肉料理と相性抜群なワインを選ぶ~ソムリエ直伝!家飲みワインの楽しみ方~
「肉といえばワイン」とはよく言いますが、ペアリングの観点からするとこれはあまりに範囲が広く、言うなれば”魚にはどんな日本酒でも合う”と決めつけているようなもの。実際、肉とワインを合わせてみて思いの外マッチしなかった…なんて経験を持つ方も多いのでは?
そこで今回は、肉料理と相性の良いワインの選び方をご紹介。記事の最後には、両者をより引き立たせるレシピとワイン専門商社フィラディスの直販ショップ Firadis WINE CLUBのおいしいワインもご紹介!ぜひ最後までご覧ください。
目次
肉料理には赤ワインって本当?
長年にわたって、肉料理には赤ワインが最適だと言われてきましたが、実は最近は新しい見解もでてきています。赤ワインと肉料理がよく合うと言われるのは、主に赤ワインの濃厚な味わいとボディが肉の風味にマッチするからです。特に、フルボディのようなタンニンが豊富な赤ワインは、肉の脂身との相性が抜群でお互いの味を引き立ててくれます。
しかし、全ての肉料理に赤ワインが合うわけではありません。肉の種類や調理法によっては、白ワインやロゼワインの方がより良いことも多いのです。例えば、鶏肉や豚肉などの淡白な白身肉は、赤ワインよりも軽やかな白ワインやロゼワインの方が適しています。白ワインの爽やかな酸味とフルーティな味わいが白身肉の優しい風味を引き立てますし、ロゼワインは豚肉やラム肉との相性が良く、特にスパイスを多用した料理と組み合わせると、お互いの味を引き立てます。
また、肉の調理法もワイン選びに大きく影響します。例えば、煮込み料理やソースが濃厚な料理には、それに負けない強い味わいの赤ワインが相性抜群。逆に、グリルやローストなど、シンプルな調理法の肉料理には、軽やかな赤ワインやフルーティな白・ロゼワインが適しています。
肉に合うワインの選び方
ここからはより具体的に牛肉、鶏肉、豚肉ごとに合うワインの選び方をご紹介します。
牛肉に合うワインの選び方
牛肉と聞いて最初に思い浮かぶのは、濃厚なフルボディの赤ワインではないでしょうか。実際、鶏肉や豚肉は赤・白・ロゼと器用に合わせられるなか、牛肉だけはどうしても赤ワインで考えるとハズレがありません。
しかし、赤ワインであれば何でもいいという訳でもなく、そこがペアリングの面白い所。牛肉の種類や調理法によって、相性の良いワインも変わります。ステーキやローストビーフのような赤身肉には、フルボディでタンニン豊かな赤ワインがおすすめ。特にカベルネ・ソーヴィニヨンやシラーズは欠かせません。
一方、たたきのような軽めの調理法には、ガメイやピノ・ノワールのようななめらかで緻密なタンニンのワインが合います。また、ソースや調理法によって合わせるワインを変えることも可能です。タプナードソースであればサンジョベーゼ、煮込みで柔らかみと深みが増した肉にはテンプラニーリョやメルロなど、料理とワインの要素や特徴を合わせると良いでしょう。
鶏肉に合うワインの選び方
肉の中では最もライトで淡白な味わいとなる鶏肉には、合わせるワインのボリュームも軽めがおすすめ。フレッシュ&フルーティーな白ワインやライトボディの赤ワイン、汎用性の高いロゼワインが抜群です。また、鶏肉といえば香草やクリームを使った料理も多いですが、そんな時には、ワインのボリュームや風味を合わせるためにもう一段ワインを重たくしてもいいでしょう。例えば、樽熟成したシャルドネやソーヴィニョン・ブラン、アルザスタイプのリッチなピノ・グリなどです。
豚肉に合うワインの選び方
豚肉のジューシーな甘みと脂身にはメルロやガルナッチャ主体のミディアムボディの赤ワインがおすすめです。豚肉のジューシーな風味とふくよかな果実味がよく合います。また、豚のしゃぶしゃぶや蒸し料理など、より繊細な味わいの豚肉料理には、リースリングやソーヴィニョン・ブランなどのフレッシュでアロマティックな白ワインも相性抜群です。鶏肉よりも重く、牛肉よりも軽いワインで合わせるのがおすすめですよ。
肉の厚みでワインの相性は変わる?
