黒ブドウの王様 カベルネ・ソーヴィニヨン~ソムリエ直伝!家飲みワインの楽しみ方~
- 2024.01.04
- おすすめワイン
“黒ブドウの王様”と称されるカベルネ・ソーヴィニヨン。威厳溢れる愛称ですが、品種の特徴や魅力を知るとまさにその呼び名に相応しいことがよく分かります。赤ワインを語る上で避けては通れないカベルネ・ソーヴィニヨンの魅力を探る。そして、ワイン専門商社フィラディスの直販ショップ Firadis WINE CLUBよりおすすめワインをご紹介。
目次
他品種と比べて分かるカベルネ・ソーヴィニヨンの特徴
まずは、カベルネ・ソーヴィニヨンの特徴についてご紹介。さらに、その魅力をお届けできるよう、その他代表的な赤ワイン品種と比較しながら、深い味わいに迫ります。
カベルネ・ソーヴィニヨン
カベルネ・ソーヴィニヨンはカシスやブルーベリーを思わせる強い果実味とミントのような清涼感が特徴です。ライトボディに仕上がることはまずなく、ミディアムからフルボディの、ストラクチャーがしっかりした仕上がりになることがほとんど。よってペアリングも、ワインの骨格に負けない味付けの濃いものや、肉料理全般と相性が良いでしょう。
メルロ
メルロは原産国が同じなので、香り・味わいともにカベルネ・ソーヴィニヨンと共通するポイントが多い品種です。ただし、メルロの方が渋みが柔らかく酸が穏やかなため、全体的に円みがあります。また、オリーブやキノコのような土っぽいニュアンスを感じられ、果実味もふくよかで渋みもなめらかなことから、カベルネ・ソーヴィニヨンと比べても淡白な白身肉や煮込み系の料理と相性が良いでしょう。
シラー
シラーにはフランスの「シラー」とオーストラリアの「シラーズ」の2タイプがありますが、カベルネ・ソーヴィニヨンと比較する上で重要になるのはシラーズです。オーストラリアでは特に両者の味わいが似ることが多く、特徴的なユーカリやミントを思わせる清涼感が感じられるはずです。シラーズが好きな人はカベルネ・ソーヴィニヨンも好む方が多く、合わせる料理も肉料理全般と相性抜群です。
ピノ・ノワール
カベルネ・ソーヴィニヨンと対をなし、黒ブドウ界の貴婦人としてエレガンスさを纏う品種がピノ・ノワールです。アロマの構成も全く異なり、ラズベリーやフランボワーズなどの赤系果実が中心。そして産地ごとに紅茶や紫蘇、梅、桜の花びらなどのアロマが加わります。熟成と共に味わい深さが増し、最終的には出汁を思わせる旨味溢れる味わいへと変化します。カベルネ・ソーヴィニヨンほどの骨格がないため、肉の種類も牛肉より鶏肉や鴨肉とのペアリングがおすすめ。また、ハーブ(特にローズマリー)との相性が良いので、チキンの香草焼きなどは見事にマッチしてくれますよ。
ガメイ
ピノ・ノワール同様に、ガメイもカベルネ・ソーヴィニヨンとは正反対の特徴を持つ品種です。基本的にライトボディからミディアムボディに仕上がることが多く、フルボディのカベルネ・ソーヴィニヨン好きからすると”物足りない”と思われることもしばしば。しかし、クリュ・ボジョレーのように、上質なものになるほど素晴らしい魅力もあるのがガメイです!
普段カベルネ・ソーヴィニヨン好きな方も、このクラスになると別の味わい深さを感じていただけるのではないでしょうか。そして、上質になるほどピノ・ノワールと瓜二つになるため、ペアリングの際は先ほどご紹介したピノ・ノワールと同じ組み合わせで問題ありません。
カベルネ・ソーヴィニヨンはどんな人にぴったり?
