今月のおすすめワイン本【2021年6月】ワインが登場するミステリ小説③
読むとワインを飲むのがもっと楽しくなる本をご紹介する『今月のおすすめワイン本』シリーズ、先週に続いての連続企画テーマは「ワインが登場するミステリ小説」。
子供のころから大のミステリ好き、国内海外問わず読みまくっているが皆さまに是非とも読んで頂きたい3冊をチョイスしました。
読み始めたら止まらないミステリ小説をお供に、おいしいワインを楽しんでくださいね。
それでは、第1回『刑事コロンボ 別れのワイン』、前回の平岩弓枝さん『葡萄街道(ワインロード)の殺人』に続いてお勧めする最後の1冊はこちら!
『おいしいワインに殺意をそえて』
(ミシェル・スコットさん著・青木千鶴さん訳/早川書房イソラ文庫 中古で入手可能)
「刑事コロンボ 別れのワイン」に続いて舞台はUSAカリフォルニア、主にナパ・ヴァレー。
TVドラマの脇役で女優として(細々と)活動しながら、レストランのソムリエで生計を立てている主人公ニッキィ・サンズは、店でのちょっとしたアクシデントで知り合ったワイン生産者の下で働くことになるのですが、そこで突如殺人事件が起こり・・・という所謂「巻き込まれ型」ミステリ小説です。
まるで自分が事件に巻き込まれた当事者の感覚で読み進められるので、ドキドキしながら読み進められますよ。
さて、事件について誰が殺されるのか、誰がどうして殺人を犯したのか・・・等は明かせません(当たり前です)ので、登場人物についてだけ少し紹介しておきますね。
主人公ニッキィはワインについての知識が非常に豊富で、特に料理とのペアリングセンスがずば抜けている、という設定がユニーク。とあるペアリング課題に次々と的確なワインを選び出していくシーンに僕は「こんなセンスがあればなあ、うらやましい・・・」と思いました。
(でもその割に、ワインのプロなら誰でも知っている歴史上で非常に重要な出来事について全く知らないなど、ちょっと人物設定が矛盾したところもあります。何について知らなかったのかは、読んでみてのお楽しみ。皆さんも絶対に知っていることです。)
そして、もう一人の主要登場人物はナパ・ヴァレーの大規模ワイナリー「マルヴォ―農園」の当主デリック・マルヴォ―。彼は・・・まあ、大富豪の超イケメン(という設定)、しかもワイン造りに対する姿勢は非常に情熱的且つ誠実という、悔しくて紹介してやる気にもならないような人物ですね 笑
この2人が巻き込まれる殺人事件がメインストーリとなりますが、舞台となるワイナリーやブドウ畑などの風景描写、そして造り手たちの会話内容などもワイン好きだったら「そうそう、いいこと言う!」となるセリフが多く、ワイン好きなら思わずニヤッとしてしまうはず。そしてストーリーの合間合間に、主人公がワインを合わせた料理のレシピが掲載されているなど、ワイン好きには物語展開以外にも楽しめる構成になっていますよ。
表紙のデザインからも分かると思いますが、比較的軽いタッチで読めるオシャレ系海外ミステリ、といった感じ。普段は推理小説なんて読まない、と言う方にも読みやすい1冊です。
ちなみにこの本、本国では結構人気のシリーズで5冊以上出ているようなのですが、日本語訳されているのはこの第1作目のみ。たぶん、ワイン好きの人を除いた純粋なミステリファンには、主人公のニッキィの魅力がさほど伝わらなかったのかもしれません。続刊に期待します!!
それでは今回はこの辺で。
ミステリ小説紹介シリーズは一旦これで終了し次回からはもうちょっとマジメなワイン本をご紹介していきますね。
でも、また面白いワインミステリに出会ったら、皆さんに是非ともご紹介させてください!!!
*本日ご紹介した『おいしいワインに殺意をそえて』は、角川書店公式サイトやAmazon e Booksなどで、電子版でもお楽しみいただけます。
是非読んでみてください!
↓↓↓
https://www.amazon.co.jp/おいしいワインに殺意をそえて
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