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今月のおすすめワイン本【2022年8月】フランス発、ワイン生産者とマンガ家の交流を描いたバンド・デシネ

今月のおすすめワイン本【2022年8月】フランス発、ワイン生産者とマンガ家の交流を描いたバンド・デシネ

読むとワインを飲むのがもっと楽しくなる本をご紹介する『店長五十嵐おすすめワイン本』シリーズ。
43冊目に選んだのは『ワイン知らず、マンガ知らず』(サウザンブックス社 エティエンヌ・ダヴォドーさん著、大西愛子さん訳 京藤好男さん監修 税込定価3,300円)、2冊目となるフランス産マンガ=バンド・デシネです(以下BD…細かく言うとBDとマンガとは位置付けの異なるカルチャーだと思いますが、今回は邦訳タイトルが「マンガ」なのでこう表記しますね)。
一人のマンガ家と一人のワイン職人が、1年間の交流の中で互いの仕事に対して理解を深めていく様を描いた物語。クラウドファンディングにより世界の面白い本を日本に紹介し続けているサウザンブックス社さんから出版された1冊です!

 

ワイン職人とマンガ家、2人の本音の交流を描くドキュメンタリーマンガです。

日本国内で罹れているワインをテーマにしたマンガというと「神の雫」「ソムリエ」「ソムリエール」後は「美味しんぼ」一部のエピソードなど、超人的なテイスティング能力を有した主人公が出てくる疑似バトルもの、もしくは人情お仕事ドラマが主流。それらも非常に面白くワインへの興味を掻き立てられますが、フランスからはちょっと違った角度からワインと人との関わりを描いたマンガが届きました。それが今回ご紹介する1冊『ワイン知らず、マンガ知らず』です。

上の写真は本書フランス原版の表紙です。元々のタイトルは『LES IGNORANTS Recit d’une initiation croisee』、ざっくり訳すと「知らざる者たち~互いの知識を交換する物語」みたいな感じでしょうか。
フランスで活躍するBD作家の「エティエンヌ・ダヴォドーさん(以下エティエンヌ)」が、ロワール地方アンジェの南、アペラシオンでいうと「コト―・デュ・レイヨン」の地域でワインを造る「リシャール・ルロワさん(以下リシャール)」にワイン造り1年間の密着取材をさせてもらう代わりに、自身は出版業界やマンガについてのレクチャーをする…という不思議な交換授業がテーマの、所謂コミックエッセイ的な内容。

いや、コミックエッセイ…と書いてしまうと何だかヘタウマな絵で「〇〇やってみました」的なものに思われてしまうかもしれませんので誤解なきように。表紙画像からもお分かりかと思いますが、1コマ1コマがTシャツの図柄になってもおかしく無いような、非常に緻密且つアート性の高い筆致で描かれています。
これが約270ページも続くのですから、まあ何と豊かな読書体験か…ワイン片手に眺めているだけで、最高に贅沢な時間が流れるはずです。

互いの異なる価値観をぶつけ合いながら交流が深まっていく、「バディもの」的傑作です

*左がリシャール・ルロワ、右がエティエンヌ・ダヴォドー 出店:éditions Futuropolis

2人の出会いは、冬の剪定作業の時期。ワイン造りの作業に実際に携わりながらリシャールのブドウ栽培・ワイン造りに対する姿勢を知っていくエティエンヌ、そして次にはリシャールが出版社やコミックフェスのようなイベント(半ば強引に、という時も多い)に連れ出され、これまで未知だったBDの重要作品・作家たちと出会い、マンガ家の哲学や価値観を知り…という流れが交互に続き、1年間が描かれていきます。ワイン造りの方では、畑で1年の間にどんな作業が行われているのかも具体的に描かれ、細かな作業の意味までも説明してくれているのでワイン好きには役立つ情報もたっぷり。マンガ制作の方でも同様に、作家が1色の表現のために紙質から選んでいく様など、職人的に突き詰める姿勢が存分に描かれています。

それにしてもとにかく面白いのは、2人が常に本音で考えをぶつけ合うところ。ワイン職人のリシャールはどんな名作であろうと自分が面白いと思わないマンガには決してお世辞など言わないし、読んでいてもすぐ寝てしまうし 笑
でも、「これは!」という1冊に出会ってしまったときには徹夜明けの腫れた目で畑に現れるのが何とも可愛らしい。
一方BD作家エティエンヌも、リシャールさんにブラインドで飲ませてもらったワインに「うーん、あんまり興味ないな、このワインは。これ好きなの?」「ありがとう、俺のワインだよ」‥‥この後の空気、僕だったら耐えられないですけどね。

まあ、こういう感じで延々と静かに続く1年間のお話です。大事件も起こらなければクライマックスも何もない、実に地味な物語。でも、なぜか2人の友情が段々と繋がっていく感じがしっかり伝わってくるんですよね…読後は何故か「少年ジャンプ」のマンガを読んだときのように熱い気持ちになる1冊でした。

最後に触れておきたいのは、唯一カラーで描かれている日本版の表紙。
何故ブドウ畑を描くのに、こんな真っ暗な悪天候の空の日を描いたんだろう、僕だったら絶対に青空の下に雄大に広がる畑を選ぶけどなあ…と思って読み進めると、ちゃんとこの表紙の意味についても触れられています。コミック最後に付いている2人の対談コーナーで是非ご確認ください。さすがのフランス人的思考、僕には思いも及びませんでした!

という訳で今回のワイン本紹介はこのへんで。さて、次回はどんなワイン本をご紹介しましょうか・・・おっと、またこんな面白そうな本を見つけてしまった・・・早速ポチっとな、と。早く届かないかなあ。。。

*本日ご紹介した書籍は、Amazon他にて新品・古書等で購入できます!

『ワイン知らず、マンガ知らず』(サウザンブックス社 エティエンヌ・ダヴォドーさん著、大西愛子さん訳 京藤好男さん監修 税込定価3,300円)
↓↓↓
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4909125388/ref=ppx_yo_dt_b_search_asin_image?ie=UTF8&psc=1 

『じいちゃんが語るワインの話 ブドウの年代記』(フレッド・ベルナールさん著 田中裕子さん訳/エクスナレッジ 税込2,090円)
↓↓↓
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4767820081/hanbaiguch081-22 

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