カベルネ・ソーヴィニヨンは、「フルボディが好きな人」「清涼感ある香り・味わいが好きな人」におすすめの品種です。フルボディの重たいワインが好きな人は真っ先にカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、シラーズを検討すると良いでしょう。
ピノ・ノワールやガメイはエレガントで上品な仕上がりが多いため、カベルネ・ソーヴィニヨン好きからすると物足りなさを感じる可能性があります。メルロやシラーズとの違いは「渋みや酸味」にあるので、渋みや酸をよりはっきり感じたい方はカベルネ・ソーヴィニヨンを選び、果実味のボリューム感やなめらかなタンニンを感じたい方はメルロかシラーズを選ぶといいでしょう。
合わせる料理も、がっしりしたカベルネ・ソーヴィニヨンには厚みのあるステーキ、メルロの柔らかさには煮込み料理、シラーズのスパイシーさにはジビエ料理など、ワインと料理の特徴を寄せていくのがおすすめです。
そして、清涼感のあるアロマが好きな方にもカベルネ・ソーヴィニヨンはピッタリ。清涼感を感じさせるアロマとして、メントールや青ピーマン、スギ、ミント、ユーカリ、トマトの葉などが感じられます。ちなみに、この清涼感あるアロマはメルロやシラーズにもよく現れます。その際は、タンニンや酸などのストラクチャーで検討してみましょう。
カベルネ・ソーヴィニヨン主体の赤ワインとあう料理
カベルネ・ソーヴィニヨン特有の「タンニン」「酸味」「清涼感」がポイントなので、これらの要素を踏まえつつワイン選びの参考にしてみてくださいね。まず、旧世界と新世界のワインから厳選していきます。
■旧世界…古くからワイン造りが行われていた伝統国(ヨーロッパ)
■新世界…旧世界に比べてワイン造りの歴史が浅い新興国(アメリカ、オーストラリアetc.)
旧世界カベルネ・ソーヴィニヨン✕青椒肉絲
ピーマンと細切りした肉で炒めた中華料理の定番、青椒肉絲。カベルネ・ソーヴィニヨンにも感じられる野菜の青味とピーマンの青味が調和してくれます。料理の濃厚な味付けとボリューム感に合わせて、カベルネワインの中では比較的上品な旧世界のものがおすすめです。今回のおすすめワインは、シャトー・プティ・フレイロン ボルドー 。フレッシュなカシスやスギ、植物的なアロマが特徴的で渋みも程よく滑らかなため、青椒肉絲の肉感とピーマンの風味にピッタリ合いますよ。
新世界カベルネ・ソーヴィニヨン✕サーロインステーキ
カベルネ・ソーヴィニヨンと無類の相性を見せるペアリングはやはりステーキでしょう。赤身肉全般に合いますが、よりピンポイントでペアリングするには適度にサシの入ったサーロインを贅沢にバターを使って焼き、黒胡椒をかけるのがおすすめ。合わせるワインは先ほどとは風味を変えて、新世界のものがおすすめです。今回のおすすめワインは、テート・ドッグ カベルネ・ソーヴィニヨン ウィズナー・ヴィンヤード。味わいは典型的なカリフォルニアワインらしいリッチな黒系ベリーと、樽由来の濃厚なヴァニラ感たっぷりに仕上がっており、肉のジューシーな脂身にも負けないボリュームを備えています。ここまでワインのキャラクターが強ければ、ステーキはシンプルな黒胡椒はもちろん、ガーリックバターや醤油とわさびでいただいても最高です!
新樽控えめなカベルネソーヴィニヨンカベルネ・ソーヴィニヨン✕青魚の焼き魚
最後に、焼き魚とのペアリング。想像がつかないペアリングですが、実は相性は抜群。サンジョベーゼと青魚は鉄板ペアリングとして有名ですが、カベルネソーヴィニョンカベルネ・ソーヴィニヨンとの相性も抜群ですよ。焼いた青魚(たとえば、サンマ)の苦味とフルボディゆえのカベルネソーヴィニョンカベルネ・ソーヴィニヨンの渋みが抜群に合い、ワインの鉄っぽさと内蔵の風味がマリアージュ。ちなみに、ここにバター、醤油、味醂、赤ワインで作ったソースを添えてあげるとなおGood!注意ポイントは一つだけ。それは、“新樽熟成が控えめ”なワインを選ぶこと。新樽があまりに効いている場合、生臭さが急に生じて不快な後味だけが残ることも。今回のおすすめワインは、シャトー・ベルヴュー・ラ・ランデ ボルドー 。熟成はコンクリートタンクのみに由来し、品種特徴のフルーティーさに加えてハーブやスパイス感がありのままに表現されています。渋みと酸味のバランスもいいため、ついつい飲む手が止まらない飲み過ぎ注意な一本。
ライター紹介:田中 純平 (Junpei Tanaka)
J.S.A認定ソムリエ、ワインエキスパート
J.S.A認定SAKE DIPLOMA
WSET Level3
大学時代のスペイン留学中にワインの魅力に囚われ、帰国後はスペイン語とワインの二足の草鞋を決意。在学中にヴィノスやまざきでインターンを経験し、同年にワイン関連の資格を諸々取得する。卒業後はフリーランスとして独立し、スペイン語レッスンや(株)楽天グループの翻訳担当を経て人気ソムリエが監修を務めるお酒のウェブメディアや西日本新聞社運営の焼酎メディアにて監修ライターを務める。現在は副業にて、ワインD2C会社であるHomewineに携わり、ワインに関する相談にお答えするソムリエコンシェルジュサービスを担当中。
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