肉とワインのペアリングを考える上で意外と忘れがちなのが「肉の厚み」。肉の咀嚼回数とワインの渋みの相性には相関関係があり、噛むたび溢れる脂や旨味には、それらをまとめるフルボディのワインが欠かせません。
一方、薄切り肉の場合は柔らかな口当たりのワインが良く、肉のデリケートな風味を優しく包み込むでしょう。和牛のたたきや鴨肉のスライスなどにはワインもライト〜ミディアムボディが良く、渋みも抑えられたものがいいでしょう。
ソムリエおすすめのワインに合う肉料理
それでは、肉の種類や調理法によって合わせたいワインを赤・白・ロゼでそれぞれご紹介します。
【赤ワインに合う肉料理】赤身肉のステーキ
赤身肉のステーキには、カベルネ・ソーヴィニョン主体のワインかシラーズ、マルベックやジンファンデルがおすすめです。この時、肉には黒胡椒をしっかり効かせるのがポイント。ワインとステーキの良きブリッジ役となってくれます。
【白ワインに合う料理】鶏肉のクリーム煮
白ワインに合う肉料理といえば、鶏肉のクリーム煮が相性抜群。鶏肉は白ワインとの相性が良いのですが、さらにここで肝となるのが調理法です。バターやクリームのコクに合うように、白ワインもMLFや樽熟成されたものを選びましょう。
【ロゼワインに合う料理】ラムチョップ
地中海では定番のラムチョップとロゼワインのペアリング。ローズマリーやタイムを効かせてグリルされた味わいに、ロゼワインのフレッシュな酸と程よい渋みが溶け込みます。ロゼにもいくつかタイプがありますが、やはりフレッシュ&フルーティーでほのかにハーブやスパイス感をも感じさせるプロヴァンスのものがいいでしょう。
【簡単レシピ】肉の赤ワイン煮込みとワインを楽しもう
飲用と料理用のワインを揃えると、ペアリングの相性も格段にあがります。そこで今回は、自宅で簡単に出来る肉料理のレシピをご紹介!ぜひお試しくださいね。
【簡単レシピ】肉の赤ワイン煮込み
ブルゴーニュの郷土料理である鶏肉の赤ワイン煮込みには贅沢にジュヴレ・シャンベルタンが使われており、料理に使うワインの質はペアリングの完成度を高める上で欠かせないポイントの一つです。
①お好みの肉(牛、鶏、豚)を適量カット
②肉をフライパンで軽く焼き色をつけた後、玉ねぎ、にんにく、人参などの野菜と共に鍋に入れる
③肉が半分くらい浸る量の赤ワインを注ぎ、ローリエやタイムなどのハーブを加える
④弱火でじっくりと肉が柔らかくなるまで煮込むと、風味豊かな煮込み料理の完成
【おすすめワイン】
肉の赤ワイン煮込みに合わせるなら、肉の種類ごとに選ぶワインも変えるのがおすすめ。牛肉の赤ワイン煮込みであれば、料理に負けないフルボディの赤ワイン。しっかり果実味が感じられるワインが良いので、新世界スタイルのものがおすすめです。
豚肉の煮込みであれば赤と白、両方で検討できます。赤の煮込みには柔らかいボディと果実味を持つメルロを。白では程よくコクがあり爽やかなハーブ香がアクセントとなるボルドーブランがいいでしょう。シャトー・スオウ ボルドー・ブラン
鶏肉といえば、ブルゴーニュに倣いピノ・ノワールやガメイ。高級フレンチを模してジュヴレ・シャンベルタンなどで煮込みたい所。ただしここはブルゴーニュ・ルージュや新世界のリッチなタイプでも問題ありません。
【簡単レシピ】赤ワインソースのハンバーグとワインを楽しもう
赤ワインソースのハンバーグは、ワイン愛好家にとって絶好のペアリング料理です。ここでは、自宅でも簡単に作れるレシピと、それに合うワインの選び方を紹介します。
【簡単レシピ】赤ワインソースのハンバーグ
①ハンバーグは通常の方法で焼く
②一度ハンバーグを取り出し休ませてる間に、同じフライパンにみじん切りの玉ねぎとケチャップを加えて軽く炒める
③玉ねぎが透き通った後にカップ半分の赤ワインを注ぎ、少し煮詰める
④カップ1/4のビーフストックと小さじ1のトマトペーストを加え、濃厚なソースができるまで煮詰める
⑤塩と胡椒で味を調え、ハンバーグにかけて完成
赤ワインソースのハンバーグに合わせるならミディアムからフルボディの赤ワインがおすすめです。この時、ハンバーグを豚肉で作るならメルロを、牛肉ならカベルネ・ソーヴィニョンやシラーズ、テンプラニーリョで合わせてみましょう。
おすすめワイン
ライター紹介:田中 純平 (Junpei Tanaka)
J.S.A認定ソムリエ、ワインエキスパート
J.S.A認定SAKE DIPLOMA
WSET Level3
大学時代のスペイン留学中にワインの魅力に囚われ、帰国後はスペイン語とワインの二足の草鞋を決意。在学中にヴィノスやまざきでインターンを経験し、同年にワイン関連の資格を諸々取得する。卒業後はフリーランスとして独立し、スペイン語レッスンや(株)楽天グループの翻訳担当を経て人気ソムリエが監修を務めるお酒のウェブメディアや西日本新聞社運営の焼酎メディアにて監修ライターを務める。現在は副業にて、ワインD2C会社であるHomewineに携わり、ワインに関する相談にお答えするソムリエコンシェルジュサービスを担当中。
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