は仕込みを始める時点で運び込まれたブドウ果実の品質が一番のプライオリティだということは間違いないね。醸造技術をいくら凝らしても、今一つな出来のブドウからでは良いワインは出来ないんだ。
そして、やはりテロワールが忠実に、正確にワインに反映していること。余計な装飾でそれを覆い隠すようなことは絶対にしてはならないと思う・・・例えば過剰な新樽熟成でバランスを崩すなんてもってのほかだ。
これを常にスピリットに刻み付けて、ワイン造りに取り組みたいね。

Q5:あなたにとっての「理想のワイン」とは?
⇒「理想のワイン」か・・・何を以て理想と考えるかやや漠然としているかな?
でも、僕個人の考えとしてはやっぱり「バランス」に全てが集約されるのではないかと考えるね。ワインの持つあらゆる要素、酸味、果実の熟度や丸み、香り、テロワールの表現、全てがハーモニーを持ってまとまっていることこそが一番大事。そんなワインが出来たら、その時は「これが僕の理想のワインだ」と言うだろうな。
そしてこれは、世界中どこのワイン産地だろうが関係なく、普遍的なことだと思うよ。

Q6:今までに飲んだ中で最高のワインを1本だけ選ぶとしたら?
⇒素晴らしいワインと出会った記憶が多過ぎて一つに絞るのが難しいのだけど・・・2000年頃に飲んだ『シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド』1980年。本当に特別な体験として心に刻まれているんだ。

Q7:自分のワインと料理、これまでに一番マリアージュしたと思った組み合わせを教えてください。
⇒舌平目のグリルと、サン・トーバン。口の中で、完璧なハーモニーが奏でられたよ!

Q8:もしあなたが他の国・地域でワインを造れるとしたら、どこで造ってみたいですか?
⇒今いるサン・トーバンに根を張りすぎちゃっているから、他の場所でワインを造るっていうことを想像するのが難しいんだよね 笑。
でも、個人的にワイン産地として可能性を感じているのはフランスの南西地方。ガイヤック、コート・ド・ガスコーニュ、フロントンとか。
あとは、来世で生まれ変わるならカリフォルニアかな・・・でも、ワイン造りはしなくてもいい 笑。 あの雰囲気と風景が本当に大好きなんだよ。

Q9:あなたの「ワイン造り哲学」を、一言で表現してください。
「テロワールの中こそ、真実がある」
僕たちはワインという媒介を通じてこの土地の姿を形にする作業をしているだけに過ぎないんだと思うよ。

Q10:最後に・・・日本にいるあなたのワインのファンに、メッセージを!
⇒日本のワインラヴァーは、本当に情熱的で好奇心豊かだよね。皆さんと会ったとき、ワインに対する熱い思いに心を動かされたよ。フランス、ブルゴーニュ、そして僕たちの国の文化に対しての深い愛情を感じたんだ。
その想いに対して心からの感謝と尊敬を伝えたいな。ありがとう。


ヴァンサンさんへのインタヴューは以上です・・・いかがでしたか?
いかにも職人的なワイン生産者、という考え方でしっかりとその哲学を語って頂けたと思います。

ひとつ面白かったのは、南西地方に興味がある、ということ。
これまでに登場したブルゴーニュの生産者は、冷涼な気候の産地でのエレガントなワイン造りに最大のこだわりを持つ方が多かったので、暑い気候に恵まれ個性的そして野性的なワインを数多く生産するあのエリアに関心がある、というところに新進気鋭の生産者らしい野心を感じて嬉しくなりました。まあ、カリフォルニアではワイン造りをせずただのんびりしたいようですが 笑

ブルゴーニュ注目エリアのお買い得白ワイン、皆さんも是非お試しください。リーズナブルな価格で、他の有名村だったらワンランク上のクオリティが楽しめることをお約束しますよ!


【この生産者のおすすめワインはこちら!】

アンリ・プリュードン サン・トーバン・ル・バン

アンリ・プリュードン サン・トーバン・プルミエ・クリュ シュール・ガメイ

★当店限定販売キュヴェ★
アンリ・プリュードン サン・トーバン・プルミエ・クリュ ル・サンティエ・デュ・クルー

アンリ・プリュードン シャサーニュ・モンラッシェ レ・ズイエール

CTA-IMAGE ワイン通販Firadis WINE CLUBは、全国のレストランやワインショップを顧客とするワイン専門商社株式会社フィラディスによるワイン直販ショップです。 これまで日本国内10,000件を超える飲食店様・販売店様にワインをお届けして参りました。 主なお取引先は洋風専門料理業態のお店様で、フランス料理店2,000店以上、イタリア料理店約1,800店と、ワインを数多く取り扱うお店様からの強い信頼を誇っています。 ミシュラン3つ星・2つ星を獲得されているレストラン様のなんと70%以上がフィラディスからのワイン仕入れご実績があり、その品質の高さはプロフェッショナルソムリエからもお墨付きを戴いています。 是非、プロ品質のワインをご自宅でお手軽にお楽しみください!
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